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きゃあきゃあと、ものすごく大きな声を出して人が騒いでいた。
龍はびっくりして湖面から顔を出した。
群の中の住処の前で火が起こっていた。
龍は初めて火を見た。
これは何だろう。今まで見たことがない。
初めて見た火に驚いた。
龍は水の中から出てきて近づいてみる。
湖からは感じなかったが、近づいていくとどんどん熱くなっていく。
直ぐ側まで行くと怖くなった。
こんなに熱いものに近づいたことはない。
嫌だと思った。
熱すぎる。
龍は炎からすぐに離れ、湖の上まで逃げた。
湖の上は熱くない。ここから眺めることにした。
火の動きをじっと見つめる。
やがて火は小さくなり、炎が消えた。
もうあれには近づかないことにしよう。
龍は火が熱いことを覚えた。
暫くして、また火が起こった。
前と同じ場所だった。
住処の前の火の周りに人々が集まった。
しかし前と同じように騒ぐ者は少なかった。
直に火は小さくなり消えることを経験しているから、落ち着いている者が騒ぐ者を落ち着かせようとしていた。
何故、同じ場所で火が出たのだろう。
龍は湖の中から顔を出して、また人のやり取りを眺めるのだ。