神様、亜空間
食後のお茶を終えてセーレは寝る為に寝室へ、ロキ達も寝る為に寝室に向かう事にした。キャリーは前もって呼んでいたけど植物の研究に取り掛かるからゆっくり休んで下さいませとだけ言って俺達の寝室から近い部屋で研究をしている様だ。疲れた1日だったなとルシエラの膝枕で直ぐに寝落ちるロキ。
目が覚めて翌朝。
ロキは背伸びをしてルシエラに挨拶をする。
「おはよルシエラ」
ルシエラの額にキスを落とす。
「おはようございますロキ様」
ルシエラもそれのお返しと言わんばかりに俺の額にキスを落とす。
「朝にキャリーは見掛けたか?」
ルシエラに問い掛ける。
「ロキ様が起きるまで部屋に居ましたが作業部屋から出てきた様子はありませんでしたよ?」
「そうか、それならキャリーを迎えに行くか」
2人は仕切りのカーテンを閉めて着替えてから部屋を出る。
「こっちの部屋でしたよねロキ様?」
「確かその部屋だぞ?」
「キャリーさん居なさそうですよ?」
ほら?とドアノブを開けて中を見せるルシエラ。え?キャリー何処行ったの?
「ルシエラも『索敵』お願い、俺もする。『索敵』展開屋敷全体」
「分かりました。『風の声よ』」
2人で索敵魔法を展開する。
「ルシエラどうだ?」
「今玄関の方向を見てますが居ません」
「俺は裏庭の方見てるんだが居ない…コレってどういう事だ?」
ルシエラが不穏な言葉を零す。
「もしかして攫われたのでは無いでしょうか?」
キャリーは豚の屋敷から帰ってきて昨日離れるまで俺の神様状態の姿で居た。
「俺の姿で居たから攫われたって…まさか?!シトリーの仕業か?」
「そうかも知れませんが、ロキ様の結界には何の反応も無かったんですよね?」
「そこが引っ掛ってる所なんだよなぁ」
俺の結界は寝ていても常時発動型なので少しでも異常があれば俺が気付くから寝てようが何してようが分かるものなんだがそれには反応が無かった。
「昨日話した内容覚えているか?」
ルシエラに問い掛ける。
「昨日ですか…どの話でしょうか?」
「マントに付けないかって言った亜空間の話だよ」
「あぁ、アレですか?アレがどうかしたのですか?」
「シトリーが亜空間の使い手の魔族だとしたらって思ってな」
「亜空間の使い手…ですか?」
「あぁ、それなら結界に反応が無いのも頷けるんだよ」
亜空間を繋げて招いたとしたらキャリーは攫われた可能性が高い。
「今10時か…サタンは起きてるな。連絡してみるわ」
携帯を取り出してサタンに連絡する。プルルと無機質な音が何回か鳴ったらガチャリとサタンが電話を取った。
「サタンか?今時間大丈夫か?」
『ロキー?どしたの朝から?』
「ダンダリオンまだ屋敷に居たりするか?」
『彼はもう領地に戻ったけど何ー?何か用でもあったの?』
「いや、ダンダリオンはシトリーと面識があったのか聴きたかったんだが…」
『あるよ?』
「え…あるのか?前の宴会以外でだぞ?」
『あるよー?あの子…あ、シトリーね?あの子って情緒不安定な所あったからダンダリオンに逢わせてみたんだよ』
「結果聞いてるのかてめぇは」
『勿論。潜在能力も聴き出してるよ?』
「マジで?」
『ダンダリオンて誘導尋問得意だし暗示も得意だからねー』
「その結果聴いてもいいか?」
『潜在能力は空間魔法らしいよー?』
「空間魔法か…納得したわ」
『何かあったの?』
「俺ん所のメイドが攫われたかも知れねぇんだよ」
『ま?マジのま?』
「嘘ついてどうすんだよ…空間魔法の使い手とか面倒臭いなぁ」
『相性あるもんねソコは』
「それな…まぁ、ありがとな。また何かあったら連絡するわ」
『いいよん♪了解ー』
厄介な事になったな。