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焼いた肉を食べてみたいと言った男たちが一人づつ食べ始めると、最初の肉を食べた男は話し始めた。
「火は、たしかに危ない。だが、必ず消せる。どうしたら消えるのか、ずっと考えていていろいろ試してみた」
男は話しながら立ち上がり火のついた枝を手に持った。
「火は、燃えるものがなければ燃えないし、水をかけると消える。水で火を消して見せてやろう。皆ついてきてくれ」
群の中の好奇心が強く興味深く火を見つめていた者たちは、興奮しながら飛び跳ねるように後に続く。
火を恐れている者たちは怖がる者たち同士で身を寄せ合って固まってついて行く。
火がついたままの木の枝を湖の畔まで持ってきて地面に下ろす。
「皆よく見ていてくれ」
男も女も子供も、期待と不安と興奮と恐怖の感情が入り交じり、目を輝かせた顔や心配している顔や呑気に焼いた肉を頬張りながらの見物をしようとしている者もいる。
男は周りを見渡してから、両手で水を掬い、下から投げるようにして火にかけた。
水をかけた所だけ火がジュッと音を出して消えた。
「おおっ」
まだ火が残っているところにも水を少しずつかけて、完全に消し止めた。
「ほおぅ」
皆はまた驚きの声を出す。
龍も一緒になって皆には聞こえない声をあげた。