神様、作業開始
テレサを呼びお茶の準備をして貰い、4人の相手は老神龍と神龍に任せた。この2体は会話も流暢にこなすので接客に向いているのだ…戦闘狂なのを引けば完璧なんだけどなぁ。ルシエラ?今はイヴの所に居る筈。
取り敢えず指輪の作成から始めるか。その後に鱗を加工しよう。ルナとアルテミスの指のサイズを見て、先ずルナの注文の百合のデザイン画の方から取り掛かる。白金基盤の百合のデザインに赤のアクセントにルビーをあしらったシンプルかつ豪華な物である。シンプルなので割と早く出来る。
ゴーグルを付けながら作業をしていると1時間くらい掛かったかな?ふと、皆の方を見るとルナとアルテミスは船を漕いでいる。ルシエラと入れ替わりで来ていたテレサにブランケットを頼んで掛けてもらった。
「なぁ?ルナとアルテミスのサイズも測ってるから帰ってもいいんだぞ?」
風牙と雷牙に聞く。風牙が応える。
「彼女達が今日を楽しみにしていたので長く居たいのです」
雷牙も頷き、
「アルテミスも楽しみにしてたからな…俺等も嬉しいんだ」
ふーん…まぁ、いいけど。次はアルテミスの注文の椿のデザイン画に取り掛かる。此方はルナの白い指輪と反対で赤が基盤の指輪だ。アクセントに緑色のエメラルドがあしらってある。此方は百合と同じ作業なので大丈夫だろう。
ふと、風牙と雷牙の方を見るとルナとアルテミスに腕枕しながら船を漕いでいた。地味な作業場って暇なんだろな。でも、こうして見ると…お互いに惹かれあって想いあってるのは手に取って分かるな。テレサに目配せする。ブランケットを追加で掛ける。
更に1時間30分掛かって完成した椿の指輪。コレで百合の指輪と椿の指輪が出来上がった。4人の方を見ると神龍が4人を起こそうとしていたのでロキは口に指を当てて「しー」と合図した。神龍はそれに気付いて頷き脇に下がった。
鱗を4枚ずつ取り出し風牙とルナのペアから作る。銀の三日月に風を表現した金の鱗の竜巻を絡めたペアのペンダントトップが出来上がった。次に雷牙とアルテミスのペア。此方は銀の三日月に稲光を表現した金の鱗を絡めた此方もペアのペンダントトップの出来上がり。
此処で神龍に目配せする。すると気付いて、
「お兄さん、お姉さん出来たようですよ?」
と声を掛ける神龍。
4人が「「「「うぅん…?」」」」と目を擦りながら起き上がる。風牙と雷牙は腕枕で痺れたのか伸びをしていた。
「待たせたっすね。出来上がりましたよ」
俺はそれぞれを渡していく。勿論4人に各々ペンダントトップも忘れずに渡す。
「「これは…?」」
とルナとアルテミスがペンダントトップに気付いた。
「あぁ、それ?お前らの象徴を俺風にアレンジしたんだけど…気に入らなかった?鎖はアレルギーとか聞きたいから起きるまでまってたんすけど」
その言葉を聞いた途端、花が咲いたかのように綻ぶルナとアルテミスの笑顔。
「いいえ!いいえ!とても素晴らしいですわ!!ね、アルテミス?」
「ええ!とても素敵ですわ」
ねーっとお互いを見つめ合う。風牙と雷牙も頷き、
「とても素晴らしいモノをありがとうございます…コレの料金は?」
「風牙の言う通りです。こんな素敵な物をタダでなんて言えません」
ロキははぁと溜息を吐き、
「だから結婚祝いっつっただろ?だからペンダントトップも鎖もタダだよ」
風牙と雷牙はお互いに見合わせて言葉を探していた。
「だから気にすんなって!指輪代しか貰わねぇからな?」
そう言い切ると諦めたのか納得したのか、
「「分かりました」」
と応える風牙と雷牙。お互いにポケットマネーから聖金貨10枚ずつ取り出してきたので、
「ラッピングは?」
と聞くと、
「是非お願いします」
と二つ返事で返ってきた。俺ん所のラッピングて何かと人気なんだよね。鎖はアトリエ内にある奴で気に入ったものを選ばさせた。さて、ラッピングも終わりテレサは片付けを、老神龍と神龍はお見送りを俺は営業スマイルで、
「お2人合わせて聖金貨20枚の取り引きになります。この度はご購入ありがとうございました」
とお辞儀する。4人はとても満足そうに出ていった。
片付けの方も老神龍と神龍が手伝ってくれたので、すぐ終わり2体を送還してルシエラの所へ行く事にした。