爪楊枝
とりあえず一通り剣のいろはを丁寧に教えた筈だ。
それなのになぜだろう、今目の前で完成したケリーの剣は、木の枝みたいだった。
「どうしてだ。俺と一緒のことをしたよな。」
「だってサエナギさんの教え方雑なんだもん。」
ケリーの言い方が鼻についた。
いくら教え方が雑でも最低限剣っぽい形にはなるはず。
それなのに爪楊枝みたいなやつになるなんて俺は経験したことがない。
もうすぐ勇者が剣を引き取りにやってくる。
この爪楊枝じゃあ、ゴブリンはおろかスライムも倒すことができないだろう。
「まあ、俺の剣を売ることにするか…。」
ため息を吐き、ケリーの顔を見た。
「ありがとう、やっとまともな商品が売れる!」
ケリーは自分の作った武器がガラクタなのに気づいていたのか、それをわかって商品として売ってるなんて、タチの悪いひとだ。
「名前は古部輪という名前の勇者だから、その名前を名乗る人が来たらこの剣を渡すんだ。」
「えっゴブリン!ゴブリンが来るの?大変じゃん。」
「いや、勇者だから、コブリンだから。似てるけど、全然姿違うから、多分。」
ケリーは突然今いる場所を離れ奥の部屋へと向かった。
数分が経ったが一向に帰ってこない、心配になり彼女の元に向かうことにした。
「ああ、サエナギさん、今団子を作ってるの、お腹空いたかなあと思って。」
たしかに、ツッコミや剣作りでかなり腹も減っていた。
気の利く彼女は立派なお嫁になれると思った。
「あ、ありがとうな。ってさっき作った爪楊枝を串として使うんじゃない。」
でもなぜだろう。この爪楊枝にも何か他に使い道がある気がした。
今は分からないが…
食事を済ました後、我々はくつろいでいた。
「あのすいません、剣を引き取りにきたコブリンです。」
ようやくきたか随分待った気がする。
まあそんなことはどうでもいい。
「はーい、ってゴブ、リン?」
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