政略結婚したら愛する旦那様に不貞を疑われているようです。
※走り書きしたものです。低クオリティ注意
※少し性行為を匂わせる描写があります。
「お前の結婚相手が決まった」
そう告げた父の顔は、何故だか曇っていた。
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私、リアンナは今年で18歳である。確かに、そろそろ婚約の話がまとまってもいい頃だとは思っていた。
思っていた、けど。
まさか、私の結婚相手が闇魔力持ちだなんて…!!
私の家は所謂貴族だ。
しかも国家三大貴族と呼ばれるほどに大きい。
それもそのはず、この国は実力主義で、魔力が強いほど、希少性が高いほど身分が上がっていく。魔力には火、風、水、土属性の四つが一般的で、貴族は大体どれかしらに適性がある。
私の家の属性は、光だ。
光や闇の魔力持ちは最上に希少だとされていて、国で重宝される。男児は国の重鎮として勤めることになり、女児はより似た魔力の強さやオーラを持っている人を伴侶にして、国のために子供を産むことを求められる。
だが、光属性が私の一族なのに対し、闇属性が生まれるのは本当に稀で、ほとんど庶民から生まれる。
私の結婚相手にあたる人も、200年ぶりに生まれた闇魔力持ちだ。
「これから、よろしくお願いします。」
「……ああ。」
王家と両親を交えた初の顔合わせで、お互いの自己紹介を終えた後の会話は、以上。
………。いや短ッッッ!!
いや、分かってる。
闇属性は使い方を誤れば一人でも国家を没落させるほどの力を持っており、四つの基本属性では対抗できない。光属性のみが闇属性を払拭できる魔力なのだ。
それゆえ、闇魔力持ちが生まれると必ずその年で一番強い光魔力を持った人が伴侶に選ばれる。
だからこそこの結婚は政略結婚であり、国家を裏切らないための予防線である。
分かってるけども!
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「いってらっしゃい」
「……ああ」
なんかもうこの人の声「ああ」以外聞いた事ないんじゃないかってくらいレオンは喋らない。
あ、レオンって言うのは私の結婚相手ね。
先日無事に結婚したものの、相変わらず全然コミュニケーションが取れない。
でも話しかけたら無視はしないし、帰ってくると必ず花をくれるので、別に嫌われてるわけでは無いと思う……たぶん。
レオンは無口なのが通常なのだと思うことにした。
それに、会話は少ないけれどもいかんせん顔が良いので、なんかあんまり気にならない。
烏の濡れ羽色の髪に、深い青の瞳。顔の造形一つ一つが整っていて、何時間見ても見飽きない。
周りの人は会話のない私達を心配してくれるけど、私は今の生活を割と気に入っている。
「ご懐妊です」
そう医師に告げられたとき、だろうな!!と思った。
なぜかって?
そう、レオンは喋らないくせに夜の営みが長いししつこい!!!
いつもはキスとかしないくせに寝室では異様なくらいイチャイチャしてくる。
無言で。
怖いけど顔が良くて拒めないわ!!!
なんなら良い匂いするし!!美形って得よね!!!
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※視点変わります(レオン視点)
俺が闇魔力持ちということが分かった瞬間に家族と引き離され、どこぞの貴族に養子に入れられた。
何で俺がと思いながら、国の為に働くことを強制された。
そんななか、18歳になると共に突然結婚相手を告げられた。
相手はリアンナという光魔力持ちだという。
要は脅しだ。国を裏切る動きを見せたら伴侶に殺されるぞ、という。
不貞腐れた気持ちで顔合わせに向かうと、そこにはあり得ないほどに美しい人がいた。
真っ白な髪に蜂蜜色の瞳、華奢ですぐに折れてしまいそうで、触れたら消えてしまいそうなほどに繊細な美しさだった。
一目惚れ、というやつかもしれない。一目見た瞬間から目が離せなくなり、彼女の鈴のような声を聞いた途端手放せなくなったことを確信した。
彼女のためなら何だってしたい。
そう思った瞬間、押し寄せたのは自己嫌悪だった。
俺は平民上がりだし、魔力も攻撃性の高い闇属性だ。おまけに髪も塗り潰したような真っ黒で、何一つ良いところがない。せめて何か一つでも彼女に釣り合う何かがあれば。
この時ほど神を呪ったことはなかった。
リアンナにとって一番良いことは、彼女を解放してやることだ。国からの命令なので離婚は出来ないが、部屋を別にして、生活が噛み合わないようにする。
そうすればもう互いに気にすることもなくなる。そんなことは分かっていた。だが、どうしても彼女を手放せない、手放したくないと願ってしまう。
そうして毎晩獣のようにリアンナを求め続け、ある日彼女が懐妊したと告げられた。
嬉しかった。
子供が出来たことも勿論、浅ましくもこれで彼女を繋ぎ止めておけると思った。
だが。
生まれた子の髪は、あまりにも鮮やかな水色だった。
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※視点変わります(リアンナ視点)
「……リアンナ」
名前を呼ばれ顔を向けると、何故かレオンがボロボロと泣いていた。生まれた子を抱いて。
「?!」
え、何で泣いてんの?!
我が子が生まれて嬉しいならともかくとして、なんかそういう感じじゃない。
何でしょう、と言うと、レオンが息子を片手で抱えながら手を伸ばしてくる。
「しばらくしたら別荘に引っ越す。小さな家で、三人だけで暮らそう。」
頬をなぜられながらそう言われ、頭の中がハテナで一杯である。
「え、どうしたんですか??」
と尋ねても首を振られ、話が進まないので息子をベッドに寝かせてからレオンを呼ぶ。
しょうがない。産んだばかりで私はまだベッドから起き上がれないんだ。
頬を両手で挟み目線を合わせながら言う。
「その思考に至った経緯を一から説明してください。あなたは口数が少なすぎて分かりません。」
半ギレである。
冷たい?知らん。別に引っ越すのはいいんだけど、何か誤解されてるのは嫌だ。何で泣いてるのか分からなくてモヤモヤするし。
そうして聞き出した話によると。
レオンはとにかく私のことが好きで、それはそれは息子が生まれるのを楽しみにしていた。
だが生まれた子の髪が水色で、私にもレオンにもない色素であるため、私の浮気を疑った。
更に言えば浮気していると知っても尚私と私の子供は大切なので手放したくなくて、別荘で三人きりで暮らそうと言ってきたのだと言う。
は?????????????
いや、好きとか初耳なんだけど????
全ッッッッッッッッ然知らなかった。何だそれ、無口にも程があるでしょ!!!
「レオンちょっと屈んでください」
私はにっこり笑って言うと、レオンは素直にしゃがんだ。
引き出しからハサミを取り出して少しだけ髪を切る。
「……?何を、」
訝しむレオンに光魔法で切った髪を照らして見せた。
光魔法って癒しの能力だから、いつもはこんな使い方はしないんだけど。
「……青?」
そう、私が照らしたレオンの髪は、確かに青色に光っていた。
「レオンの髪は黒ですけど、元々黒なんじゃなくて、青色の髪が極限まで濃くなって黒のように見えているんです。」
実際、たまに光に照らされて青っぽく鈍く光るのをいつも見ていた。
「たぶんこの子は、色素がすごく薄いんです。……だからほら、」
丁度起きた我が子を指差す。
やっと開いたその子の目は。
私の琥珀色の目を、ものすごく薄めたレモンイエローの色をしていた。
「不貞なんてしていません。謝ってください。」
呆然としているレオンを睨む。
まだ涙の痕が残り、目も腫れぼったいし鼻も赤いしで少し可哀想ではあるけれども、容赦はしない。
だってこんなに一途に想ってきたのに、浮気だなんてあんまりだ。
私が十ヶ月もお腹の中で必死に育ててきたこの子は、確かに私の愛する人との子供である。
そう告げると、レオンはまたボロボロと涙を溢し、謝罪と、愛の言葉を囁いた。