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農業物語~たった1人での農研~  作者: 栗花落
第一章 春の種蒔き
1/5

仲間たちの辞退

…嘘だ。嘘だ嘘だ嘘だ。

自分で何度も言い聞かせた。だけど、人生はなかなか甘く無いようだ。


「…早坂?」


「え?」


「聞いてた?」


「ごめん。な、なんだっけ?」


「だから、俺、農業研修に行くのやめるから」


な、なんですとー!ちょ、ちょっと待ってよ。…と言うことは、私一人で農研に行かなきゃいけないってこと?最初は6~7人いたのに最終的には1人…?


「せ、先生にOKしてもらったの?」


「うん。長澤先生に言ったら即OKだった。ごめん。早坂1人になっちゃうけど・・・」


今更そんな優しい言葉を言われても・・・(怒)


「頑張れよ。おすそ分け待ってるからな!あはは。それじゃっ」 

爽やかな笑顔を見せて、川原くんは友達の元へ向かっていった。


私は川原くんを信じてたのに!…あの日から。



2ヶ月前―



「私、農研に行くのを辞退します」


そう始めに告げたのは2年生の柚木(ゆき)ちゃんだった。

柚木ちゃんの家は経済面で少し苦しいらしく、農研を申し込んだ後に重労働だったお父さんが急に倒れてしまったようだ。


「仕方ないよ。お父さんを支えてあげて」


優しい井上くんは柚木ちゃんの肩を優しく叩いた。それなのに…。


「俺も農研、辞退する」


次に辞退したのはなんと井上くんだった。理由は分からないが、仲間内での噂では、夏休みを田舎で過ごすのはまっぴらだと、友達に話したということだった。



その後、次から次へと農研を辞退する人が多くなり、ついに私を含めて3人になってしまった。ちなみに、私と川原くん。あと、4年生の後藤先輩だった。後藤先輩は大の仲良しの人と農研のグループが違ってしまい、かなりのショックを受けていた。


「私…人見知り激しくてね…後輩達だけだと辛いの…。だから、辞退するね…」


いやいやいや!それはおかしいでしょ。私だって友達みんな違うグループだし。


しかし、後藤先輩はかなり落ち込んでいたため、私たちは仕方なく辞退を認めた。


「ったく。みんななんのための農研だと思ってんだよ!」


そう言ったのは川原くんで、俺は絶対辞退しねえとも言ってくれた。まさかの田舎先でのカップル誕生かと思いきや…。


こういった悲惨な結果になってしまったのだ。

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