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私はきみの大樹になろう

作者: 木村友香里



 『普通の人とは違う』



 そうやってきみが世間からレッテルを貼られたあの日を


 私は今でも心の傷と共に覚えている


 それから何度 君を『普通の子』として産んであげられなかったのかと


 泣いたものだろうか


 だけど


 そんな事を思う必要なんてなかったよ


 人が当たり前にできている事ができない


 わがままともとられてしまうような繊細すぎる感情


 火山のようにコントロールが出来ない癇癪


 どんなに涙で視界が歪んでしまっている目でも


 しっかりと開いてよくよくきみを観察していたら


 そのどれもが私からしてみれば他愛もない理由からだったとようやく理解できたよ


 普通の子よりも何倍も頑張らないと生きられないきみが


 たどたどしくも懸命に生きようとする姿


 それがなによりも愛おしい


 今になってやっと


 きみのすべてを丸ごと愛することができたんだよ


 ちょっと遅いよね


 それでも私 人生で一番頑張ったから許してね



 私はきみを守る『親』になろう(頼りないけど)


 学校で勉強できないきみの『先生』になろう(自分も勉強し直しだけど)


 友達付き合いができないきみの『親友』になろう(腰痛くて鬼ごっこ弱いけど)


 一人で出かけられないきみと一緒に出かける『仲間』になろう(体力作ります)


 きみにとってのサリバン先生みたいに なれるといいな



 そしてそんな日々をずっと続けていこう


 なにを恥じることもなく


 それでも 今と同じ毎日が生涯続くわけではないけれど



 それにもし……


 もしも……


 もしかしたら


 きみが持つ普通の子とは違う


 その不思議な形の翼をいっぱいにはためかせて

 あの大空に飛び立っていく事ができたとしたら


 できたのなら——



 そのときは喜んで


 私はきみの『大樹』になろう


 きみがいつでもその羽を安心して休める事のできる

 大きな木に——



 

 そんな事を思いながら


 今日も私はきみの後ろをてくてく歩いている


 落ち着きなく道を歩くきみが


 時折り振り向いてみせる そのまぶしい笑顔は


 私だけが見られる特権だね


 だから私も


 きみだけに見せる笑顔でかえしたよ


 今朝は本当にお天気がいい


 太陽の光が全てを明るく照らしている

 


 さあ今日は、

 きみと一緒に何をしようかな

 


子育てに悩むすべての人へささげます。

お読みくださってありがとうございました。

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