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取り返しはつかない

作者: 五月病

「やあ」


「元気にしてる?」


「あの、さ」


「その、」


「辛いってことはさ、わかったからさ」


「外に、出てきて、くれない…かな」


「…悪かったと思ってる」


「ちょっとした悪ふざけだったんだ」


「君がそんなに苦しんでるとは思わなかったんだ」


「謝りたいんだ」


「僕のしてきたことをさ」


「だから、さ」


「出てきてくれないかな」


「お願いだから」


少年は、しばらくドアの前で返事を待っていたが、やがてしびれを切らしてドアノブに手をかけた


「…そうだよね、入れてくれないよね」


「…プリント、ポストに入れとくから」


「戻って、きてよ」


「待ってるから」


少年が去り、問いかける声のなくなった部屋には、重いものをぶら下げた縄の軋む音だけが響いていた

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― 新着の感想 ―
[良い点] うわぁ...手遅れみたいですね。五月病さん、こんばんは!地の文を挟まないことで、連続が上手く表現されてますね。最後の文章で縄の軋む音が本当に聞こえてきたかのようでした。なかなかここまで質感…
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