神様、訓練
ルシエラの手を取り実験室に戻るとダンタリオンはポーション作り、ザガンは元素魔法を練習していた。
「おい、2人共。俺の魔力抑えたレベルの奴連れてきたぞ」
そう声を掛けると2人は作業をやめて此方に来た。
「「ルシエラ様ではありませんか/ルシエラ殿ではないですか」」
ルシエラが「?」となっている。
「あー、ルシエラ?俺の魔力量大体分かるだろ?だからアクセサリー付けた状態と同じレベルのお前を連れてきたんだが分かるか?」
あー!と言った感じで手をポンと叩く。
「それなら私が適任ですね!でも、私ロキ様から魔法教わってませんよ?」
「だから勉強を兼ねてって言っただろ?」
なるほどと頷くルシエラと状況が分かってないザガンとダンタリオン。
「2人には言ってなかったがルシエラは俺の最高傑作なんだわ。魔力量はアクセサリー付けた状態の俺と同じくらい。模倣を覚えたからか一度見た術とかなら真似出来るっぽい」
2人共納得したみたいだ。さて何から教えますかね?ルシエラとザガン達を見遣る。
「ザガンは元素魔法使えていっているのか?」
ザガンは少し考えて、
「この程度なら『炎』よ」
ダンタリオンの指先に少し大きめの炎の柱が灯る。この位の力くらいしか出ないよなと思いながらロキも魔法を唱える。無詠唱でも行けるが合図みたいなものだ。
「『黒炎葬』」
周りの魔素ではなく自分の力のみで出す。実験室は程よい広さで天井も高いので遠慮なく唱えてやった。
ザガンとダンタリオンは「「おぉ…」」と感嘆の声を漏らす。
「貴殿の力はどれ程あるのか気になるところですよ」
ダンタリオンがそう言うとザガンが続けて言う。
「確かに…ロキ殿には驚かされてばかりだ」
ロキは気にもせず魔石を魔法収納袋から取り出しパキッと割る。霧散する魔力を吸収するロキ。
「ルシエラー?『黒炎葬』を模倣してみてみろよ」
ルシエラは顔に無理ですとでも書いてるかのように此方を見遣る。
「ロキ様と違って万能じゃないんですよ私は」
プンプンと怒っている。可愛いなぁ…
「ルシエラなら出来るって!気にすんな」
不安そうなルシエラと任せとけって感じのロキ。
「それでは行きますよ…『黒炎葬』」
ちょ!!予想以上に威力出てる!!ルシエラの黒炎葬掌に力を貯めて回収する。って、言っても自分の魔力にするだけなんだがな…ルシエラはあわわわって感じで驚いてる。
「ルシエラ?回収したから気にしなくて良いぞ?」
ルシエラは少しパニック起こしてるのか、
「なんであんな威力が出るんですか!!」
と怒鳴ってきた。
「だってルシエラは俺だろ?当たり前じゃないか」
「先に言って下さい~」
涙目のルシエラ。ちゃんと教えていくか。
「ザガンとダンタリオンは今の出来そうか?」
「私には高度すぎです」
ザガンも、
「自分の魔力量では無理かと」
そうだよなぁ…あ、鍛えるか?
「訓練してみるか?」
ロキは思い付いたかの様に言う。何人だろうと教えるのは簡単だ。ロキはふと気になりダンタリオンとザガンに問い掛ける。
「所で此処には訓練場とか闘技場みたいなのはあるのか?」
訓練するにはそれなりの場所が必要だ。するとダンタリオンが、
「魔族は戦闘狂なので一応ありますよ?」
え?平和主義かと思ってたよ?戦闘狂とは知らなかった…接する奴らが良い奴だから気にもしてなかった。
「闘技場は此方です」
ザガンが案内してくれるみたいだ。相も変わらず有象無象が居るなぁ。
「危害を加えなければ襲ってきませんよ?」
「そうなのか?」
試したいけど他に人がいるから辞めておこう。数分歩いただろうか魔王城の隅の方に闘技場はあった。
「2人まとめていこうか?ルシエラもな」
3人3様の反応が返ってきた。
ルシエラはうきうきと魔法を教わるのが楽しみそうだ。
ザガンは「もう少しレベル上げておくべきだったろうか」と呟き。
ダンタリオンは「魔法の応用がまさか学べるとは」とこんな感じに。
「とりあえず魔法障壁張るから待ってろ」
ロキは聖魔混合の防護壁を闘技場に張る。うん。これくらいならどんなに強い魔法でも防げるな。
「あ、因みにダンタリオンとザガン防護壁見えるか?」
2人に問い掛けるときょとんとしてお互い見てからハモって「「いいえ?」」と応えた。
「あー、なら俺の魔力で分かりやすくするわ」
そう言うと金色の粒子が混じった魔力を霧散し防護壁に沿って張り巡らせる。
ダンタリオンが、
「とても明るく見やすくて良いのだが…この様な魔力は神だと普通なのですか?」
ん?んー?そう言えば皆の魔力はキラキラしてないな。俺独特なのか?
「いいや?普通は白い感じだぞ」
確か?爺の魔法とかしか見てないから分かんないんだが。
「何か神秘的だなダンタリオン」
「そうですねザガン…流石といった感じですよ」
「取り敢えず無詠唱で魔法連射するから障壁張るか避けろ」
すると、
「ロキ様分かりましたー」
「此方も覚悟を決めました」
「私もだ」
3人共準備完了したみたいだし行くかな。ロキは少し空中に浮かびながら言う。
「んじゃ開始」
少し移動しながらルシエラの方に炎球を投げるとルシエラはすぐに風の障壁で受け流す。その球はザガンの方に向かい、ザガンは咄嗟に闇の空間を開けてその中に球は吸い込まれた。うん。ある程度なら平気みたいだな。
「難易度上げるぞー?」
するとダンタリオンとザガンが翼を広げて飛び立つ。成程、そう来るか。
「次はお前達の息が切れるまで投げ続けるから頑張れー」
炎球・水球・風刃・雷球・土球…次々と投げていく。ルシエラは器用に飛んだり障壁で受け流すが受け流した先にはダンタリオンかザガンが居て慌てる2人がいた。
「ルシエラー?受け流すのも良いが吸収して自分の力にするのも覚えろー?」
ひょいひょいと回り込んだり移動しながら投げ続ける。ザガンの息が上がってきたかな?ダンタリオンも肩で息をし始めてきたな…ルシエラはまだ余裕か。
「一旦休憩入れるか…」
そう言うと3人は地面に降り立った。
「ロキ殿…若干ハードではないですか?」
ザガンが息を整えながら言う。ダンタリオンも、
「貴殿は鬼ですか」
と言いだす。いや、大半は軌道変えたルシエラのせいだぞ?
「んー?これじゃ経験値上がらないしなぁ…あ、闘うか?」
「「はい?」」
ザガンとダンタリオンがハモる。此奴等本当は仲良いだろ?ルシエラはうきうきしている。
「因みに武器とか持ってるか?何か得意な武器があれば用意するぞ?」
はいっと手を挙げるルシエラ。
「モーニングスターありますか?」
…。
聞き間違えてないよな?モーニングスターって言ったか?普通は剣とか言わないか?何故モーニングスター?
「あるにはあるが…何でだ?」
「遠心力で殺ります!」
周りには被害を与えないかねこの子?
「因みにダンタリオンとザガンは?」
「私はレイピアを…」
とザガン。
「自分は無難に太刀ですかね」
とダンタリオン。この人達暴れさせて大丈夫?ルシエラに殺られないかなダンタリオンとザガン?
「ルシエラ…モーニングスターは却下。二刀流の小太刀でいけ」
「えー…分かりました」
不満気味そうな顔だなぁ。
「じゃあ、コイツと闘って貰う。倒しても平気だ…倒せたら天使族500人分の経験値はあるぞ。顕現せよ神獣虎神」
ロキの掌から金色の光を放ちながら金毛の虎が現れた。大きさは普通の虎よりも一回り大きい。
「皆行けるか?因みにルシエラは補助魔法メインな?」
「え?何でですか?!」
ヤル気満々だったのか驚くルシエラ。
「レベル上げるのはダンタリオンとザガンだからだよ」
ダンタリオンとザガンがお互いを見て、
「ロキ殿…この神獣は我々に倒せるのですか?」
ダンタリオンも思ったらしく、
「私共にはハードル高いのでは?」
と言う。
「でも、レベル上げたいんだろ?コイツくらい倒せないとルシエラにも及ばないぞ?怪我しても俺とルシエラが補助に回るから安心しろ…死にはしない。後、コイツはコレくらいの攻撃は効かないからな?」
ロキはそう言い剣を魔法収納袋から取り出し虎神に切りつけるとバキンと弾かれる剣。それを見たダンタリオンとザガンが「「えっ?!」」と驚く。
「見て分かったと思うが普通の物理攻撃は効かないからな?魔刀流で切り掛からないと切れない」
「天使族500人分の経験値の意味が納得出来ますね」
ダンタリオンが言う。ザガンも続けて、
「魔刀流とはどうすれば良いのかが分からないのだが…」
ザガンの言葉を聞いてダンタリオンが太刀に魔力を纏わせて見本を見せる。ダンタリオンは分かってたのか。ザガンは見本を見て真似をするが不安定な状態だが…でも行くみたいだな。
「行くぞ?」
3人は、
「「「分かった/分かりました」」」
それではレベル上げ行きますか。