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3月11日 切り替え

 昨日、打てなかったけど練習に行かないなんてことはなかった。優聖も私と同じく、気分の浮き沈みが凄い。そのため、上手くいかなかった後の立ち直りは遅い。


 優聖「今日の飯なに?」  

 私 「今日は、餃子だよ」

 優聖「ふーん」


 聞いた直後と顔色が変わらない。これはいいことなのか。それともよくないことなのか。優聖は、何を考えているのだろうか?


 私 「どうしたの?」

 優聖「いや、なんでもないよ」


 優聖を見ていると、客観的に自分を見ているような感覚をもってしまう。私も、あんな感じで気分の浮き沈みが激しく周りに迷惑をかけているのかと思うと自分が嫌になってしまう。


 私 「昨日、どうだった?」

 優聖「まったくだったよ」


 昨日のことは、あまり聞かれたくないみたいだった。しかし、そこから目を背けてはいけない。これは、姉として優聖に伝えたいことだった。高校からは、ろくに部活もせず生きてきた私だからこそ、弟にはちゃんと頑張ってほしいと思っていた。


 私 「凄かったの?」

 優聖「今の俺では歯が立たなかったよ」


 素直に相手を認める優聖がいた。少し、これまでとは違うのだろうか?野球部を辞める時は、監督のせい、部員のせいにしてたけど、今は違う。


 私 「そんなに凄かったんだ」

 優聖「でも、次は必ず打つさ」


 もう切り替えているみたいだ。思ったよりも引きずっていなかった。


 私 「その意気で頑張りなさい」

 優聖「次は、俺が打つ日に来させるよ」


 もう、打てない日に来てもらうのは嫌みたいだ。これは、優聖らしい。


 私 「ハハハハ。ちゃんと打つ日に招待させなさいよ」

 優聖「ああ。約束するよ」

 私 「それでこそ、弟だよ」


 我が弟が少しだけ誇らしくなってしまった。


 優聖「昨日は、悔しすぎたよ」

 私 「そんなに悔しかったんだ」


 あれから、どんなことを考えているのか。彼の脳裏には、次が待っているのだろう。


 優聖「うん。打席に入った時から打てる気がしてなかったんだよな」

 私 「そんなにか」

 優聖「他の人がどうやって打ってるか不思議だよ」


 今まで、そう思われていた優聖がそう思うようになったのかと思うと不思議な気持ちになった。


 私 「逆に打ってる人いるの?」

 優聖「うん。高校生は、春風さんだけだ」

 私 「あっ、この前言ってた人じゃない」

 優聖「そう。あの人だけみたいね」


 また、あの人かぁ。よく出てくるな。

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