やっちまってる女
「玉鋼あるか。」
「ほえ?」
「いや、剣作るためにはそれないと無理だろ。」
「へえ、私チョコレート使ってた。」
「そんなんで作れるか。」
「だって食べたいじゃない。」
「食べたくねえよ」
飽きれた俺は、店の中を勝手にあさりだした。
多分、倉庫の中に玉鋼はあるだろう。
「ちょっ、レディの部屋をあさらないでよ。」
「いや、玉鋼を探してるだけだから。」
なぜか、急に焦りはじめた。
あの子も、あんな感じでもちゃんと女の子なんだと感じることができた。
ここかな。倉庫らしきものを見つけたので、扉を明けてみた。
「なにこれ」
「えっ、チュパカブラだけど。」
「なんで燻製にしてんの」
「鑑賞のため」
俺は勢いよくその扉を閉めた。
彼女の言葉に従わなかったのはなぜだったのか。
後悔に後悔を呼ぶ後悔を感じた。]
「もういいよ。俺の家に玉鋼のあまりがあるからそれを使うぞ。」
ため息をつき、肩を下に落として、自分の家に向かった。
まずは火を起こすぞ。
火を持ってきてくれ。
「はい、火持ってきたよ。ファイアーソーサラーのサラマンさんです。」
「どうもサラマンです。」
「いや誰だよ。」
「サラマンです。」
「いやそうじゃなくて誰だよ。」
「あっさっき道で見つけたサラマンさんです。」
そんなに、明るく言われても突然の展開に理解できるはずがない。
親戚だと思ったけど、タダノ通行人だと、どんなコミュ力だよ。
そういうところは、感心するな。
「サラマンさん、ありがとう。」
本当に火をつけてくれただけで帰った。
「今度からはマッチを使ってくれ。」
なんか怖いから。
「分かった―」
こいつは本当に分かっているのか、サラマンさんはいい人だったが、そうじゃないやつもこの世界にはおおい。
少しばかり、彼女の天然に心配間を感じた。
「こうして玉鋼を熱するんだ。そして適温になったら、この大づちと小槌でしっかり叩いていくんだ。これには力がいるからがんばるんだぞ。」
「なんか縁起がよさそうだね。なんかやっちまったって言いたい。」
何を言っているのか、さっぱり理解できない。
やっちまってるのはあいつ自身だ。
「やっちまった、やっちまった、やっち―まったー。」
やっちまったを掛け声のように使ってる。
でもそのおかげで玉鋼がいい具合に薄くなっている。
やっぱこいつ才能の塊なんじゃ…。
「やっちまった。やっちまった。」
やはりアホだ。
さっきのモノローグは記憶から跡形もなく抹消しよう。
「さあ次の工程にいくぞ」
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