神様、神獣達のお披露目
今日は先日一仕事終えたので少し休んでルシエラに見せていなかった神獣達のお披露目でもしようかと思い庭に居る。自慢では無いが結構広い中庭だと思っている。
「全部出るかな…?」
少し疑問になり思い留まった。老神龍と神龍だけでもデカい。神虎ですらデカいしなぁ…うーんと唸っていたらルシエラが来た。
「あ、ルシエラ来たか…取り敢えず出して送還して行く感じでもいいか?全部だと狭くなる」
「あー、老神龍さんも神龍さんも本体だとかなり大きいですもんね…神虎さんでも大きいと思ったのに」
「だろ?だから悩んでたんだよ。老神龍と神龍は見なくても良いだろ?神虎も」
「確かにもう見てますし…良いですよ♪」
るんるんとしているルシエラ。驚かないかねぇ?少し不安を覚える。
「顕現せよ神獣鳳凰、神獣麒麟」
赤い熱風とビリビリとした稲光が迸る。あー…コイツ等一応常識はあるけど気性荒い方だったんだ。忘れてた。
「ロキ様?!何か怖いんですけど!!」
「此奴等は人型になって無いといつもこんな感じだぞ?」
現れた鳳凰と麒麟。俺が言うのもなんだがファンタジーだなぁ…揃うと幻想的なんだよねぇ。
『主様よ?何用じゃ?』
『然り。鳳凰の言う通りだ…何故喚ばれた?』
『俺の使い魔を相方に見せる為だぞ?特別理由は無い』
『主様の相方様ですか?ふむ…』
鳳凰はルシエラを見つめるとふと微笑む。そして、ふわっと赤い熱風を纏わせそこには美女が居た。赤い翼はそのままなので天使の様だが格が違う。ニコリと微笑む赤髪の美魔女はルシエラの前まで歩き、
「初めましてお嬢様」
と挨拶する。そういえば此奴って美少女好きだったな…麒麟も気付いてか雷光を纏わせながら人型になる。一本角の銀髪碧眼の美少年が居た。
「お目にかかれて光栄っす。自分は麒麟と申す」
俺の所の使い魔は人馴れしてて良かったわー。黒龍みたいにいきなり攻撃とか辞めて欲しい。
「この2体は覚えれたか?」
「取り敢えずは覚えれたかと思います…けど…」
跪いて居る美少年と顎に手をやる美魔女のせいでルシエラが硬直。
「お前らストップ。辞めろ。ルシエラが固まってる」
あらまぁうふふとでも言いたげな含んだ笑みを浮かべる鳳凰。麒麟も気付き下がる。
「主様の相方様に実際に逢うのは初めてですから嬉しくてつい」
ぺろりと舌舐めずりして妖艶に微笑む美魔女。それと対照的な爽やかな麒麟。
「神虎より強いのはこの2体かな?」
へーっと見ているルシエラ。そんなルシエラを見ながらルシエラの手を取り空中散歩しようと提案する鳳凰。麒麟は特に興味を示していなかった。
「5分だけな」
と鳳凰を見遣った。ルシエラはと言うとえ?ロキ様?!と俺を見るが鳳凰の好きにさせてやった。彼奴は我儘なんだよな…へそ曲げると何しでかすか分かんねぇ。
それと正反対に麒麟は此方に近寄り、
「主に喚ばれたのは久方振りですね」
「あー?そういえばそうだな」
「手合わせ願いたい」
「お前も相変わらずだな」
すっと距離を取り麒麟と目を合わせる。お互いに向かい見合った…その瞬間各自居た場所からふっと消える様に居なくなる。次の瞬間キーンとお互いの獲物がかち合う音が響く。俺は黒い短刀を構えていた。麒麟は電気の刃だった。
「流石は主です。腕の方は相変わらずですね」
「それはどうも。お前も相変わらず無茶しやがって…普通受け止めれねぇからな?」
「そう言いながら主は受け止めるではないですか」
「俺以外には無理な芸当だわ」
「相方様には?」
「まだ無理だろーな…傷付けたら絞めるからな?」
「はーい」
麒麟の興味は無くなった様だ。此奴は強いヤツが好きなんだよな。ルシエラの散歩も終わりそうだから準備をしておく。
ルシエラと鳳凰の空中散歩が終わったみたいだ。んー?ルシエラもある程度慣れて来たみたいだから神狼と犬神を出そうとするとルシエラから「待った」が出た。
「ロキ様…一体何体の神獣を仕えてるんですか?!」
んー?そういえば説明してなかったもんな。
「全部で12体だ」
愕然とするルシエラ。ん?どうしたんだ?
「ロキ様おかしいですー!!」
涙目だ?!何でだ?!
「言ってなかったのは悪かったって」
「何で今まで見せてくれなかったんですか?」
「あー、特に喚ぶ必要が無かったからかな?ルシエラが自由にしてた頃だったし」
「それでも教えてくれても良いじゃないですか」
ぷくーっと膨れながら言うルシエラ。まぁまぁと宥める俺。
「鳳凰と麒麟を送還しても良いか?」
「良いですよー」
そうルシエラが言うと鳳凰と麒麟に目をやり、
「お疲れさん」
「またいつでも喚んでくださいな」
と鳳凰。麒麟も続けて、
「自分もいつでも手合わせ願いたいです」
と言う。
「分かった…また喚ぶわ」
と送還する。次に神狼と犬神を顕現させる。
「顕現せよ神獣神狼、神獣犬神」
ふわりと金の角の銀狼と黒い角で黒毛の犬神が現れた。
『『主ー!お久しぶりです』』
尻尾をぶんぶんと振り回しながら挨拶してくる。テンション高いな…この2体は気が合う。性が違うかったらくっ付いていただろ?って言いたくなるくらい相性が良い。わふわふと近付き身体を擦り寄せてくる大柄の2体。ルシエラがその様子を見て、
「かーわーいーいーーー!!」
とダイブして来る。もふもふ好きなのか?俺まで巻き込まないでくれよ…若干痛い。
「ルシエラ…気に入ったのは分かったから退いてくれないか?」
「あ!すみません!!」
パタパタと慌てて俺の上から退くルシエラ。そのままふわりと2体の首に絡み付いて卓越した腕捌きで2体を毛繕いするルシエラ。
動物…好きなのかね?ペット飼うか?
「ルシエラ?ペット欲しいのか?」
神狼と犬神の方に目線を遣ると2体は此方に近寄って来た。
「私はもふもふ好きですよー?ロキ様が興味無いのかと思ってました」
この2体は最高の毛並みを持っている。ふむ、もふもふ好きなのか…
「少しこの2体と遊ぶか?」
「是非!!」
わーいと近寄るルシエラ。神狼と犬神も特に悪い気がしてないのか相手になってくれるみたいだ。
ルシエラが2体と遊んでる時にこの2体に番居なかったっけ?と思いファントムを呼ぶ。
『ファントム?悪いが神狼と犬神についてなんだけど…コイツ等って番居なかったっけ?』
『確かご存命でございますよ?如何なさいました?』
『ルシエラが神狼と犬神気に入ったみたいだからその番遣わせようかなって思ってさ』
『成程…それに関する書物をお持ち致しますので少しお待ち下さいませ』
『了解』
ルシエラと神狼と犬神と戯れて10分。ファントムが来た。
「旦那様此方でございます」
ふむと目を通す。あー、俺の敷地以内に居るのか。
「ルシエラー?」
「何ですかロキ様?」
ストップして此方に目をやるルシエラ。
「来い来い」
ルシエラは「?」となりながら此方に来る。ファントムから受け取った書類を渡す。
「何ですかコレ?」
んー?と読んでからぱぁーっと綻ぶ笑顔のルシエラ。
「ロキ様…もしかして?!」
うきうきとしているルシエラ。
「初使い魔には良いだろ?」
「やったー!!どんな子なんですか?」
「神狼の番は銀の角の金狼で犬神の番は白い角で白毛の犬神だよ」
「名前とかって付いてますか?」
「神獣は総称はあるが個名は無いぞ?」
「て事は…名付けにしても良いんですか?」
「名付けは責任持てるならしていいぞ?結構力持っていかれるからなリング外した状態で名付けにした方が良いかもな」
そう言うと俺はふぅと息を吐く。ルシエラに合う色合いで良かったね。
「今から逢いに行っても良いですか?」
「構わないぞ?付いてこい」
図書館の裏側に行く。そこに神狼と犬神の番が日陰て寛いでいた。離す訳も行かないし近くに置いてたんだよな。
「どう契約するのですか?」
「先ず目を見ろ。そして神獣の言葉で話しかけろ…対等にな?契約がいけそうなら『捕獲』と唱えるだけだ」
「はーい」
俺は離れた所で見ることにする。話しかけに行ったルシエラ。
数分後。
「ロキ様ー!いけました!!」
神狼と犬神の番を連れて来た。
「おー?意外と早かったな…名前付けたのか?」
「えぇ…神狼の奥さんが神狼で犬神さんの奥さんか犬神ですよ!」
ほー。対になる様にしたのかな?ルシエラにしては直ぐに名付けしたな。
『旦那様、この度はルシエラ様の使い魔にさせて頂く様にしてくださりありがとうございます』
神狼が言う、続けて犬神も言う。
『私達いつもあの方達の帰りをお待ちしてて暇を持て余してたんです』
くすくすと笑う2体。
『ルシエラの事は気に入ったのか?』
2体が見合って。
『『彼女は楽しい方ですわ』』
認められて良かったねルシエラ。