神様、戯れた後
ルシエラは自分専用の使い魔が気に入った様子でかなり構って居る…ペットがそんなに欲しかったのか。
「ルシエラー?偶には休ませろよ?」
ルシエラは軽く返事をして遊ぶのを再開している。子供のように無邪気に遊ぶ姿には癒される。ルシエラの初使い魔は神狼と犬神の2体。ペット感覚でいるみたいだ。神獣同士の戯れも必要だから神狼と犬神を出して家族交流させてやる。
お茶の時間にもなったのでテレサを呼びお茶をする。ルシエラは戯れたのが疲れたのかぐってりと机に突っ伏していた。
「わんちゃんて元気ですよねー」
「犬と一緒にするな…仮にも神獣と言う事は忘れるなよ?」
「わんちゃんに見えるんだもん」
「神獣は気位が高いから注意しろよ」
「えっ?!」
「機嫌損ねるとどうなるか分からないからな?」
こくりとお茶を飲むロキ。
「それよりもルシエラ。他の神獣見せなくても良いのか?」
あー、と思い出したかの様に空を見る。
「私にはこの子達が居るので構いませんよ?でも、どんな子か特徴聞いても良いですか?」
「残りは狐と蛇と鳥2匹と鼠だ」
「あー…じゃあ大丈夫です」
ごろごろと神狼と犬神と戯れているルシエラ…可愛いなぁ。
「ロキ様?この番同士は子供が産まれる可能性あるんですか?」
「あるよ?1回産まれたの爺にあげたもん」
「神獣ひょいひょいとあげていいんですか?」
「普通なら違法かな?」
「ロキ様が捕まらないのは?」
「人徳?」
「明らかに違いますよね?」
ひょいとそっぽ向くロキ。だって昔の事だし時効っしょ?ルシエラは犬神の頭を撫でながらふと問い掛けてきた。
「この子達の子供見たいですー」
「俺らのは?」
「まだ早いですよ!!」
赤面するルシエラ。前は一番欲しい物は赤ちゃんて言ってたのにな…お茶を飲み干して神狼と犬神に挟まれて船を漕ぐルシエラが居た。俺はテレサに目配せしブランケットを掛けて貰った。
相当気に入ったんだな。俺の相手よりも2体と遊んでたくらいに…ちょっと妬けるな。
俺はスコーンにブルベリージャムとクロテッドクリームを付けて口に運ぶ。それからチャイを飲む。今日は気分的にチャイを選んだ。疲れてんのかな…
取り敢えずルシエラが起きるまで神狼と犬神の相手をする。この2体は思念伝達が効くので話したりはしない。だからルシエラも老神龍や神龍、鳳凰や麒麟の時と対応が違うのかも知れない。2体に聞く。
『2人は人型にはなれるようになったか?』
『自分はまだです』
と神狼が応える。犬神も、
『自分もまだですね』
とくぅーんと力無く応える。
『それなら誰か手本になる奴喚ぶか?』
『『それなら老が適任かと』』
『それもそうだな』
カチャリとティーカップをソーサーに置いて喚ぶ事にする。
「顕現せよ神獣老神龍」
ふわりと金色の風が舞う。スっと佇むロマンスグレーな紳士老神龍。
「最近良く喚んで済まないな」
「我としては構いませぬよ?遣われる事が至福の時。して、今回は何用ですかいな?」
「この2体に人型になるコツ教えてやってくれないか?」
『狼と犬の小僧か…仕えて何年だ?まだ変化出来ぬのか?』
『『面目ない』』
手本は見せるみたいだな…ルシエラを起こさない様に少し距離を取る。さて、勉強させますか。
老神龍の方が位が高いからか神狼と犬神がかなり低姿勢な気もするが気のせいかな?
『それじゃあ、老神龍?コツを少し教えてやってくれねぇか?』
と3体に分かる様に思念伝達する。
『勿論構わぬ』
『『ご鞭撻の方宜しくお願いします』』
尻尾を振る2体。
「所で主よ…神龍は何故喚ばぬのだ?」
ん?何でだ?
『神龍がどうした?何かあるのか?』
『彼奴はいつの間にか性別を越えて変化可能になったのですが』
『はぁ?いつの間にそんな技能を身に付けたんだよアイツ』
溜息を吐く。召喚するために唱える。
「顕現せよ神獣神龍」
銀色の風が舞う。目を疑った…銀髪ツインテールの美少女が居た。フリルの服が似合うねー…じゃなくて!!
「神龍…お前雄だよな?何で女になってるんだ?」
「あ、主!え?何でって臨機応変に対応する為ですかね?」
はぁ…声も変わってる。可愛いなコイツ。ルシエラには劣るが可愛い。鳳凰が喜びそうだ。
2人を見て更に縮こまる神狼と犬神。考えてみたら俺って災害級の神獣仕え過ぎじゃね?まぁ、いいか。
「神龍?人型になるコツを此奴らに教えてやってくんねぇ?」
クイッと顎で神狼と犬神を指す。
『御二方まだ人型にはなれないんですか?』
その言葉にしゅんと落ち込む2体。
『『かたじけない』』
まぁ、得意不得意ってあるしね。仕方ない。
『ボクが手本見せますね?』
銀色の風が舞うと本来の姿に戻った神龍が居た。
『本来の姿からなりたい出で立ちを想像してみてください。ボクは今から男になりますね?』
ぶわっと銀色の風が舞うと魔界で見た時と変わらない銀髪金眼の小柄な美少年が立っていた。
『ふむ、なりたい姿…』
神狼は呟く。むむむと唸ってから銀色の風が舞う。お?出来たのか?と見ると…うーん。惜しい。それじゃあ、人狼だよ神狼。
金の角が生えた銀毛の獣人に近い形の姿の神狼が立っていた。
『神狼…惜しいがそれだと失敗だぞ』
俺は声をかける。神狼も分かっているのかしょんぼりとしていた。
『でもセンスはあるとボクは思いますよ主?人型に近い形ではあるので』
『まぁ、失敗は成功の元と言うからな練習だな』
俺はそう言うと神龍は男の子の姿から女の子の姿になっていた。神龍の将来が少し不安なんだけど…老神龍は偏見とか無いからか普通にしてるが、俺は近くに変態が居るからどうもしっくりとこない。
さて、ルシエラはまだ寝ているし練習見てみますか。