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ちょっとナニかが違う世界  作者: 須美音
5/13

05

店を出て、ギャルと街を練り歩く。

歩きながら、このギャルを倒す、もとい、会話内容を模索する。

・・・全く出てこない・・・

そりゃそうだ、俺はこの生き物の生態を、全く知らないからだ。

しかし、仕事である以上、俺はこのギャルに有意義な時間を提供しなければならないのだが・・・

ギャルはずっとスマホを見ながら歩いてる。

ふふっ、そうやって俺に付け入るスキを与えない作戦か・・・

ならば、こちらは・・・


「そこでいいっしょー」


ギャルがほざいた。


こちらが何か仕掛けようとすると、先手を打ってくる・・・できる・・・


「そうですね。その店で何か飲みながら話すとしますか。」


ふふっ、奇襲したつもりだろうが、俺はそれを難なくかわす。

しかし、ここまでの戦いは、ギャル主導権を取られている・・・

よし!ここからだ。ここで何か打開策を見出さなければ・・・


店に入り、注文を終えるや否や、ギャルはスマホをしまう。

そして・・・

まるでマシンガンのようにしゃべりだす。


打開策、見つかりませんでしたー・・・


「なるほど~」


「そしたらさー・・・」


「うんうん、それで?」


何を言ってるのかわからないので、適当に相槌を打つ。

彼女の言ってる事の半分はわからない・・・

なるほど・・・そういう事かっ!

彼女の使う意味不明な単語は異世界語だ。

敢えてこちらが理解できない言葉を使って翻弄し、

こちらに主導権を握らせない為の策・・・

だがしかし、残念だったな、ギャルよ。

言葉がわからなくても、俺にその手は通用しない。

なぜなら、俺は・・・相槌マスターだからだっ!

このスキルが発動中は、いかなる事があっても・・・


「んでさぁ~、って、ちょっと、聞いてるー?」


はっ!

精神攻撃を受けていたか・・・恐るべし・・・


「ああ、勿論聞いてるよ。つい、聞くのに夢中になってしまってね。」


「それでさ~」


危なかった・・・

まさか、同時攻撃を仕掛けていたとは・・・

俺のスキル、相槌も無効化されているのか?・・・世が世なら天下を取れる器だな。


「それ、いいね~」


よしっ、スキル相槌は正常に機能している。


「はぁ~? 話聞いてたぁ~? おちょくってるわけー?」


はうぁっ!!!

ご、誤作動だとっ・・・

相槌が誤作動しギャル様がお怒りだ・・・

このお怒りを、静めなければ・・・

しかし、何故だ。何故誤作動を・・・

まさか・・・ インダクション・・・

俺は間違った相槌を打つように誘導されていたのかっ!

ギャルのスキル所持率パネぇっ!!

この分だと、いくつスキルを・・・


「ちょっとーっ!」


や、やばい。何か誤魔化さねば・・・

な、何か無いか、何か・・・

ギャルの頭に付いてるリボンを発見。

これだっ!!


「い、いや、ごめんね。そのリボンいいねって思って。つい、ね。」


ど、どうだ! く、苦しいか・・・?

奴がスキル、シースルーライズ(嘘を見抜く)を所持していなければ、これで大丈夫なはず?・・・


「うっそーっ! わかるぅ~? これちょーお気になワケっ!」


誤魔化せた。


「うんうん、似合ってるよね、そのリボン」


どうやら機嫌は直ったようだ。

またマシンガンの如く話し出す。

しかしまだ、会話らしい会話が成立していない。

ん?そろそろ時間か。

それにしても、よく喋るなあ。

話をぶった切って、口をはさむ余地がないな・・・

だが時間だし、しゃーなしだな。


「え、えーっと、そろそろ時間なので・・・」


「ええーっ、うぞー、まじでー?」


まじです。


「ちょー早いんですケどぉー」


時間遅延能力を発動してたのかって位遅かったですよ。


「では、戻りましょうか、お嬢さん。」


「はいはいっ」


それにしても・・・今回は全くダメだったなあ。

ここでの戦いは俺の負けかもしれない・・・いや、完全に負けだな。

し、しかし。まだ戦いが終わった訳ではない。

昔の人は言っていた・・・家に着くまでが遠足なのだっ!、と。

くっくっくっ・・・俺は既に見切っている。

負けを引き分けくらいにはできる秘策・・それは・・・

俺の固有スキル ホールドハンズ!

またこのスキルを使う事になるとはな。ふふっ。

では、さっそく・・・

なっ、なにぃぃーっ!!!

ここにきて、アビリティーインバリッドだとーっ!!!

左手にスマホ、右手はポケット・・・これは・・・

完全にホールドハンズが無効化されとる・・・

い、いかん・・・このままでは・・・

あと5分もすれば到着してしまう・・・

しゃーない、多少強引ではあるが、手段を選んでる場合ではない。


「ちょ、ちょっと、右手いいかな?」


「んーっ、なんしょ?」


彼女がポケットから手を出した瞬間、俺は彼女の手を握った。


「ちょーーっ!! 無理やりオプ代取る気っしょーっ!」


暇つぶしでデート代使うのに、そこは気になるのな。


「大丈夫ですよ。退屈させてしまったお詫びですから。」


「べ、別に、退屈なんて・・・してないし・・・」


退屈してたのは俺の方だと言う事は、言うまでも無い。

それよりも、やはり、嫌ってわけではなさそうだ。

ならばこのまま、第二フェーズに以降する。

ホールドハンズEX発動っ!!

恋人繋ぎにした。


「・・・ほ、ほんとにサービスなんだよな・・・?」


「もちろんっ。ただし・・・」


彼女の耳元に顔を近づけ。


「この事は、内緒にね。」


と、彼女の耳元でささやく。


彼女は小さくうなずく。


そして、店に到着。

握っていた手を離す。


「あっ・・・」


寂しそうな声を出す。

可愛いな。おいっ。


「マスターに見つかるとアレだから。」


店に入る。


こうして、二人目とのデートも何とか終了した。


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