1月21日 辰巳慎之介
放課後、私が掃除をしていると、村上が近づいてきた。
村上「優衣、明日何するの?」
私 「明日?勉強だよ」
村上「えぇ、つまんないー」
私 「ハハハ。屋久保と遊びにでも行ってきたら?」
村上と遊ぶなんて、私の中では、考えられなかった。
村上「屋久保、用事あるんだって」
私 「そうなんだぁ」
村上「どっか、行きたいとこないの?」
私 「遊園地とか」
遊園地なんて、高校入ってから行ったことがない。
村上「遊園地いいね。でも、カップル多いからね。優衣は、彼氏いないの?」
私 「彼氏いないよ」
村上「中学校の時、辰巳くんと付き合ってたんでしょ」
私 「まぁね」
村上「でも、辰巳くんと付き合えるなんて優衣はスゴイよね」
私 「全然、スゴくないよ」
村上は、私が思い出したくないことを言ってくる。
村上「そう?めちゃくちゃスゴイと思うよ。だって、今は、諏訪と付き合ってるんでしょ」
私 「まぁね」
村上「辰巳くん狙ってた男子、めちゃくちゃいたらしいよ。その中で付き合える諏訪もスゴイけど」
村上からしたら、辰巳や諏訪は、スクールカースト上位の生徒なのだろう。
私 「そうなの?」
村上「そうだよ。優衣は、高校なってから好きになった人いないの?」
私 「んー。ひみつ」
村上「教えてよ」
私 「だって、口軽いじゃん」
笑いながら、村上の方を見つめた。
村上「軽くないよ。誰?」
私 「じゃあ、ヒントだけだったら」
村上「いいよ、全然」
私 「野球部」
村上「えっ、野球部なの?」
私 「うん」
村上「じゃあ、限られてくるね」
なんでわかるんだろう?心の声が漏れそうになった。
私 「ヒント与えたから、後は考えて」
村上「野球部だと限られてくるんだよね」
私 「そう?」
村上「うん。だってモテそうなん5人くらいしかいないもん」
私 「もしかしたら、モテない人かもしれないよ」
野球部。3年生は、約15人。今年1年生は、20人入るなどとても大所帯になっていた。
村上「絶対、優衣はモテそうな人選びそう」
私 「どうかな?」
村上「たぶん、橘、八幡、橋本、定本、山田くらいだろうね」
私 「他は、ないの?」
村上「ないでしょ。だって、飯田とかありえないでしょ」
飯田は、少し空気が読めないところがあり、嫌いな人も多い。
私 「やめて、かわいそうだから」
村上「それで、定本くんは、小学校の時から知ってるならないと思うんだよね。で、山田も接点ないから違うでしょ」
私 「そうかなぁ?」
村上「てなると、橘、八幡、橋本の誰かでしょ?」
私 「うーん」
村上の言っていることは、半分合ってるようなものだった。




