神様、遊戯2
2人の顔色は良くなって来てるのが横から見ても分かる。
「旦那様は何でも出来るのでルナティックでも余裕そうです」
ミアが言う。ノイアーも、
「旦那様は運も持ってる上にチートのボク達よりも遥かに上回るテクニックをお持ちなので毎回参考にしてるんですよ」
笑みが溢れる2人。さっき迄の虚ろな感じは無さそうだ。
カチャカチャと筐体の設定を弄ってランキングをクリアする。対戦はノイアーからみたいだ。
「勝ち負けはクリアしたステージとスコアで勝負でいいのか?」
「「それでお願いします」」
ノイアーとミアがぺこりと頭を下げる。それじゃあ始めますか。
「ノイアー…ゲームスタート」
俺はノイアーが席に着くのを見て静かに合図を出すと真剣な表情でコントローラーを握るノイアー。
カチャカチャとコントローラーを動かす音とシューティングゲームのBGMが響く遊戯室。他のゲームは今はオフにしている。
「あ、ノイアーそこ違う」
ミアが指摘する。
「ココはこれでいいんだよミア」
ノイアーは目もくれず返答する。俺は2人を眺めて観察していた。男女の双子に作ったけど見た目の差異も無いし分からない人だと見分けも付かないだろうな。俺たち屋敷の住人は見分けが着く様になってるからか気にしたことないんだが双子って本当に不思議だよなぁと眺めてるとノイアーがファイナルステージに突入したようだ。
「ノイアー…結構やり込んだのかコレ?」
俺は早くもファイナルステージに辿り着いたノイアーに驚いた。
「弾幕は多いんですけど、さっきミアが指摘したとこにショートカットがあるんですよ…ミア見てたよね?」
ノイアーがチラッとミアの方を見てから直ぐ画面に目を戻す。
「うん、見てたよ。ノイアーの操作にビックリしてたとこ」
ミアは本当に驚いたのか何かボソボソと言葉を反芻している。
「ボク、ミアよりコレだけはやり込んでるからね…でも、旦那様はもっと凄いテクニック持ってる気がする」
カチャカチャと無機質な音が響く。中ボスを難なくクリアしてラスボスと対峙するノイアー。
「この弾幕のパターンはこう来るはずだからこう!!」
カチャカチャと操作するノイアー。
「やった!ボクのスコア99875ポイントでファイナルステージクリアです旦那様!!」
今までで1番のポイントが取れたのかミアとハイタッチしている。
「凄いよノイアー!私でもこんなにポイント取れないもん」
キャッキャしてる2人。
「旦那様。私はノイアーみたいな高得点は取れないので棄権してもいいですか?」
ミアがコチラを伺う。
「構わないぞ。んじゃ、次は俺の番だな?」
ノイアーと席を替わりゲームスタートする。カチャカチャとゲームを進めて行くとさっきノイアーの指摘してたステージに突入した。
「ミア、ノイアー。ココはさっきのクリアの方法でも良いんだけど、ココを少し進めてからの中ボスを倒してからこのアイテムを拾うと…はい。裏ステージ突入」
「「え?」」
2人がキョトンと俺のコントローラー捌きを見てる。
「待ってミア…今の知ってた?」
ノイアーが呟くように言う。
「私これそんなにやり込んでないから知らなかったんだけど…ノイアーも知らなかったの?」
こくこくと頷くノイアー。
「ボクはショートカットがあるステージって認識しかしてなかった」
やっぱりなぁ…やり込んでても分からないとこあるもんだよな。
「コレ別にノイアーの見落としじゃないから気にすんなよ?後、裏ステージ行くとポイント2倍だから覚えておいた方がいいと思うぞ」
コントローラーを巧みに使い中ボスラスボス裏ボスを倒してクリア。
「んーっと…198500ポイントだな俺。ファイナルステージてか裏ステージだから判定は任せるけどポイントだと倍近く違うから俺の勝ちじゃね?」
ふと、2人に目を向けると2人は抱き合ってた。
「「旦那様のチート殺しーーーー!!」」
2人してハモって叫んでる。
「ソレは褒めてんのか?」
「旦那様は凄いと思ってたけどまさかここまで凄いと何して勝てるのか分かんないですボク」
ノイアーが項垂れて言う。ミアが抱きしめながら続けて言う。
「ノイアーも凄いよ…でも、対戦相手が旦那様の時点で負けなんだよ私達」
「まぁ、いいや。俺勝ったけど何か罰ゲームとかすんの?」
「「罰ゲームは嫌です!!」」
カタカタと震える2人。
「嘘々。罰ゲームはしないから安心しろ。取り敢えずゲームしながら様子を見てた感じ普段通りになったなミア、ノイアー」
「そういえばそうです」
ミアが言う。
「頭の中がクリアになったと言うか普通に考えたりできます」
ノイアーも言う。
「ボクも判断能力も反射能力も普段通りになってました」
「アクセサリーの効果だな定期的に不安定期入るならもうそのアクセサリー渡してた方が良いかもな」
爺の第一夫人さん用に考えていたけども…
「でも、旦那様のアクセサリーって凄く高くて質のいい物ばかりってイメージなんですけど」
ミアが言う。ノイアーも、
「アクセサリーひとつで一般的なお屋敷が買える程ってファントム様から聞いてます!!そんなものをボク達が貰ってても良いんでしょうか?」
あー、ファントムからそれなりの値段が漏れてたか。
「んー?じゃあ、こうしよう。お前達が生まれてから屋敷で何年働いてるか分かるか?」
えーっと…と考える2人。
「軽く1000年は超えています」
「それの見返りだと思えばいい。俺給料も休みも与えてるけど何か特別なボーナスってあげてないだろ?最年少組のお前らから何かあげていこうと思ってた所。まぁ、ファントムとかテレサとか辺りは要らないって言いそうだけど…」
2人はぼけーっとした後、ハッとなり目配せをしてから俺の真正面に歩いてきた。
「「旦那様の元で働けて幸せです!!造って下さりありがとうございます!!」」
2人して跪いてる。そんな2人の頭を撫でながら言う。
「俺もお前達が生まれて来てくれて嬉しいよ。今日はこの辺にしてもう休んで良いからな」
「「はい!!」」
2人は満面の笑みで応えた。
「それじゃソレの効果も見れたから俺アトリエ戻るけど平気か2人共?」
ミアとノイアーは顔を見合わせて、
「「旦那様の元で生まれて働けて幸せです!!まだまだひよっこですがコレから貢献していきます」」
ぺこりと頭を下げる2人。
「気持ちだけで嬉しいよ。生まれてくれてありがとうな。俺そろそろ行くわ、ゆっくり休めよ?」
「「はい!!ありがとうございます!!」」
2人に見送られてミアとノイアーの部屋を出た。