1月14日 卒業制作
今日から、卒業式に展示される卒業制作の準備が始まった。1月の後半から2月の前半までは、大学試験の都合で、全員が揃うことが難しくなるからだ。
私たちのクラス委員長は、室屋。室屋は、教壇の上に立って私たちに話しかけた。
室屋「じゃあ、今から卒業制作の出し物決めますー。したいものがある人は、教えてくださいー」
室屋の声かけとともに何人かが手を挙げた。
室屋「じゃあ、栞」
一番早くに手を挙げていた、宮城栞が指名された。
栞 「私は、寄せ書きがいい?」
室屋「どんな寄せ書きなの?」
栞 「クラス31人全員分の寄せ書きしたものを作りたい」
ヤンチャな性格だけど、卒業に少し寂しさを感じていた栞だった。
室屋「いいね。それって、どんなやつなの?」
栞 「普通の色紙じゃなくて、卒業文集みたいに作りたい」
室屋「思い出残りそうだね。それって、どれくらい時間かかりそう?」
栞 「卒業文集が早くできたら、大体4時間くらいでできると思うよ」
室屋「そうなんだね」
そう言って、室屋は、黒板にチョークで「寄せ書き」と書いた。
室屋「他にある人?」
また、2、3人の手が上がった。
室屋「じゃあ、皆川」
続いて当たったのは、皆川佳穂だ。
皆川「私は、全員で絵を描きたい」
室屋「絵を描くのん」
皆川「うん。みんなで絵を描いて、コンクールに応募しようと思って」
皆川の提案に、少しザワついた。
室屋「何そのコンクール?」
皆川「能谷が言ってたんだけど、高校生が応募できるコンクールで最優秀賞は、賞金10万円だって」
賞金10万円という言葉に、みんなビックリしていた。
室屋「10万円欲しいねぇ」
皆川「でしょー。いいと思うんだけどなぁ」
室屋「どれくらいの大きさの絵なの?」
皆川「一応、縦横が5mかな」
縦横5mは、少し大きいようにも感じた。
室屋「それって、どのくらいでできそう?」
皆川「美術部の能谷と若狭が中心になると思うけど、4時間内には終わると思うよー」
室屋「わかった」
室屋は、先ほど同様にチョークで「絵画」と書いた。
室屋「まだ、他にある人ー?」
今度は、一人だけ手を挙げていた。手を挙げていたのは、湊谷渚だった。
室屋「湊谷」
湊谷「はーい。私は、ダンスがいい」
湊谷は、笑顔で返事をしていた。
室屋「ダンス?」
湊谷「うん。クラス全員でダンスしてる映像を撮って、テレビ局に送るのー」
室屋「テレビ局に送るの?」
端で状況を見ていた先生は、笑っていた。
湊谷「送るー。みんな、全国ネットに映るよー」
室屋「そんなんできるの?」
湊谷「うん、今やってる朝の情報番組で、ダンスPV応募してて」
私も、ダンスPV応募のテレビを見ていた。
室屋「それって、素人とかのダンスでも大丈夫なの?」
湊谷「大丈夫らしい」
室屋「そうなんだ。ダンスは、難しそうだけど、みんなできるかな?」
湊谷「難しいけど、撮影するから間違えても繋ぎ合わせれるよ」
室屋「そうなんだぁ。じゃあ、ダンスもありだね」
室屋は、「ダンス」とチョークで書いた。その後、他の案が出なかったため、寄せ書き、絵画、ダンスの中から選ぶことにした。