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2月10日 合否

 卒業式までに提出する課題を解いていた。一つの大学からは、既に合格通知が届いていた。さほど感動することもなかった。こんなものなのかと、合格通知書を見て思った。不合格だったら、もう少し感情もあったのかもしれない。ただ、もう一つの大学からは、まだ連絡が来ていない。

 私としては、このもう一つの大学の合否の方が大事だった。お母さんやお父さんは、私がどちらの大学に行こうがあまり気にしていないみたいだ。まぁ、私の家自体がもともとそういう教育方針だから仕方ないけど。だからこそ、弟の優聖もノビノビと野球をしているのだろう。

 数学の問題を解き終え、英語の長文読解を日本訳し始めた。この問題は、地球温暖化がテーマにされたものか。こうやって一度に英語の力と社会の力を両方学ばせようとするのだからスゴイ。本来、別個のモノだと捉えてしまうのがよくないのだろうか?日本訳をし続けた。

 私は、課題を解いていると、5人の写真が目に入った。そこには、あどけない笑顔をした真波がいた。あっ!!私は、あの日のことを思い出してしまった。シャーペンを置いて、写真に目をやった。そう言えば、、、、、。中川楓。彼女は、何を考えていたのだろうか?あの日の真実はまだ、解き明かされていなかった。結局、誰が全てを知っていてるのかすらわからない状態だった。あの日の出来事に関わりがあったのは10人くらいだろうか?

 私たち5人、BIG3の篠木、矢田。そして、栞、諏訪、渚。もしかしたら、知らないだけでもっといるかもしれない。新事実を知っているのが中川なら聞かない手はない。でも、聞いたらまた昔のことを思い出してしまう。

 ずっと避けていた過去。このまま触れてしまった方がいいのだろうか?自分自身迷っていた。このまま触れずに卒業した方が私は楽だ。そうすれば、この先、真波たちとも関わらずに済む。そんな未来を私は望んでいた。

 私は、思い出したようにスマホに目をやった。スマホのやりとりの中に、クラス全員の出身中学校が記載されていたはずだ。指を上に上げながら、中川楓を調べていく。何度もスクロールすがなかなか見当たらない。どういうことだ?

 全く見当たらない現状に嫌気がさし、スマホを机の上においた。中川以外の人は、ほとんど出身中学校が記載されていたのに、中川はない。この違和感は、なんだろうか?このまま勉強し直すには時間が必要だった。椅子から、立ち上がり部屋を出た。

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