5. 早川
人身事故でダイヤが乱れたらしく、次の熱海行きは40分後という絶望を受けたが、小田原行き(早川までは来ない)が来た時に「延長運転を計画」と放送が入り、いよいよ時間も気になってきたため、それを信じて乗り込んだ。
その願いが叶い、この小田原行きは熱海行きに切り替わり、早川まで運んでくれた。
「次は、終点、小田原」と自動放送が入った時には、「白状します。小田原で無駄に1回乗り継ぎました」という文章を先頭に持ってくる覚悟をした。その後、車掌からの救いの言葉が入り、事なきを得た。乗り継ぎは、53回にしたい。
という訳で、21時28分、早川駅に到着。雨降ってるし・・・小雨だからいいけど。
旅行において一番避けたいのは時間を気にすることなのだが、もうガッツリ時間に振り回されてしまった。これも、2000字弱の文章を打つのに30分かかる能力と、ダイヤ乱れに巻き込まれる日頃の行いの悪さを呪う。日頃の行いを良くするって、どうすればいいのだろうか。
それは改善できないと諦め(これ諦めるからダメなんだろうけど)、それはさておき明日からは宿屋を決めてないので、ゆったり行きたいところ。それと、日中に執筆するとすぐに暗くなるので、夜にまとめて書く前提で動こう。その分、メモをしっかりせねば。あと注意したいのは、近くにホテルがない駅の存在。
もうホームに屋根がないのが当然になり、紙とペンは使えるレベルの小雨の中を歩く。ちなみに傘は、リュックで洋服の下に埋もれてる。
東海道線は普通列車でもグリーン席があるのだが、乗ってる人、ポツポツいる。そして普通席との人口密度のギャップ。値段次第だけど、移動が長いようなら使いたくなるかもね。
駅の出口に差し掛かると、1つのポスター広告が目に付いた。11/22にオープンしたらしい、「漁港の駅」なるものだ。道の駅みたいな感じのやつだろうか。他にアテもないし、開いてないだろうけど行ってみよう。ポスターによると、「まさに海の玉手箱」。閉店後に行っても、歳を取らせてくれますか?
駅の正面のやつは何だろう・・・ラーメン屋だった。閉まってる。コンビニは・・・ないよねえ。腹減った・・・。
ポスターに書いてあった「右へ」を信じ、車道に出て右へ。でも明らかにカーブの方向がポスターの図と違う・・・。さっそく無視して、横断後も直進して路地に入った。
すぐに海に出た。でも「漁港の駅」はなさそう。潮の香りが、いいですね。右に見えるのは、大きな橋。あれか? とりあえず右に進むと、地図発見。あの橋、全然関係なかった。さっきの車道を右に行くので合ってた。せっかくなので、橋の下まで移動して車道に戻る。橋には「料金所 1km」の標識があったので、ありゃ高速か。
「漁港の駅」にはすぐに着いた。ベンチのある広場が見えたので、行ってみる。「ゲートは6時に開きます」って、いま開いてるけど・・・右側のゲートを見ると「22時に施錠します」とのことだった。今は9時43分で、ギリセーフ。でももうあんまり進めないね。
すぐ近くで海を眺めることにした。海上に、パッと見ガソリンスタンドに見えるのがあるのと、右の方には「漁港の駅」と思われる建物。ガソリンスタンド的なやつはカメラで拡大してみたけど、よく分からなかった。なんか水色の箱が並んでる。
もう完全に閉店してるだろうから諦めて、引き返す。日中に来れなくて、本当に申し訳ない・・・。帰り道は、車道をくぐるトンネルを発見。
だがトンネルの先に、駅への道しるべはなかった。まあ、右だろう。暗いし、車道から離れないようにしよう。
閑散とした住宅街を歩く。すれ違ったのは、おじいさんが1人だけ。こんな時間に観光客が歩いてることを想定してるだろうか。もしかすると、おじいさんも観光客だったりして。
結局、車道に合流し、ちょっと進むと駅が見えた。ラーメン屋の手前で曲がり、ネタを探してキョロキョロしていると見えたのは、「漁港の駅」への案内看板。明らかに、一番の近道っぽい。駅のポスターの「右へ」って、車道に出ずに右だったのか。駅の正面にも看板あったし。くっそ見落としてた・・・。
駅に到着。時刻表では10分待ちだったが、前のが遅れてたらしくすぐに乗れた。普段もたまに助けられることがある、遅れて来た電車に。ヒーローは遅れて来るものさ。
さっき大磯で、20時チェックインで予約してた宿屋に遅刻の連絡をした自分もヒーロ・・・いや、ただの厄介者か。遅くなりますが、お世話になります♪
てか、早川にいたの30分。急ぎ過ぎた・・・。旅エッセイは訪れた地の魅力を伝えるはずのものなのに、何もできてなくないか・・・? 閉店後に行っちゃったけど・・・、漁港の駅・小田原、ぜひ訪れてみてください。駅を出て、車道に出ずに右ですよ!