1月12日 矢田颯希
今日は、月曜日。少し憂鬱だった。高校3年生になってから、学校に行くことが楽しいと思えなくなっていた。受験勉強の影響もあるが、クラスのメンバーが私にはあってなかった。
今は、3年3組にいる。クラスには、BIG3の矢田颯希、スポーツ万能の皆川佳穂、ヤンチャな宮城栞、明るい湊谷渚。クラスにこれだけのメンバーが集まると、私の存在感は、ほとんどなかった。
私がいつも一緒にいるのは、屋久保と村上。どちらも、静かな生徒だ。ホントは、皆川や湊谷とかと一緒にいたいと思っていたが、それはできなかった。というか、あまりにも雰囲気が異なりすぎた。
BIG3の矢田颯希は、教室内でも別格の存在。他の生徒も話すが、基本的には一人でいることが多い。現在は、私立の医大を目指して勉強中。矢田さんは、私が最もあこがれている人物だった。同じBIG3でも、真波は真面目で篠木さんは、クール。その中でいえば、矢田が一番私にあっているだろうと思っていた。しかし、彼女と話していても、私と目指しているものが違いすぎて話が合わないことに気がついたのだった。
私が始めて矢田に話しかけたのは、4月中旬。体育の休憩中に私から話しかけた。私たちの共通の話題であった真波について話をふってみた。いつもと変わらないような様子で話をしていたみたいだが‥‥。
ー4月ー
私 「矢田さんって、真波と仲良いの?」
矢田「うん。昨年一緒だったよー」
私 「真波って、どんな人なの?」
矢田「すごい可愛いくて、いい子だよー」
私 「そうなんだぁ。一緒に遊んだりしてるの?」
矢田「遊んだりするよ」
私 「そうなんだね」
矢田「次の時間の数学、何するか知ってるー?」
私 「確か、小テストの返却とかじゃないかな」
矢田「この前のテストかぁ。ちゃんとできてるかなー?」
私 「矢田さんなら、ちゃんとできてるよー。勉強せずに遊びに行きたいなぁ」
矢田「眠たいなぁ」
私 「そうだよねぇ。この時間帯は、眠たくなるよね」
ー現在ー
矢田の話に対して、「そうなんだ」としか言いようがなかった。私は、真波つながりで仲良くなれるかなという期待をもって、話しかけたが矢田は、私と仲良くなろうとする姿勢はなかった。受験勉強が忙しいということもあってか、矢田は、他の生徒ともはしゃいだり、つるんだりすることもなかった。
なぜ、矢田があんな風な態度で話をしていたのか、昔の私には知るよしもなかった。もっと、ちゃんとしていたら、矢田とも仲良くできていたのかもしれないと今になって後悔していた。