神様、魔王の生誕祭
マモンについて行く俺とルシエラ。無駄に広い屋敷を把握してるのを見ると侍女達ってすげぇな…なんて事を考えてる内に大広間に着いた。
「此方でございます」
マモンが扉を開けてくれる。うわぁ…大広間がめっちゃ装飾されているよ…何処の子供だよ本当に。取り敢えずサタンを見付けたので声を掛ける。
「サタンー?来てやったぞ」
ぱぁーっと満面の笑みで此方を見るサタン。
「ロキー!!ロキはその箱の中身がプレゼント?お嬢さんはそのラッピングされた袋かな」
俺の持つ箱とルシエラの持つ袋を見ていた。
「てめぇが喜びそうなの持ってきてやったぞ。ルシエラのは…まぁ、見れば分かる。最後の方で渡しても構わないんだろ?」
「あ、うん!皆もう待ってるから♪」
相も変わらずサタンの隣に行かされる。今日はビュッフェ式の立食パーティーの様だ。誰呼んでるんだろうと周りを見ると見知った顔から知らない顔が居た。
「サタン?見知らぬ顔が居るが紹介してくれるのか?」
サタンは勿論と言う様に頷いた。
「右からバフォメット、彼はオレとよく間違えられる程の権力者。その横がベルゼブブ、頭良いんだよー。その隣はアザゼル…特徴は魔族にしたらあんまりないかも。その横はベルフェゴール、偶にベルゼブブと間違えられるんだよね。全然似てないのに…その隣がレヴィアタン、嫉妬神とかよく言われてるみたい。その横はアバドン。彼もかなりの権力者…他にも居るんだけど今日は特別な日だからアモン達含めて66柱がオレの生誕祭を祝ってくれるよ♪」
とても嬉しそうなサタン。ふーん、いつもの13柱じゃなくて生誕祭はほぼ全魔族が祝うのか。皆は各々それぞれ好きな位置で侍女達が飲み物や食事を運んで来てくれているのを待っている。俺の隣はルシエラだがその隣はセーレが居た。
「ロキ様!何をお祝いに持ってきたんですか??」
「んー?最後に見せるから今は内緒だ。お前は?」
「ボクはありふれた宝石の類ですよ。でも最上級のモノを持ってきました」
ふーん。やっぱり装飾品が多そうだな。周りを見ても、それっぽい箱ばかり持ったヤツらで俺とルシエラのプレゼントは大きく見えた。
侍従長であるアモンから渡していっている。やっぱり装飾品だった。サタンが滅多に俺のアトリエに来ないのって装飾品には困ってないからなのかな?偶に来て多額の商品買ってくれるのは有難いけどさ。
俺の順番が来た。殆ど装飾品ばかりでサタンが辟易としていたが俺の箱を持ってぱぁーっと満面の笑みを浮かべる。
「ねぇ!ロキ!!コレってもしかしてだケド…」
「てめぇの好きそうなモノを作ってやったぞ?」
箱を開封して更に笑みを深める。
「本当にコレがオレのモノ?!え?!このカフスボタンとかタイピンも!!」
「そのスーツの裏刺繍も見てみろよ」
「何コレ!!ヤバい!!スゲー!!カッコイイのに可愛いもあるとか!!一番嬉しいかも!!」
「ただな俺の後にルシエラってのが可哀想なんだが…」
「どういうコトー?」
「見たら分かるぞ?」
くつくつと笑うロキとそれを見て赤面するルシエラ。ぽかぽかと叩いてくるが可愛いから仕方ない。サタンはどんな反応するのか楽しみだ。
ルシエラの背中を押してサタンの前に突き出す。
「サタン様…ロキ様に笑われて出しにくくて困っていた上に、何で私が最後になってしまったのか分からないのですけどコレがプレゼントです」
ルシエラのラッピングされた袋を受け取るサタン。リボンを解き中身を見るサタン。周りも注目していてルシエラが小さくなっていく。
「コレ…お嬢さんの手作り?」
周りは何なのか分かってないみたいだったが、サタンには分かった様だ。
「ルシエラらしくて可愛いだろサタン?」
くつくつと笑うロキ。
「いや、うん。可愛いんだケド…コレもロキの魔鉱糸で出来てるよ?女体化した時にでも着たら可愛いかもー。ありがとうねお嬢さん」
「あれ?ルシエラのアレ俺の糸使ってたのか?」
疑問に思って問い掛ける。
「あ、はい。余っていた布と糸で作ったので」
「だとすると聖金貨5枚相当にはなるぞ?」
「え?!嘘ッ!!」
ルシエラがかなり驚いている。周りもざわめいていた。まぁ、部屋着に5000万相当の黒ヤギ着ぐるみパジャマなんて思わなかったんだろな。
「まぁ、サタンもお気に召したみたいだぞ?」
顔色を伺うと分かりやすくきゃっきゃとしていた。そんなに装飾品ばかりで嫌だったのか?
「ロキー?これ着てもイイ?」
俺が渡した箱を指さして言う。
「いや、今着てるのもそこそこの上物じゃん?着替える必要あるか?」
「だってロキの特注生産だよ?着ないって方が生殺しだよー?お願い♪」
まぁ、良いか。
「秒で着替えて来い」
「はーい。マモン別室きて」
マモンはお辞儀をしてついて行く。俺は他愛もない会話をセーレとしていた。
「そういえば迷宮からの帰り早かったですね?何かあったんですか?」
「あー…彼処サタンを試す試練場だったんだよ。しかも俺が居ないと無理ゲーだった。所で式神どんな感じに育ってる?」
セーレは式神を出してきた。白色のミニドラゴンが居た。ちゃんと成長してるじゃんか。やっぱりセーレには邪な心はなかったようだ。
「やっぱりお前は良い奴みたいだな」
ふっと頬笑みを浮かべるロキ。それを見てボンッと赤くなるセーレ。そして言う。
「いきなり急成長したので驚きましたが、何か新しいペットみたいで…それにロキ様からの初めての贈り物なのでとても嬉しいです。名前も付けたんですよ?とても綺麗な白なのでブライトと名付けました」
頬を赤らめながら言うセーレ。
「そうか…近い内に白金の龍になるかもな」
セーレ頭をぽふぽふ撫でてやるロキ。老神龍や神龍、黒龍とまではいかないだろうが護衛にもなる式神なのでその事をセーレに伝えるととても驚かれた。