08
「カズヤちゃん。お疲れさん。」
まだ3人目だけど、今回が一番疲れたかも・・・
「ただいま戻りました。」
「ルーシー、今日は楽しかったよ。」
「それでは、また来マースッ!」
ルーシーは帰った。
「大変だったでしょう?」
「ええ、今回はかなりの強敵でした。」
流石に、あんなに脳内突っ込みを連発してると寿命が縮むかもしれんな。
「そうでしょうね・・・女子に触られるなんて・・・」
いやいやっ! あんたが勝手にオプありにしたんでしょうがっ!
まあ、それ自体は、全く問題ないし?それどころか、嬉しいし?
「大丈夫よ、あたしが心のケアをしてあげるからっ!」
いや、何を言って・・・
なああああああああーっ!!!
こ、このおやじ・・・やはり、別世界の住人だったかっ!
ケアするとほざきながら、俺の手を握ってきやがったーっ!
や、やっぱりそっち系か!
「いや・・・あのぅ・・・」
「あの子達にも、こうしてケアしてあげてるの」
あいつらは、これで癒されているのだろうか・・・
しかし、奴らはどうあれ、俺はそんな属性は持ち合わせてはいない。
これ以上されると気が狂いそうになるので、丁重にお断りしよう。
身の危険を感じるし・・・
「も、もう大丈夫ですから・・・」
「あら、そう? じゃあ、また何かあったら言ってね。」
親切でやってくれてるんだろうけど・・・
正直、ありがた迷惑だし怖い・・・
ごめんねマスター・・・
「カズヤちゃん、今日はもう終わりにした方がいいかしら?」
「そ、そうですね、また明日に・・・」
「あら?お客さんが来たわ。」
ごふっ。
狙ってたのかってくらい、すごいタイミングで来たな。おいっ。
「120分って言ってるし、どうかしら?」
まあ、ぶっちゃけ、上がるにはまだ早い時間だし2時間なら・・・
「ええ、大丈夫ですよ。」
「じゃあ、お願いね。」
「わかりました。」
何事も経験だ、俺には経験が圧倒的に足りていない。
経験を積んで、話術に磨きをかけねば。
よし!行くとするか。
「初めまして、カズヤです。 宜しくお願いしま・・・」
なん・・・だと・・・このタイミングで・・・だと・・・
二人連続でモンスターカスタマーを相手にした俺に、この相手・・・
モンスター耐性を身に付けた俺に、神は更なる試練を与えると言うのか・・・
「こちらこそ、宜しくお願いしますね。」
普通かっ!
今の俺には、普通耐性は皆無に等しい・・・
いや、待て、今までの相手が相手なだけに麻痺してるのか?
よくよく考えたら、普通なら大丈夫だろうて・・・
・・・いや、普通って逆にどうよ?
俺に普通の会話ができるのか?
普通の若い女性っの話題って何よ?
やばい・・・わからん・・・これはもう・・・
いやいや、そんな事より、まずは・・・
「それでは、行きましょうか。」
はっ!
脳内会議に夢中になりすぎて、俺のセリフ先に言われたーっ!!
不覚っ・・・恐るべし、普通・・・
「はい。行きましょう、お嬢さん。」
これはもう認めるしかない・・・彼女は・・・強敵だ。
俺だって何人かと付き合った事くらいはある。
が、しかし、それは何度も会って、ささいな話をしたりして気が合った相手だからこそ・・・
それが初対面の相手となると・・・
やはり、早急に相手の好きそうな話題をアレするスキル、フェバリットトピックを身に付けなくては・・・
こうして、強敵な普通女子とデートする事になった。




