2月16日 定本健太郎
目の前にいるのは健太郎。小学校の頃と比べると随分大きくなった印象だった。昔は、あんなに小さかったのに。今は、こんなに大きくなって。親ってこういう気分なんだろうな。
健太郎「昨日、ありがとう」
私 「ううん、こっちこそ。もらってくれて」
わざわざ、チョコレートのお礼を言いに来てくれたのだった。
健太郎「懐かしいよな。チョコレートとか」
私 「あの頃は、当たり前だったけどね」
私たちが中学生の頃は、そういうことしかしていなかった。
健太郎「いやー、ホントだよな」
私 「それより、大学は?」
なんか、聞いてはいけない気がした。でも、もう聞いてしまったしな、、、、。
健太郎「無理だったよ、二つとも」
私 「まだ、終わってないんじゃないの?」
なんとか、励ますように声をかけた。
健太郎「俺が行きたかったところは、どっちも共通試験の点数が足りなくてね」
私 「そうなんだ、、、」
結局、返す言葉が見つからなかった。
健太郎「また、来年挑戦するよ」
私 「そっかぁ。難しいよね」
また、来年も、挑戦できる我慢強さが羨ましかった。
健太郎「まぁな。優衣はどうするんだよ?」
久しぶりに優衣って呼ばれた気がする。たしかに、私たちはずっと名前で呼び合っていた。それは今日に始まったことではなく、小学3年生ごろからずっとだった。
私 「私は、受かったところいくよ」
健太郎「ふーん。楽しみか?」
楽しみかどうかと言われるとな。
私 「全然だよ。ホントいきたいところは学力足りないし」
いきたいところにいけないのは仕方がない。それよりも勉強してこなかった自分がよくないのだ。
健太郎「でも、いくんだったら楽しまないとな」
私 「そうだね」
健太郎は、昔と変わらず前向きだった。
健太郎「そういえば、優聖どんな感じ?」
私 「あー。あれね、、、、、」
最近は、できるだけ考えないようにしていた。けど、こうして健太郎に言われると我にかえってしまう。私の弟である優聖は、12月頃から部活動に行かなくなってしまったのだ。正式に退部届を出したわけじゃないからわからないけど。健太郎には、その相談にずっとのってもらっていた。しかし、プライドが高い優聖には、健太郎の言葉では入らなかった。そう考えると、健太郎は改めて凄いと感じさせられる。




