表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
73/80

3月25日 準備

 ユニフォーム、スパイク、グローブ、タオルなど次々とカバンの中に入れていく。本当に、明日からちゃんと生活しているのかだろうか?姉としては、不安でしかなかった。また、同じようになってしまうんじゃないか?そう思うと、もどかしくて仕方がない。優聖は、明日から合宿で、その準備で忙しそうにしていたのだった。2泊3日だし、楽しそうだ。お母さんやお父さんは、優聖に対してとても甘かった。まぁ、長男だし仕方ないと言えばそれまでだけど。野球部を辞めた時も、やりたいようにすればいいと二人とも前向きだった。優聖自身も、野球部を辞めた後いろいろ考えていたみたいだから、私も厳しいことは言わなかった。でも、ラストチャンスだからこそ、無駄にはしてほしくなかった。そこには、健太郎たちの想いもあった。

 本当は、聖徳高校の野球部でも十分やれたのに。自らしんどい方にいくなんて私には考えられなかった。聖徳高校に入ってから、いきなり試合に出れた優聖だったが、同学年とは上手くなじめてないことを健太郎からは聞いていた。それは、1年なのに試合に出たことに対しての嫉妬や僻みみたいなモノも少なからずあっただろう。でも、それだけではないと思った。優聖のことだから、態度が悪かったのだろう。健太郎や山里は、可愛がってくれていたみたいだけど一部の2年や1年とはトラブルがあったことも聞いていた。当然、可愛がってくれていた健太郎たちが抜けると、居心地も悪くなるだろう。野球は一人ではできないことを優聖が一番よく知っているはずなのに。

 辞める決定打になったのは、トラブル後に起きた監督の采配だった。健太郎が言うには、その日試合が予定されており、いつものようにアップをしていた。しかし、同学年の生徒が優聖のグローブを触って遊んでいたみたいなことがあり、怒ってしまったとか。そんな優聖を見ていた監督は、当初先発ピッチャーとして試合に出てもらう予定だったが、とてもじゃないけど出れる状態じゃなかったらしい。しかし、ピッチャーとして出場する準備をしていた優聖は納得いかなかった様だ。私からしたら、本当にくだらない理由だった。優聖にとっても、野球部にとっても、いい話し合いはできていない。

 逃げるようにして優聖は、野球部から出ていったのだ。気持ちがわからなくはないけど、このまま辞めて本当によかったのだろうか?今は、ただ優聖を信じることしかできなかった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ