神様、最強の使い魔
ロキは少し考えてから問いかける。
「虎神は5番目か6番目に強い神獣だったんだが…一番強い神獣から見たいか?」
ルシエラは虎神を触りながら、
「んー?私はどの神獣でも構いませんよー?」
と言う。ダンタリオンは目を輝かせて、
「貴殿の一番強い神獣と言うものに惹かれます」
と言う。ザガンは、
「ロキ殿…貴方の魔力量はどうなってるんですか?」
乾いた笑いを零すザガン。仕方ないじゃん…ルシエラを守る為に強くなっていったら使い魔が増えてたんだから。
「んじゃ、一番強い神獣だすな?顕現せよ神獣老神龍、神龍」
ロキの掌に光が集まり眩い光を発して2体の龍が現れる。うーん…闘技場の広さ考えて無かった。闘技場は金色の老神龍と銀色の神龍で結構狭くなった。虎神がルシエラと共に隅に行く。
ダンタリオンとザガンは神龍が出てくるとは思ってもいなかったらしく驚いていた。
「この2体は爺と孫の間柄で先に老神龍を手懐けたら神龍も自分も是非遣わせて下さいって言ってきたんだよ」
老神龍と神龍がロキに近付いて龍語で語りかけてくる。
『主よ…この度はどうなさいましたか?』
『主。老の言う通りです…戦いでもなさるのですか!』
此処にも戦闘狂が居たよ。説明怠いけど…するかな。
『違う違う。今、魔界に来てるんだが…』
神龍が身を乗り出して、
『魔族と戦うのですね!!』
だから先走るな!コレだから此奴が一番強くても出したくなかった。老神龍と神龍はほぼ互角の力を持っている。老神龍は大人しいが昔は神龍みたいだったんだろな。取り敢えず説明するか。
『違うっつってんだろ!最後まで聴け。魔界に来たんだが、俺の使い魔を見せるって言ったから一番強いお前らをまず出したんだ…でも闘技場でお前らを出すと狭いな。取り敢えず彼処に居る魔族の短髪の方がダンタリオンで髪を1つに纏めてる方がザガン。アイツらと話してやって戦いたかったら戦っても良いぞ?取り敢えず龍語で話すのは分かってないだろうから普通に話してやってくれ』
ロキがそう言い終えると老神龍が普通に話をする。
「汝ら…我と戦ってみたいか?」
神龍も続けて言う。
「自分と戦いたいヤツは居ますか?」
だーかーらー。お前らは戦闘狂か!!ダンタリオンとザガンがビビってるじゃねぇかよ。
「待て待て。老神龍と神龍、2人がビビってるから落ち着け」
猫を手懐けるかの様に2体に手を差し伸べる。右手側に老神龍、左手側に神龍が擦り寄ってくる。
「ダンタリオン、ザガン平気だ。魔族と同じで戦闘狂の類なんだよこの2体は」
そう言うと老神龍が、
「主よ…我は戦闘狂では無いぞ?戦いたい者と戦う。それだけだ」
「それを戦闘狂と言わないか?」
ロキは諦めて溜息を吐く。そしてダンタリオンとザガンに目をやり、
「此奴らと戦ってみるか?虎神の数十倍以上は強ぇぜ?」
ダンタリオンとザガンが首をふるふると横に振る。流石に無理かぁ。
でも、ワンチャンやらないともう少し強くならないからなって欲しいんだよな…
「ダンタリオンとザガンどうしても無理か?」
言葉も発せず首をふるふると横に振る。
「ルシエラはどうだ?」
「私ですか?」
「補助魔法だがな。ダメか」
「お二方が闘うのでしたら参戦しますよー?」
ん、ルシエラはヤル気あると判断。ダンタリオンとザガン次第だな。
取り敢えずどうするかな…老神龍と神龍がダンタリオンとザガンと戦うには分が悪いな。それに闘技場狭苦しい…
「老神龍、神龍。戦うのは今度にしてやってくれないか?」
「「主が申すのなら構わぬ/主がそう言うのでしたら構いません」」
納得してくれたか、ダンタリオンとザガンに目をやる。
「一番強いのは此奴らだ…納得したか?」
「勿論だとも…しかし貴殿は素晴らしいな。こんな美しい神龍見た事ないですよ」
とダンタリオン。ザガンも続けて、
「確かに美しい…鱗1枚でもかなりの価値がありそうです」
ん?そう言えば此奴ら偶に鱗落とすんだよな…あれは確かに金になった。
「老神龍、神龍。鱗貰っていいか?逆鱗は取らないから」
「主の為なら幾らでもよいぞ」
「自分も良いですよ」
承諾は得たからいいか。
「んじゃ3枚ずつ貰うな?」
擦り寄ってくる2体の痛くないであろう部分から鱗を3枚貰う。図体がデカいからか鱗も大きい…掌サイズくらいかな?
「ルシエラ、ダンタリオン、ザガン記念にやるよ」
「「「えっ?!」」」
と3人がハモる。
「虎神との戦いの報酬と思ってくれ」
それを聞いた老神龍が反応する。
「主よ…此奴らは虎の小僧と戦ったのか」
老神龍から見たら虎神は子供だもんなぁ…じゃなくて反応するって事は戦いたいのか?戦闘狂め…虎神がルシエラの後ろに隠れちゃったじゃん。
「あぁ、強過ぎず弱過ぎずの虎神に相手して貰ったぜ?」
それを聞いた老神龍はとても興味深そうに虎神を見詰める。まさか戦うとか言うなよな?
「主よ…虎の小僧と此奴らはどう勝敗を着けましたか?」
ん?戦う訳では無いのか?
「あ…あぁ、いい勝負だったぜ?俺の相棒が補助魔法に回って、そこの短髪の方がラストに首を落とした」
ふむふむと話を聞いてる老神龍。そして話を切り出してきた。
「主よ。我も戦っても良いか?」
は?いやいや待て待て。お前らだとワンパンでノックアウトだよ!!
「老神龍…話聞いてたか?お前らは強過ぎなんだよ。此奴らとは分が悪い。諦めてくれ」
それでも話を聞き入れてくれない老神龍は提案をしてきた。
「此方の姿で戦うのは如何かね?」
そう言うと老神龍の身体が金色に輝き人型になった…金髪金眼のロマンスグレーな紳士に。
「老神龍…そこまでして戦いたいのか?獲物はどうする?貸すぞ?」
「えぇ。虎の小僧と戦えたのなら我ともそこそこにいけるでしょう…少し手加減しますので。では、刀をお借り致します」
ロキは収納袋から刀身が黒い黒刀を取り出し渡す。相も変わらずの趣味で作ったものだから威力はヤバいかも知れないが手加減するだろうと考えて渡した。
「素晴らしい業物ですな…ふむ」
そう言いながら老神龍は刀を振るう。一通り動きを見たが老神龍って人型でもヤバくないか?本当に手加減してくれるのか?冷や汗ものなんだが…
「老神龍…マジで手加減してくれよ?」
「分かっておる」
溜息を吐くロキ。諦め半分にルシエラ、ダンタリオン、ザガンを見遣り告げる。
「老神龍がお前らと戦いたいそうだ。一応言っておくが虎神3体でも勝つことは無いんだが…やるか?」
ルシエラはうきうきしているがダンタリオンとザガンの顔色は悪い。ダンタリオンが手を上げて告げる。
「辞退する事は…?」
老神龍は一言。
「認めぬ」
とだけ言った。殺る気満々だろ老神龍?!マジで手加減してくれよ!!
「取り敢えずジャッジは俺が取る。後、俺も肩慣らしに参戦する…ただし手は貸さない。敢えて補助に回るだけだからな?」
それを聞いたダンタリオンとザガンは少し安堵して、
「「それなら分かりました」」
と言った。戦う前に虎神を送還し神龍も送還しようとしたら、
「自分は老の戦いを見たいので人型になり飛び回っておきます」
と銀色に輝き人型になる。銀髪金眼の可愛らしい美少年がそこに居た。
訓練2戦目スタート。