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1月18日 職員室

 私は、昨日、矢田と話していた中学校3年生の出来事をふりかえっていた。あの日、あの場所にいなかったら、もっと私の人生も変わっていたのかもしれない。そんなことを思いながら、移動教室のため廊下を歩いていた。


 ー1月17日ー


 職員室で受け取った段ボールを、矢田と半分ずつ分け合って、教室に戻ろうとしていた。


 矢田「田中さんは、あの日起こったこと覚えてる?」

 私 「あの日って、栞とケンカした後のこと?」

 矢田「うん」


 矢田は、いつもと違った真剣な表情で私の方を見ていた。


 私 「確か、ケンカが終わった後は、午後からリレーだったよね」

 矢田「うん」

 私 「確か、アンカーだった真波と後ろにいた人がコケたんだよね」

 矢田「そうそう。あの日、真波の後ろ走っていた人誰か知ってる?」


 矢田は、私の発言にイチイチ詰めてきた。


 私 「えっー、全然知らないや」

 矢田「真波の後ろ走ってたのは、七海なんだよ」

 私 「七海って、篠木さんのこと?」

 矢田「そうそう」


 私の表情を見ながら相槌を打つ。


 私 「初めて知ったなぁ」

 矢田「実はね、あの日、七海がコケたのは、脚を怪我してたからなんだよ」

 私 「怪我してたんだぁ」  


 矢田の表情が少しずつけわしくなってきた。


 矢田「七海らしいんだけどね」

 私 「そっかぁ」

 矢田「なんで、七海が怪我したか知ってる?」

 私 「いやぁ、知らない」

 矢田「ホントに?」


 ついに、矢田の声が大きくなった。


 私 「うん」

 矢田「じゃあ、田中さんに言わない方がいいね」


 声は大きくなったが、いつもの笑顔にもどっていた。


 私 「えっー、なんでよ」

 矢田「知って誰かが得する話じゃないじゃん」

 私 「そう?」

 矢田「じゃあ、私そろそろ行くね」


 話は終わっていなかったが、何かを諦めた様子で、私のもとから去ろうとしていた。


 私 「矢田さんってさ、私の敵なの?」

 矢田「ふふふ。私は、真波と七海の敵が私にとっての敵だよ」


 矢田は、意味深な発言をして、教室を出て行った。おそらく、あの日、七海が怪我をしていた理由が私であることを知っていた様子だった。これで全てが繋がった。

 真波が私と距離をとっていたことも、矢田が私と話さなかったのも全て私が原因だったなんて‥‥。でも、矢田さんは、どうしてあの日のことを知っていたんだろう?あの場所にいたのは、私と柚月と七海しかいなかったのに。私は、不思議でしかなかった。

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