09
早速近場のカフェ的な店に入る。
ちなみに、道中脳内会議に明け暮れてた事は、言うまでも無いだろう。
当然、答えも出なかった事も言うまでも・・・
「そう言えば、まだ名前を聞いてなかったね。何て呼べばいいかな?」
「ジズカです。カズヤさんは、おいくつ何ですか?」
「28ですよ。何かあまりのこの年齢でこの仕事って珍しいみたいですが・・・」
「そうですね。珍しいですよね。」
うわー、やっぱりそうなんだ・・・
何かマスターもそんな事言ってたよなあ。
「それで、カズヤさんは・・・」
とか何とかアレしている内に時間になっていた。
ふむ、強敵と思っていたが、今回は普通に会話ができた・・・と、思う。
慣れてきた、って言うよりは、日常会話や質問が中心だったのが良かったのかな?
おかげで、脳内会議が入り込む余地があんま無かった気がする。
これならば、ホールドハンズをするまでも無いだろう・・・
いや、しかし、もはや恒例行事みたいなアレだし、ここは、いっとくか?
何か女性は手を繋ぐの好きっぽい感じだし。
よし。そうと決まれば、いつも通りに・・・
「そろそろ時間なので戻りますか。何かあっという間でしたね。」
「こんなに普通にお話しできたのは、カズヤさんが初めてです。」
俺も、初対面の女性と、こんなに普通に会話できたのは、あなたが初めてですよ・・・
「それでは、行きましょうか。」
店を出た。
よしっ! ここだっ!
行くぞ! ホールドハンズっ!
例によって彼女の手を握りしめた。
「あの・・・こういうのは、ちょっと・・・」
なっ、なにいいいいいいいいいっ!!!
嫌がられてる・・・だと・・・
馬鹿な・・・俺のリサーチによると、現状では女は男に触られるとドキドキする生き物って事になっていたんだが・・・
違う・・・のか・・・?
やばい、これは、メチャ恥ずかしいーっ!
ちょ、調子に乗り過ぎたぁーっ!
「ああ、ごめんね。嫌だったよね。」
「嫌じゃないですが、人が多いので・・・」
やっぱ嫌じゃ無かったんかいっ! 紛らわしいな、おいっ!
って言うか、人が多いって・・・周りの人が気になるって事・・・だよね?
んー、他人に見られると恥ずかしいって事なのかなぁ?
その辺は以前と同様に個人差はあるか・・・まだ現状の女性の生態はよく分からんな。
取り合えず・・・今の所は俺のリサーチは正しかった・・・って事にしておくか。
何か微妙に空気がアレな感じだし、解除しとくか・・・
いや、すぐに解除するってどうよ?
何かちょっと格好悪い気がする。
ここは紳士的?に・・・
「周りが気になるなら放しますよ。」
「あっ、いえ、大丈夫です。」
大丈夫なんかいっ!
「では、このままで。」
そして、何事も無く店に到着し彼女は帰っていった。
「カズヤちゃん。お疲れさん。」
「お疲れ様です。」
「じゃあ今日はもう帰りましょうか。」
「あっ、そうそう、明日はお休みだから、明後日にね。」
「はい、お疲れさまでした。」
帰宅途中、色々と考えてしまう。
しかし・・・手を繋ぐだけで、嬉しいとか、どうなったんだ、女子っ!
いや、それを言うなら、男はもっと異常か・・・
数日前から俺以外の人が変わってしまったのか・・・?
人だけじゃなく、建物も結構違うし、これはもうやっぱりアレだな。
俺がおかしくなったと考えるべきか?
何か催眠術的な何かで、それならば・・・
よし、明日は色々と観察してみよう。
こうして、明日は街の探索をする事にした。