莉斗
寝ていた母が、目を覚ます。時刻は9時半を回っていた。
「あ、かあさんやっと起きた。」
「あら莉斗、帰ってたの、今何時?」
「9時半。」
「あら大変ね、お父さんの晩御飯…」
「父さんならもう寝てったよ。」
「あらそう…」
重い空気。いつもこんなのなのだろうか。
それは、自分が死んだせいなのだろうか…。
…視線を感じる。その方向を見ると、死神。
「何…未練増えると成仏しにくくなるから嫌って?」
首さえ振らなかったが、きっとそうなのだろうな。
なんだか、蚊でも見るような目で
見られている気がする。
「さっさと逝け」みたいな。
冗談じゃねぇよ。逝くかよ。逝かねぇよ。
莉斗は、8時くらいに制服で帰って来た。
…それも、私の制服を着て、メイクをし、私が誰だか一瞬わからなくなるほどの、可愛い女姿で。
いや、中身が女の子の性格なのは知ってたが。
なんで私が死んでからそんなに大胆になるんだよ。
「私が死んだから女服が着れる♪ちょっと不謹慎だけど…。」
くらいに考えてんだろうな。おい。
思い返すとウチの家は娘は男っぽく、息子は女の心を持った、なんかスゴい家だった。
「やっぱ、迷惑かけてたんだろうなぁ…。
疲れてそうだけど、ほんとに、大丈夫かな…。」
幽霊も、生者の心配をするものなのだと、このとき初めて知った。
また更新が遅れてしまいましたが、なんとか更新しました…。今後もよろしくお願いします!