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So what?  作者: らいとてん
第1章 魔の森編
2/86

【1】拝啓 母上様

更新がかなりのスローペースになる予定です。

 本能が『それ』を求め警鐘を鳴らす。

 酷くぼんやりとした思考のまま、他者を押しのけ、探り出し、食らいつく。

 満ち足りた気分で再び眠りの世界に入ろうとして、ふと違和感を覚えた。

 あれ? なんか、おかしい。

 重たい瞼をこじ開けて霞む目を凝らせば、そこには――鼻先一センチまで近づいた巨大な獣の顔があった。


『おお、目が開いたか。我が愛し子』


「へ?」


 声を出したはずが、耳に聞こえるのは獣の唸り声。

 なにやら嫌な予感がする、と下を見れば獣の足があった。


 右手を持ち上げてみる。

 ――右の前足が持ち上がる。

 左手を持ち上げてみた。

 ――左の前足が持ち上がった。


「なにこれー!」


 叫んだはずであった。

 しかし、ある意味予想通り(是非とも外れてほしかったが)、

 響いたのは獣の咆哮だった。


『ほう、我が愛し子は早くも吠えるか。優秀だな。他の兄弟はまだ目すら開いておらぬというのに』


 聞きなれぬ声に顔を上げれば、巨大な銀色の獣が彼女を見下ろしていた。

 微笑んでいるつもりなのだろうか。

 鋭い牙を剥き出し、こちらに顔を近づけてきた。

 ――そこで臨界点を突破した。意識が暗転する。


 薄れゆく意識のなか、脳裏に響くは獣の子守歌。

『寝る獣は育つという。よく眠るがよい。我が愛し仔』




 拝啓  

 

 母上様


 お元気でいらっしゃいますか。

 私は変わり変わって異世界に転生したようです。

 こちらの御母様は凶暴な牙をお持ちの魔獣です。

 まだ乳離れもできておりませんが、優秀と褒められました。

 できれば夢であってほしいものです。 


                       敬具  

           

                       小坂晶


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