3月19日 運勢
もう少しで入学式。私も、新しい何かが待っていると信じて動き出していた。健太郎、頑張っているのかな?少し心配になっていた。
ー3月19日ー
私 「私も何かあればな、、、、、」
定本「きっと優衣も見つかるよ」
私 「そうかな?」
定本「そうだよ。あんま思いつめるなって」
私 「‥‥‥」
思うように言葉が出てこなかった。
定本「俺もそうだけどさ、比較しすぎちゃうんだよな」
私 「なんかわかるかも」
定本「もっと、楽しめばいいんだよ。もっと」
わかる、その通り。でも、、、、。
定本「俺も、受験で落ちてさ、わかったんだよな。なんか、違うなって。こうじゃないって。わかってんだよな。頭の中では。でも、現実は違うくてさ」
健太郎の言っていることが痛いほど胸にささる。
定本「この前、侑大が言ってたよ。もっともがけって。ムカつくよな、それが強者かって、、、、、、。でも、違ったよ」
健太郎の話を聞けと言わんばかりにグラウンドは、静かだった。
定本「侑大は、ずっとわかってたんだよ。受かるだけが人生じゃないって。成功も失敗も、それを見据えたモノだってことも」
そんな俯瞰して見れるなんて。どこかで聞いたようだ。
定本「優衣も俺と同じだな。ハハハハハ」
"選手交代のお知らせをします。9番大野くんに変わりまして、代打田中くん"。
定本「来たぞ、弟」
私 「うん」
左バッターボックスに入った優聖。プロ野球選手かのようにバットを投手の方に向ける。向こうのピッチャーは、かなり速そうだな。ここまで、ヒットは1本しか打ててない。ほぼノーヒットピッチングだった。どうする?弟よ。初球に合わせてタイミングを取る。しかし、バットは振らなかった。ストライク!!
定本「ハハハハハ、凄いな。あのピッチャー」
私 「打てそうなの?」
定本「来年の運勢を占うにはいいタイミングじゃないか?」
私 「ちょっと、弟で運勢を占わないでよ」
2球目。再び優聖は、バットを止めた。ボールは勢いよくキャッチャーミットに入っていた。これで、ツーストライク。あとがなくなった。どうする、優聖?
私 「打ってくれるよね?」
定本「そればかりはわからないよ」
3球目。私たちの運勢を占うかのように投げてきたボールに優聖のバットが向かっていった。




