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ちょっとナニかが違う世界  作者: 須美音
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近場のカフェ的な店に到着し着席。


しかし、芸能人・・・アイドルとか?

いかん、そっち系は全くと言っていい程わからん・・・

有名な子なのかな? 名前知らないと失礼かな?


「僕はカズヤと言います、何と呼べばいいかな?」


「あ、レイナです。」


早速、疑問点を聞いてみるとしよう。


「えーっと、い、田舎から出てきたばかりで、お店のルールとかはまだよくわからないんだけど、芸能人お断りって何?」


「ああ、それはですね、芸能人とデートしている所をメディアに上がられたりすると男性の婚活に影響するからです。」


なるほど、全く意味がわからん。

ファンに嫌がらせ的な事をされるって事かな?

しかし、そういう仕事だんだよなあ。


「ええーっと・・・男の方が困るの?ファンに何かされるとか?」


「えっ!」


「えっ? いや・・・その辺よくわからなくて・・・」


「カズヤさんは平気なんですか?」


えっ、いや、何が?

流石にファンに何かされるのは嫌だけど。


「えーっと、平気って何がですか?ファンに何かされちゃいます?」


「いえ、そうではなくて・・・」


「それ以外に何か男が困る事ってあります?」


「例えば、私とカズヤさんがデートしている場面がテレビで流れたり・・・」


なるほど、やっぱりわからん。

まあ、テレビ的なのに映るのは嫌だけど・・・


「いや、その場合って困るのはレイナちゃんの方では?」


普通にスクープ案件だし・・・


「えっ!」


「えっ?」


どうやら俺の常識と現状の常識は結構違うっぽいって事は何となくわかるんだが・・・

どう違うのかが、いまいち、よーわからんな。


「な、なんで僕が困る事になるのかな?」


「いえ、普通は男性が女性とデートしている事が公になると困りますよね?」


いや、何が困るのかを教えてよ・・・


「でも、そういう仕事ですよ?」


「一般女性が相手なら公になる事はないですから。」


ふむ・・・

公になったら男は婚活に困ると・・・

それは将来結構するであろう女性にそんな場面を目撃されたら、その女性と結婚出来なくなるから?

う~ん、詳しく聞いても納得のいく答えが得られるとは思えんなあ。

その辺もっと聞きたいが、しゃーない。話題を変えるか。


「まあ、僕はそういうの気にしないので大丈夫ですよ。」


「よかったぁ」


「所でレイナちゃんはアイドルとか?テレビとか全然観ないので芸能人とかわからなくて・・・」


「はい、〇〇〇っていうグループで活動してます。」


全くわからん。

そういや、ここって女性アイドルとかって成立するのか?

男のファンって居ないんじゃ・・・女性のみとか?

その辺りも気になるな。


「やっぱり男のファンの方が多いのかな?」


「んー、そうですね・・・半分くらいは男性だと思いますよ。」


男のファンいるのかよー・・・

あれー?男って女子が苦手系じゃなかったの?

ふむ、憧れるのは別腹って事か?

直接は抵抗あるけど、テレビ越しならいいとか・・・?

ならば、握手会とかはどうする?

気になる事だらけだなっ!おいっ!


「握手会とかって、どうやってます?」


「握手会?何ですかそれは?」


はい。わかった。触れ合いタイムは無しって事ですね!


「いやいや、そんなの無いに決まってるよね!」


「流石にできないですね・・・」


まだ全然分からん事だらけだが、ちょっとは情報を引き出せたな。

まあその辺は、この仕事をしていればその内判明していくだろう。


「それにしても芸能人は大変だね、なかなかデートも出来ないでしょ?」


「そうなんですよ!でも良いお店を発見したので、これからは大丈夫です!」


うちの店の事かな?

他は殆どお断りしてるっぽいし。

しかし、何故うちの店だけ・・・

そういや手を握るのとかも他の店はNGなのに、うちは普通にOK出してるし・・・

うちの3人は芸能人相手でもデートOKなのだろうか・・・?


「それにしても、カズヤさんって恥ずかしくないんですか?」


なっ、なにーっ!!!

何この恥晒しなおっさんは、的な事をこのタイミングで言う・・・だと・・・

この糞豚おやじがっ、恥を知れっ!的な目で見られてる気がする・・・

やばい、どうしよう、何が恥知らずだったのか全然わからん・・・

むしろ恥ずかしい、どうしよう・・・


「えーっと・・・は、恥知らずだった・・・かな?・・・」


「いえいえ、違います!そうではないです。言い方が悪くてごめんなさい・・・」


「え、では、何が恥ずかしくないとか?」


「カズヤさんって、ちゃんと相手の目を見て話してるので・・・」


ん? そう、お母さんに言われましたよ?

それに、可愛いから目が離せませんよ!

はっ!そういえば・・・

昨日の同業者のあいつらは、俺が突っ込むほど目をそらして話しをしてたなあ・・・

なるほど、どういう事か。


「そうですね、僕はこれが普通かな?」


「普通の男性では、考えられないですよ・・・」


確かに、そうかも。

昨日の奴等でさえあの始末・・・これ系の仕事をしてない男ならどんなアレなんだろうか・・・


「いや~、よく変わってるって言われるんだよね~。」


「絶対変わってますっ! こんな風に男性と話せた事は初めてですからっ!」


何か、凄い力説しているが・・・


「え、えーっと、それは、一応、喜んで貰えたって事で、いいのかな?」


「はいっ! 今後はずっと、カズヤさんを指名しますからっ!」


いやいや・・・ずっとって・・・

凄く嬉しいんだけど、そんな何回も会ったら話す話題無くなると思うんだが・・・

と、言うか、今日で既に話題が無くなるような気がする。

そういや、指名制度があるって事は同じ客と会うって事だよなあ・・・

うちの3人はよく毎度同じ客を相手にしてるなあ。ひょっとして、あいつらって凄い?


「ありがとう。凄く嬉しいよ。つ、次会った時の話題考えておかなきゃー、あはは。」


「えっ?」


ぐはっ、えっ?って言われたああああっ!

な、何故だ・・・何故、疑問形っぽい返しが来た・・・

恐らくは、次会った時の話題、に対して、その反応をしたんだろうが・・・

流石に毎回同じ話題とかありえんだろう・・・


「え、えーっと・・・な、何かおかしな事言ったかな・・・?」


「いえ、わざわざ、考えて貰わなくても・・・大丈夫ですよ・・・」


そっ、そっちかーっ!

要するにアレか、気を使わなくても良いですよ。的なアレか。

しかし、考えておかねば、次会った時に何を話していいかわからん・・・

ならば、予め綿密な作戦を立てておいて、何も考えてこなかった体で話せばいいのでは?

その為には、色々と・・・


「所でカズヤさんって・・・」


はっ!

また脳内会議に夢中になってしまっていたか・・・


「ん?何かな?」


とか色々と話しつつ、間に何か食べながらとかして、何とか時間になった・・・


ふう・・・中々ハードなアレだったぜ・・・

さて、時間だし、そろそろ戻るとしますか。


「そろそろ戻りますか。」


ならば、恒例のアレ、必殺ゴットハンズ!もとい、ホールドハンズ。

やらねばなるまい・・・何故ならば・・・レイナちゃんが、めっちゃ可愛いからだっ!

やらない理由が見つからないぜ・・・

なんせ、彼女は・・・アイドルなんだからなっ!

アイドルと手を繋ぐ・・・くっくっくっ・・・握手とは違うんだぜ?

どうよこれ?以前じゃ考えられ・・・


「はいっ、あっという間でしたねっ。」


はうぁ!


あっという間だったんかい・・・マジで?

よし、店を出た瞬間に、ホールドハンズ・・・

いや、アイドルだから、ホールドハンズEXを発動じゃ!


「た、楽しい時間は、あっという間に過ぎちゃうね。」


店を出た。


よし!ここだーっ!

ファンの皆さん、ごめんなさいね?

いくぞっ! 必殺ホールド・・・


なっ!なにいいいいいいいいいっ!!!

さ、先に仕掛けられただとーっ!!!

そ、そんな、馬鹿な・・・

このスキルは先に仕掛けた方が有利・・・

故に俺は今・・・結構照れ臭い状態になっている・・・

さ、最後の最後に、してやられるとは・・・

いや、そもそも彼女はオプションを・・・


「カズヤさんの事気に行ったので、後から清算って事で!」


いや、それ・・・ありなの?

現状の男なら、発狂してるのでは?

それが、まかり通るなら最初からオプション指定とか、いらないんじゃ・・・

そんな事より・・・アイドルから先に手を繋いで来るなんて・・・嬉しいっ!

が、しかし、先手を取られるとは・・・油断した・・・不覚っ。

このままでは終われない・・・

予定は狂ったがEXを発動して、主導権を握るしかないっ!

何故ならば・・・俺が嬉しいからだっ!

そして、サービスって事で料金は頂かないっ!

くっくっくっ、完璧な策だ・・・

俺にとっては、手を繋ぐくらいでお金を取るとかありえん事だし。

よし!ホールドハンズEX発動っ!!

恋人繋ぎにした。

更に!追い打ちをかけるように、彼女の耳元で・・・


「サービスだから料金は頂きませんよ。」


「・・・」


決まったな。

どうやら、ぐうの音も出ないようだ。そして俺も嬉しい。

とか、何とかしている内に店に到着し、彼女は無言で帰っていった。

んー、結局あの後からずっと会話無かったなあ。

また調子に乗り過ぎたかなあ・・・次来てくれるかなあ・・・


こうして、芸能人とのデートを終えた。


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― 新着の感想 ―
[一言] どんどんお話が進んでくれてテンポがいいです。 飛び込み客の多さに比べて従業員が少ないんじゃないかなと思いましたが、 以前の話を読み返してみたら、ライバル店が多い地域だから飛び込み客もそれなり…
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