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ちょっとナニかが違う世界  作者: 須美音
10/13

10

次の日の朝。


「う~ん。眠いダルい・・・めんどくさい、どうしよう・・・寝るか・・・」


「はっ!」


「今日は街を練り歩きつつ、人間観察をするんだった!」


「さてと、いつものようにシャワー入って飯食って出すもの出して。」


ミッション実行中・・・


・・・ミッションコンプリート


「よしっ、いざ出陣っ!」


先ずは近場を探索して・・・ってそういや、この辺全然知らん所だなあ。

以前の家からも職場からもちょっと遠いから来る事がなかったんだが。

向こうに公園らしき何かを発見したので行ってみる。


「んー、流石にこの時間は誰もおらんか。」


しゃーない、店がある繁華街にでも行ってみるか。


そして到着。


そういや、この辺ってデートでよく通ってるけど、脳内会議やら妄想やらに必死でじっくりと見た事が無いな。

この時間でも結構人がおるなあ。

ん?何か、男女のペアが結構おるぞ。

カップル・・・にしては、ちょっと二人の間に距離があるか。

そういや、デートでカフェってる時もペアが結構いた気がした。

よし、何処か適当なカフェに入って観察してみるとするか。


ほう、この時間でも既に結構人がおるな。

ではあのカップルっぽいペアの近くに陣取って観察してみるか。


ふむふむなるほど、やはり同業者だったか。

これは会話のアレとかの参考になるかもしれん。

・・・と、思ったのだが・・・

しかし・・・男の方は酷いなこれ・・・


いや、そこの返しは違うだろっ!

そこで黙るなよっ!

声小っさっ!

ちゃんと彼女の目を見て話せっ!

ふうふう・・・俺がデートしてる訳でもないのに、突っ込みだけで疲れたぜ・・・

俺も大概だが、こいつも相当ひどいなっ!

嫌々やってる感がハンパないな、おいっ!

ダメだ・・・観察対象を完全に見誤ったなこれ・・・

しゃーない、店を変えるとしよう。


別の店に入って、それっぽいペアの近くに布陣。

・・・一応会話はそれなりにできてるっぽいが・・・

ちゃんと彼女の目を見て話せっ! こいつもかっ!

いや、これ、ひょっとしたら・・・一歩引いた所から俺を見たらこんな感じとか?

こいつらと大差無しか・・・

勉強になるかもと思っていたが・・・

いや、まだ二人だ、サンプルが少なすぎる。

あ、あと一人観察してみるか。

・・・

結果は同じ。

やれやれ、現在の男共は全くと言っていいほどダメダメだな。

結婚するまで貞操を守るみたいな事を言ってた気がするが、それ以前に結婚出来るのかこれ?

よくここまで人口増えたなっ、おいっ。

あー、ひょっとしたら以前より人口とか少ないかもなこれ。

とにかく、まとめると・・・うん。よし。俺のほうがまだマシだこれ。

全く勉強にはならんかったが、俺よりダメな奴がいるなら、何かちょっと安心できた気がする。

よしっ!この勢いで帰って寝るとするか・・・


店を出て歩き始めた。すると・・・


「か、カズヤさん?」


背後から女性の声がした。

振り向くと女の子がいた。

誰だろう?


「えーっと・・・」


「この前お会いしたマリです・・・」


この前・・・

おおっ!

彼女は俺のファーストカスタマーのマリちゃんだ。


「偶然だね、何してたの?」


「カズヤさんに会いに行ったらお店が休みで・・・」


あー、そういや今度指名するとか言ってたような。

せっかく来てくれたんだし誘ってみるか。俺も暇だったし。

仕事だと色々考えてしまってアレだけど、仕事じゃないなら気が楽だ。


「そっかー、せっかく来てくれたんだし、その辺で話でもしていく?」


「え・・・良いのですか?」


「いいよ、どうせ暇してたし。」


「でも・・・」


んー、現状では女はお金を払ってまで男とデートしたがるはず・・・

彼女も実際、今日も店に来たっぽいし。

あー、店を経由ぜずに男とデート的な事をするのに警戒してるって事か。

なるほど、確かに以前の美人局的なアレの逆バージョンが現状ならありえるかもしれない。

ならば、彼女を安心させる魔法の言葉を言うとするか。

まあ・・・ナンパ経験ゼロな俺の言葉が通用するか、わからんが・・・


「プライベートだから、皆には内緒ね?」


「はい・・・」


何故か通用したっぽい。

そして、近くのカフェ的な店で話し出す。


「か、カズヤさんって、変わってますよね・・・」


なっ、なにいいいいっ!!!

いや、普通はまずジャブだろジャブ、いきなりストレートを打ちよったか!

おかしい・・・俺の何処が変わっているのだろうか・・・

ドノーマルで通ってきた俺の何処にそんな要素が・・・


「そ、そうかな?」


「普通は・・・男性からは絶対に誘ったりは、しないので・・・」


なるほど、そう言う事か。確かに現状ではそうかもしれない。

ならば、俺は現状ではアブノーマルに属するって事か。

かと言って、今の男の生態に合わせる気は全く無い。皆無。


「なるほどね。俺はそういうのは無いかな~?」


とか、ささいな会話をしている内に結構な時間が経っていた。


「そろそろ帰ろっか?」


「あっ、はい。ではお金を・・・」


「ああ、いいよ。ここのお代は俺が出すから。」


「いえ、ここのお代とデート代も私が・・・」


「いやいや、プライベートだからデート代はいらないってっ!」


「でも・・・」


女性は皆そうなのかな・・・


「まあ、とにかく、帰ろ?」


「はい・・・」


何か申し訳なさそうな感じになっているように見える。


「それじゃ気を付けてねー」


仕事じゃないって思うと楽に話せたな。

仕事でもこんな感じで出来たらいいんだが。

さて、いい感じの時間になったし俺も明日に備えて帰るとするか。


こうして、今日の経験を明日からの仕事に生かす事にした。

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― 新着の感想 ―
[一言] 修行シーンですね。良いです。 生きてるだけで最強な主人公ばかりでなく、地道に女性経験値を積み重ねる主人公もいいものです。
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