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恋の音  作者: 海サツキ
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クリスマス当日。朝、遥さんを見送ってから少しだけ仕事をして家を出る。

インターホンを押すと、すぐに元気な声が聞こえる。


「いらっしゃい。楽しみすぎてもう結構準備終わってるの。」


少し恥ずかしそうに言う琴葉さんは可愛らしい。昨日買っていた飲み物やお菓子を渡す。琴葉さんの言った通り、既に料理は数品揃っていてラップが掛けられた状態で、テーブルの半分は埋まっている。

後は少し時間のかかるポテトサラダやローストビーフ等数品だそう。私もできることを手伝いながら琴葉さんと話をする。


「そういえばね、詩音ちゃんが作ってくれたネックレス、蒼ちゃんが気に入ったみたいで毎日つけてるの!」

「それは、琴葉さんとお揃いだからでもあると思いますよ。」

「そうかなぁ?」


不思議そうにする琴葉さんにクスクスと笑う。楽しく会話をしながら料理をしていると、あっという間に夕方になっていた。全てをテーブルに並べ、琴葉さんとお茶を飲みながら話していると、蒼太さんが帰ってきた。


「ただいま。琴、何も無かった?」

「おかえり。心配しなくても何も無いよ〜。」

「少しずつお腹大きくなってるんだから。琴はドジだから気をつけて。」

「そんなことないもん〜。」


可愛らしいやり取りに笑ってしまう。少しするとインターホンがなり、遥さんが入ってくる。


「お疲れ様。用意ありがとう。詩音ちゃん、何も無かった?」


蒼太さんと同じセリフにおかしくなって、琴葉さんと顔を見合わせる。吹き出した私達を不思議そうに見る遥さんに説明すると苦笑していた。


「お疲れ様です。寒かったですよね。」


そう言って少し赤くなっている遥さんの頬を温めようと手を伸ばす。ひんやりとした感触に少しでも体温を分けようとスリスリと撫でる。


「おーい、お2人さん。まずは座ったらどう?」


琴葉さんに声を掛けられ、そうだったと撫でる手を止め遥さんと隣合って座る。


まずは乾杯をしようとグラスを配り、持ってきた飲み物を注ぐ。私と遥さんはまずはシャンパンをあける。乾杯をすると作った料理を取り分け、みんなでワイワイと食べ始めた。


みんなで楽しく食事をしているうちに、時間があっという間に過ぎていく。ふと琴葉さんが思い出したと言い、席を立つ。戻ってきた琴葉さんの手には、クリスマスらしいラッピングが施された箱がある。


「これ、私達から遥と詩音ちゃんに。」


そう言って差し出された箱を受け取り、開けていいか聞くともちろんと返ってくる。遥さんと顔を見合わせて、ラッピングを剥いでいく。箱を開けると、可愛らしい猫が寄り添っている。ペアカップらしく、横に並べると猫が見つめ合っているようなデザインだ。予想外のプレゼントに驚いたが、とても嬉しい。


「ありがとうございます。大切に使います。」

「気に入ってくれてよかった!詩音ちゃん達っぽいなって蒼ちゃんと選んだの。」


そう言って笑う琴葉さんに遥さんと顔を見合せて続ける。


「実は私達も。これ、昨日クリスマスマーケットで見つけて。」


そう言って昨日買ったポーランド食器が入った箱を渡す。箱を開けた琴葉さんは驚いた顔をした。


「カップ、被っちゃいましたね。」

「驚いたけど嬉しい!自分じゃ買わないような柄だけど花の柄が可愛い。」


琴葉さんの言葉に少し安心する。


「同じこと考えてたんだな。」

「そうみたいだな。」


蒼太さんの言葉に遥さんも同意する。


「それじゃ、みんなでケーキも食べようか!」


琴葉さんがそう言うと、みんなでケーキを取り分け、再び乾杯する。甘いケーキを食べながら明日の予定について話す。


「私達は明日は映画を見ようって話してたの。ほら、今流行ってるラブストーリー。見たいって言ったら蒼ちゃんが予約してくれて。」

「あぁ、確かに今やってたな。」

「琴がどうしても見たいと言うから。そう言うお前たちは予定は無いのか?」


少し顔を赤くして言う蒼太さんに遥さんがしれっと返す。


「俺たちはクリスマスプレゼントを2人で買いに行くデートなんだ。」

「へー、意外!サプライズじゃないのね?」


驚いた様子の琴葉さんに私が続ける。


「予算内のプレゼントを制限時間内で買うんです。一度してみたくて。その後ちゃんとしたプレゼントを2人で選ぼうって。」

「なるほど〜!楽しそうね!」

「はい。サプライズでもいいんですが、2人で欲しいものを話し合って買うのもいいかなって。」


私の言葉にニコニコと遥さんが続ける。


「プレゼントを選ぶ時間も2人で過ごしたいしね。俺ららしいでしょ?」

「ふふ。そうね!」

「あぁ、そうだな。」


自慢げに言う遥さんに琴葉さんと蒼太さんは笑いながら答える。このクリスマスは、何年経っても心に残る、特別な思い出になるだろう。


夜が更け、笑い声と温かい言葉が交わされる中で、私たちは幸せな時間を過ごしていた。

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