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3月20日 野球ノート

 私たちは、久しぶりに家で休んでいた。どうやら、今日は優聖野球しないみたいだ。なんか、ノートを見ながらいろいろ書いている。何をしているんだろうか?優聖は、ペンを置いて私の方を向いた。


 優聖「健太郎さん、落ちたんだ」

 私 「うん。まぁ、国公立しか受けてないからね」


 健太郎が落ちたことに対して、あんまり言いたくなかった。昔から知ってるし、誰かの上手くいかないことを話すのはあまり気が向かなかった。


 優聖「やっぱり、そうだったんだ」

 私 「どういうこと?」


 何かを知っているようだった。


 優聖「ずっと言ってたんだよ。国公立行くって」

 私 「そうなんだ」


 なるほど、健太郎は後輩にも伝えてたのか。


 優聖「じゃあ、浪人するの?」

 私 「そうらしいよ」


 浪人なんて簡単な言葉じゃない。ここから、1年間ずっと勉強しないといけないんだから。


 優聖「大変だな、健太郎さんも」

 私 「大変なのは、アンタもでしょ」


 ヘラヘラしている優聖が不思議で仕方がなかった。


 優聖「俺は大変じゃないよ。結果出すだけだから」

 私 「野球部からいろいろ言われないの?」


 ずっと気になっていた。優聖が他の野球部員から色々言われないか。


 優聖「まぁ、最初は言われたけど今はそんなにないよ」

 私 「そうなの?」


 相変わらず、あっさりしているな。優聖は。こういう性格だから、野球も上手いのかな?なんかいろいろ気になってしまった。


 優聖「勇介くらいかな」

 私 「勇介くんって誰?」 


 聞き馴染みのない名前だった。来年度は、いい選手が入ってくるという噂なのに、それでも戻らないなんて。


 優聖「俺たちと同じ代のピッチャーだよ」

 私 「そうなんだ」


 これからの聖徳高校野球部にあまり興味はない。ただ、そういう感じで考えると自分がいないところに対して興味がもてなくなるという不安はあった。


 優聖「あいつもセンスあるから、一緒に来たらいいんだけどな」

 私 「そんなセンスあるの?」

 優聖「うん。伸び代がめっちゃある」


 そんな奴が、部活動で頑張っているというのに、コイツは。ヘラヘラしているコイツに違和感を覚えてしまう。でも、やっぱり上手くいく人に対して、私はいろいろ思うんだろうなと感じた。あれだけ上手くいっていなかった優聖だけど、上手くいくとなんかよくわからないな。

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