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父と娘のやり取り ☆涼音視点☆

私に久しぶりの異性の友達が出来た。

地味なくせに、口を開くとなぜか上から目線の物言いのせいで、クラスで孤立している藍原君にあんな一面があったとは思いもしなかった。


お父さんの助言のおかげで、修学旅行のグループもちゃんと組めた。

私は先日のお父さんとのやり取りを思い返す。


〜〜回想〜〜


「彼はすずのその可憐な容姿を知らないのだろ?今度学校に行く時はいつものお下げと眼鏡はやめて今の感じで行くんだ。きっと彼は驚くだろうけど、喜んで修学旅行のグループ組んでくれるはずだ」


「うん、分かったよ。それでねお父さん……?私なんだか分からないのだけど、藍原君の事を考えると鼓動が速くなる気がするの」


「なんだって!?それは大変だ。もしかしたら彼とすずとの相性が最悪なのかもしれない」


そう言われて胸がズキンと痛んだ。


「お父さん、私……藍原君と仲良くなりたい。どうしたらいいかな?」


「そうだな……。男ってのはとにかくギャップに弱い生き物なんだ。一度だけその格好で登校したら次からは普段通りのおさげと眼鏡に戻すんだ」


私は黙って頷く。


「いいか、すず。もしかしたら、修学旅行をきっかけに彼と仲良くなってお互いを意識する日が来るかもしれない。だが恋人となるには多くのフラグ立てとルート解放条件をクリアしなければならない」


「フラグ立て?ルート解放?」


お父さんの言ってる事が分からなかったので聞き返したものの、私に恋人はまだ早い気もする。

でも参考までに聞いておいて損はないかな。


「いいか!?よく聞くんだ。分かりやすく言うとフラグ立てとは、相手に好感を持ってもらえる為にやる事だ。さりげなく優しくするとかわざと怖がったりするとか色々な方法があるが、彼の場合は小悪魔的な路線で攻めるのがいいだろう。いいか?彼に発言権を与えず、ワガママを言って彼を振り回すんだ」


「え……!?それって嫌われないかな?」


「大丈夫だ、なんせお父さんにかかれば思春期真っ盛りの高校生の考えなど手に取るように分かる。お父さんはな?そういうのを生業としてるんだから心配するな」


お父さんの仕事を詳しくは知らないが、かなり昔に引きつった顔をしたお母さんから聞いた事がある。

娘の交友関係の相談に乗れるなんて凄いと思うんだけど、どうしてあの時のお母さんは嫌そうにしていたのだろう……。


「ありがとうお父さん。藍原君とこれから仲良くなれそうな気がしてきた」


「まだだ、すず!!いいかここからが大事な事だ。もし今後仲良くなって、お互いを好きになったとしても…百回遊びに行かないと恋人にはなれないからな。これがルート解放だ」


「ひゃっ、百回も?」


「ああ、そうだ。そして結婚はさらにもっと厳しい条件になる。ルート解放するだけじゃダメなんだよ。ちなみに結婚するまではアレはもちろんの事、キスも……手を繋ぐこともお父さんは許さないからな」


「…………」


私はお父さんからの助言を一言一句聞き漏らすまいと、黙って首を縦に振る。


「だがな?男はケダモノだ。いくらすずが注意してても、もしかしたら襲われるかもしれない。だからもし修学旅行中に彼と二人になってしまう時は絶対に忘れてはいけないものがある」


「ごくっ……」


自分が唾を飲み込む音が聞こえた。


「サランラップとマスクとラテックスグローブ(医療用手袋)だ」


なぜそれが必要なのか全く理解出来ないでいた私の様子を察したお父さんは更に続ける。


「マスクは必ず着用しておく様に。風邪でもないのにマスクをしていると不審がられるが花粉症と言って誤魔化すんだ」


(こくこく)


「花粉症の振りがもしバレてしまった時は、素直に外す事。だがもしもだ。マスクを外した瞬間に彼がキスしてきたら、サランラップで緊急回避をするんだ。サランラップ越しはノーカウントだからな」


友達に普通キスはしない気もするけど、お父さんがそこまで言うならあるかもしれないので、一応気をつけておこう。


「次にラテックスグローブだが、これはもし彼がどさくさに紛れて手を繋ごうとしてきたらすぐに着用する事。大抵の男はこの行為で手を繋ごうとはしないだろう。これについては今後必要になってくる近藤さんにも関係してくる。まだすずは知らなくていいが、もしも彼の手がかぶれたり(←ゴムアレルギーの反応)した時はお父さんにすぐに報告する様に」


(こくこく)


とりあえずよく分からないが黙って頷いておく。


「いいか、すず。身持ちの堅い女がいい女の証だ。彼がもしもそれが分からない様な男だったらお前が教えてやるんだ!!分かったな!?」


「はい!!」


「よーし、いい返事だ。これですずはきっとクズ原君…じゃなかった……えっと…こないだの彼と仲良くなれるはずだ」


お父さんが藍原君の名前を呼び間違え気がしたけど、きっと気のせいだろう


〜〜回想終わり〜〜



やり取りの一部始終の回想も終わり、私は藍原君と友達になれた喜びを思い出し、ベッドにダイブした。


これから友達になってもらうだけなのに、なんか色々アドバイスをもらってしまった。

お父さん、心配しすぎだよ……私もう子供じゃないのに。

離れててもずっと気にかけてくれるお父さんに感謝しつつ、藍原君ともっと仲良くなれたらいいなと思いながら私は眠りについた……。

今更ながら後書きを書かせていただきました。ブクマ・評価・感想ありがとうございます。今回はよく分からない内容に思えるかもしれませんが、涼音の父の職業とか思惑を楽しんでいただけたら幸いです。

いつも読んでくださってありがとうございます。PV・ブクマ・評価・感想…全てが励みになっております!

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