神様、本命の人
「あー、怠かった…あ?ルシエラこの姿知らないんだよな?」
小声で言うロキ。
もぞもぞと起き出すルシエラ。ロキはそれを見てピシッと固まる。するとルシエラは微笑みながら、
「ロキ様?どうしたのですか…ふふふ」
と言うルシエラ。え?ルシエラ…俺って分かるの?
「ルシエラさん?俺、今かなぁり見た目変わってると思うんですけど?」
ルシエラはんーっ?と考え込んでから、
「そう言えばいつもの様にジャラジャラしてませんね?」
そこ?!いやいやいや!!違うだろ?!何かおかしい。仕方ない思念伝達でファントムとテレサ呼ぶか…
『ファントム、テレサ今何をしている?』
ファントムは、
『旦那様の書類に目を通した所でございます』
テレサは、
『今掃除が終わりましたが如何なさいました?』
『後の事は他のヤツらに任せておけ、裏庭のガゼボに来い』
2人は「?」となりながらも『畏まりました』と言った。
数分して2人が来たが久しく見た神様状態のロキに恭しくお辞儀をしてきた。
「あー、今は気にするな。それよりも聞きたいことがある」
経緯を教えると2人はきょとんとして。
「「元より旦那様の分身体の様なものですから分かっていたのではございませんか」」
と言う。
「え?ルシエラそうなのか?」
ルシエラに問いかけるロキ。
「偶に寝てる時その状態になられますよ?ですから黒髪だろうと白金の髪だろうと間違えたりしません」
ドヤ顔のルシエラ。
「所で付けていたアクセサリー等は何処へ?」
ルシエラがきょとんと聞いてくる。ロキは足元を指して、
「此処。ハエ払うのに外した」
「ハエ?」
ルシエラはきょとんとしている。ファントムとテレサが慌てて拾い集め、ルシエラはまぁまぁといった感じでのほほんとしていた。
ファントム達は拾い終えるとアクセサリーを付けていってくれる。付け終えたから作業に戻りますとお辞儀をして去る2人。
あっ!とルシエラが思い付いたかの様に言ってきた。
「ファントムさんやメイドのテレサさんイヴさんキャリーさんノイアーさんミアさん達もロキ様が生み出したのですか?」
あぁ、そんな事か…
「ルシエラには彼等が何に見える?」
きょとんするルシエラ。
「え?人ではないのですか?」
あー…やっぱり。
「人はそんなに長生きしないだろー?彼等はゴーレムに近いんだよな。最初はホムンクルスを作る予定だったんだが…構造が予想以上に複雑で大量には作りにくいんだよ。そこで基本的な行動をするゴーレムと成長するAIの組み合わせで出来た1号がファントムで2号がテレサその若干劣化したのがイヴとキャリーとノイアーとミアだ。ホムンクルス的な意味で初めて産まれたのはルシエラお前だけだよ…天使族でも魔族でも…人族でも無い至高品。神が造ったから人造人間にもならないんだよな…創成類族とでも名付けるか?」
ルシエラがくすりと笑う。
「なんですかその大層な名前は…あ!でしたら、ロキ様の好みは私だけなのですか?」
何を聞いて来るのかと思えば…
「当たり前だろ」
そう言うとルシエラにいきなり抱きつかれた。
「ロキ様…凄く…凄くお慕い申しております」
ファントムとテレサはもう居ないから暫くこのままで良いか。
頭をぽふぽふと撫でてやる。
数分抱き合って居ると日が暮れてきたので手を取りながら屋敷に戻ることにした。
その晩はルシエラが家庭的な料理が食べてみたいですと言うので基本トマト使う料理でとテレサに言ったらハヤシライスとトマトのカプレーゼだった。
喜んでたけど…家庭的と言うか庶民的嗜好になってないかルシエラ?
ワガママ言ってくれて良いんだぞ?専用の菜園も有るんだから。
取り敢えず色々あった翌日。
ルシエラの体調も良く、思念伝達の時にファントムとテレサとその他が言うにはノイズ的なものは無くなった様で一安心して居る。
ルシファー?知るか。
そんな事は置いておいてひとつ忘れてた事があった。
夫婦になる約束の前提がルシエラが成人になるまでなんだよな?
月のものが来たらって事なんだが俺は男だ。いつが目処なのか知らない。テレサ達もゴーレムとAIの掛け合いだから基本的に生殖機能はない。
ルシエラに確かめるにも聞にくい。一度聞いたが…
「月のものって何ですかそれ?贈り物でしょうか?」
と言われた。説明出来ないよ流石に恥ずかしくて。そうだよなぁ…普通の家庭だと母親とか姉から自然に教わるよな…説明しても痛みとか精神的に参ったりで辛いって事しか分からないし。
どうしたものかと友愛の神のアテナさんに連絡を取ってみる。携帯を出して発信する。何回か鳴った後にアテナさんが出た。
『あら?ロキ君どうしたの珍しい?』
「いや、最高傑作の調子診てもらいたいんすけど無理すか?」
『えぇ、少し難しいわね。立て続けで予定が組まれてしまってて』
「そうっすか…いや、いいっすよ。ありがとうございます」
アテナさんがダメとなるとアイツか…嫌だなぁ…
億劫な気分で項垂れるロキだった。