1月15日 解決
今日から、昨日の卒業制作の準備が始まった。私は、絵画制作の班に入り、屋久保や村上たちと下書きの準備を始めていた。少し、離れたところには、湊谷がダンスの振り付けを教えながら、その映像を、羽村が撮っていたのだった。
ー1月14日ー
室屋「じゃあ、時間取るんで、3つの中から選んでくださいー」
クラスのみんなは、3分ほどの時間で考えていた。私は、村上から借りていた漫画を机の中に入れて読んでいた。
室屋「じゃあ、時間きたんで、採決とります。まず、寄せ書きがいい人?」
寄せ書きを提案した栞を、含んだ9人ほどが手を挙げた。
室屋「次に、絵画について聞きます。絵画がいいと思う人?」
絵画は、女子中心に10人ほどが手を挙げていた。
室屋「じゃあ、最後。ダンスがいい人?」
ここでも、女子中心に11人ほどが手を挙げた。どれも、同じくらいの票になった。
室屋「うーん。決めるの難しいなぁ」
栞 「一番多い、ダンスでいいんじゃないの?」
室屋「まぁね。でも、たった一票か二票の差だしね」
皆川「それは、そうやな。どうせやるなら、ちゃんと、決めた方がいいよ」
栞 「じゃあ、どうするんよ」
皆川「うーん。それ言われてもな」
湊谷「あれは、あれ」
室屋「なになに?」
湊谷「1位と2位で決めるとか?」
室屋「それやったら、3位と2位の差は?」
湊谷「それは、諦める」
室屋「あきらめるんかい」
栞 「やっぱり一番多いダンスでいいんじゃないの?」
皆川「まぁ、そうなるかぁ」
なかなか、卒業制作が決まらない。しかし、そんな問題は、一人の女の子によって全てが解決された。
矢田「じゃあ、全部やればいいんじゃない?」
教室内がザワついた。
栞 「颯希、さすがに全部は、無理じゃない?」
颯希「時間は、大丈夫だと思うよ。寄せ書きは、栞と菜月中心でやって、絵画は、美術部の3人にやってもらって、ダンスは、ふりつけと撮影班分けたらできると思う」
颯希の問題解決策に一同唖然としていた。
栞 「さすが、颯希。天才」
皆川「ホントそれね」
栞 「じゃあ、早速それでいこうよ」
室屋「そうだね」
矢田「でも、今のままだと上手く進まないと思うよ」
栞 「なんでよ?」
矢田「みんな、本気じゃないからだよ」
再び、一同唖然としていた。
矢田「みんな、もうすぐ卒業だよ。このままでいいの?」
颯希は、私たちの方を見つめて訴えかけた。
矢田「やりたいなら、どれやりたいか伝えるべきだよ。やりたくないなら、やらないでいいと思うし。結局、やらされていることをしてもしょうがないよ」
颯希の発言に、みんな耳を傾けていた。颯希の発言は、本当に説得力がある。さっきまで、文句を言っていた生徒も誰一人言わなくなった。クラスの中心人物の、栞や皆川たちですら、耳を傾けており、本当にスターだった。
その後の話し合いにより、結局、寄せ書き、絵画、ダンスの全てをやることに決まった。