1月30日 単語帳
目の前にある英単語帳には、間違えた単語が蛍光ペンで塗られていた。
村上「もうすぐ、受験」
私 「そうそう。もう、疲れた」
休み時間、私は、英単語を見ながら、村上と話をしていた、既に大学に合格していた村上は、スマホをいじりながら、余裕そうな表情を見せていた。
村上「いつなの?」
私 「明後日」
村上「受かりそうなの?」
私 「たぶんね」
受かっても受からなくても、村上に関係ない。まさに、意味のない会話だった。
村上「優衣って、いつも、困ってない?」
私 「どういう意味?」
村上「困ってるように見えるから」
思いあたるような思い当たらないような、、、。なんともいえない気持ちだった。
私 「そう?」
村上「そうだよ。なんか、困ってるか楽しそうにしてるかのどっちかが多いイメージだな」
私 「そうなんだ。ハハハ」
苦笑いをするしかなかった。
村上「自分では自覚ないな?」
私 「えっ、何が?」
英単語帳を閉じて、村上の方を見つめた。
村上「どっちかになることが多いこと」
私 「困ってるか楽しいかってこと?」
村上「うん」
似たようなことを、昔、明日花に言われた気がする。明日花は、ここまでキツイような表現はしていなかったが、もしかしたら、村上もそう思っているのかもしれない。
私 「あんまりないな」
村上「えっー。なんか生きててしんどくない?」
私 「うーん。そういうのあんまり考えたことなかった」
ただ、ガムシャラに生きているだけで考えることなんて少ないことに気がついた。
村上「周りからどう思われるかとか気にしない?」
私 「あんま気にしたことなかったな」
村上「でも、ある意味、それって長所だよね。普通、そう思えないもん」
長所かぁ、、、。そう思えたらどんなに楽かぁ。昔から、気分の浮き沈みが激しいことにしんどさを覚えていた。
私 「そうかな?」
村上「そうだよ。だって、私とか言ったことでみんなに嫌われないかなとか気にするよ」
村上の話を聞いて納得した。これが、一般の感覚かぁ。どこか、みんなと違うことはわかっていただけに思うところがあった。
私 「そんなもんなのかなぁ?」
村上「優衣が凄いだけだよ」
私 「凄くないよ」
私が話を終えると、チャイムの音が鳴り響いたのだった。




