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So what?  作者: らいとてん
第3章 勇者と魔王一家編
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【番外編】17.5話、18.5話、20.5話、22.5話

 

 黒髪の少年がこちらに向かって駆けてくる。


「こんにちは。小坂光輝です。モニカ姉の弟で、現在は勇者を……してるのかな? どちらかというと魔王一家の皆さんのほうが好きです。大好きです。お持ち帰り希望です。モニカ姉は勿論のこと、あの一番小さい一頭が特に気に入っています」


 姉とリーナスの愛らしさについて語りそうになった勇者光輝はコホンと咳ばらいをした。

 

 改めて余所行きの笑顔(エンジェル・スマイル)を浮かべた彼は、小首を傾げ上目遣いにこちらを見上げている。その後ろで黒いギザギザ尻尾がウニョウニョしているのは幻影なのだろうか。 


「ここにあるのは、気が乗った時に活動報告におまけとして載せられていた小話だそうです。作者が本編に載せられなかったネタ、妄想が止まらず書いてしまったネタ等です。ただし、活動報告時とは表現等が一部異なります。いまいち気に入らない表現等を改訂したそうです。」

  

 それでは、と勇者光輝は最後に礼儀正しくお辞儀をする。

「どうぞ番外編をお楽しみ下さい」



***【第17.5話】『晴れた日は皆でお昼寝』***



「御母様のお話って、御父様のお話よりも、人間の間に伝わる『魔王と勇者の御伽話』に近い気がするのですが、どうしてですか?」

 首をかしげて聞いてくるモニカに、御父様は頷いて答える。


「それはだね。魔獣というのは、長い年月を過ごすから、出来事よりも感情を優先して記憶に残すようなんだ。だから、正直言って、クリスは当時のことをほとんど覚えていないのではないかな」


「魔獣の血に宿る記憶は、長い歴史を承継するのには便利だけど、そういう点で完璧とは言えないと僕は思うね、そもそも……」


 銀の賢者と呼ばれた御父様の話は、彼が自分の世界に入ると途端に長く難しくなる。幼獣達は、くわっと大きく欠伸をすると空を見上げた。

「今日もいい天気―」

「そう、ね……」

「ね、む、い……」

「ぐー」

「これが……抗えぬ本能……というや、つ、か……」


 魔獣団子になって寝ている幼獣達に気付いたクロードが、あまりの愛らしさに髭を下げ相好を崩すのはもう少し後だ。




***【第18.5話】『副神官長は飛べない』***



 視界一杯に広がる豚面。


「おお、御目覚めになられましたか。勇者様」


 にっこりと笑った肉団子に、小坂光輝こさかこうきは叫んだ。


「豚がしゃべった!?」


 後世にまで伝わるパレヴィダ経典に載せられた勇者コーキ生誕の一言であった。その経典において、聖人コーキは光の翼を広げ神々しい姿で挿絵に描かれている。だが、彼の目覚めの時に立ち会った副神官長ギルバートは丸々と太り、どこか食欲を誘う姿であったりする。





***【20.5話】『母さん編と弟編もあります(親爺は自分で何とかしろ)』***



「小坂様は、人間の王と魔獣の長、両者の客人として御迎えすることになりました」


 何故だか軍服のあちらこちらを焼け焦げさせたヴォルデは、そういうと深い溜息をついた。彼のやけに疲れ切った様子にモニカは心配げに首を傾げ、彼の片手を慰めるように舐めてやる。


 光輝は、余所行きの笑顔(エンジェル・スマイル)を浮かべたまま、そんな一人と一匹の様子を眺めていた。その目が笑っておらず、光輝の『悪い虫リスト~アキラ姉編~』に、ヴォルデの名が載せられたことに、彼らはまだ気付いていなかった。




***【第22.5話】『御父様と勇者コーキ』***


 「はじめまして。私はクロード。君の前代の勇者だ。人は私のことを『魔王の番』あるいは『銀の賢獣』とも呼ぶが、君の好きな名で呼んでかまわない」


 威厳たっぷりに光輝に告げた銀の獣。

 思わず背筋を伸ばした光輝に御父様はふっと笑うと口調を和らげて続けた。


 「たまに我が愛し子達に


 『へたれ御父様』


 と呼ばれるのだけど、最近の若い子たちの言葉なのか

 いまいち意味が分からないんだよね。君、分かる?」


 と可愛らしく小首を傾げた御父様に、


 光輝は「へたれ御父様……」と呟いた。


 その台詞をクロードが聞くや否や、再び空間を緊張が走った。

 銀の瞳を不穏に揺らめかせて御父様は告げる。


 「悪いけど……『お義父様』とだけは呼ばせないよ……?」


 勇者コーキは思った。

 この世界では勇者の条件に愛娘(アキラ姉)ラブであることが加えられているのだろうか、と。



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