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2月25日 覚悟

 昨日、健太郎に言われたことに火がついたのか。今日は、いつもより早く起きて家を出たのだった。バットやグローブを持っていたので、おそらく上の壁当てのところだろうか?まだ、納得はしてないだろうけど、やる気が出たのはいいことだった。

 健太郎から言われた。まだ、ポジションは空いてると。1番レフト安田、2番サード菊池、3番センター小川、4番ライト後藤、5番キャッチャー向井、6番セカンド藤本、7番ショート中島、8番ファースト本庄、9番ピッチャー鳥居という風になっているとこの紙キレを見てわかった。

 この紙キレを優聖に渡してみたら、また心も変わるんじゃないかと言われた。ただ、簡単に渡すことはしたくなかった。弟がこの程度の挫折で崩れてほしくなかったのが本音だ。私は、ご飯を食べた後、身なりを整えて、優聖がいるところに向かうことにした。行って何かをするということではなかったけど、彼がこれから何をしたいのかということを見たかったのだ。

 青空の下、バットを握り締めた優聖は、壁を見つめながら素振りをしていた。汗ばんだ額からは軽い息遣いが漏れている。彼の目は真剣で、左右の足を軽く踏み出し、バットを振り抜いた瞬間、少し音が聞こえる。彼の見据える先には、何があるのだろうか?ただ、ひたすらバットを振り続ける優聖の姿は、なんとも言えない。


 優聖「どうしたの?」

 私 「あっ、、、」


 急に見つかって驚いてしまった。


 優聖「何しに来たんだよ?」

 私 「早くから家出ていったから、どうしたのかなって」


 あまり納得した様子ではなかった。


 優聖「俺、決めたよ」

 私 「何を?」


 バットを右手に持って、覚悟をした印象を受けた。


 優聖「野球部辞めるわ」

 私 「えっ、なんで?」


 驚きよりも理由の方が気になった。


 優聖「続けると思っただろ?」

 私 「うん」


 覚悟が決まった優聖は、何者よりも強そうだった。


 優聖「部活に入らずに野球を、続けるよ」

 私 「どうやって?」


 そんな方法があるのだろうか?


 優聖「トレーニングするところがあるんだよ。そこに行く」


 トレーニングするところなんてあるんだ。本気なんだ。私は、弟ながら関心してしまった。


 私 「いいの?」

 優聖「ある意味、スッキリしたよ」


 健太郎には、申し訳ないけどここまで覚悟が決まっているなら、優聖のやりたいようにやればいいんじゃないかと思った。

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