神様、ランチそして遺跡
丁度昼になりマモン達侍女がカートを押して大広間に入ってきた。昼食か…メニューなんだろ?
と思っていたらそれぞれ違うメニューが皆に用意されているみたいだった。食の好みの違いか?
「ルシエラ足りるか?」
と聞いてみると。
「んー?物足りないかもです…でも袋にまだありますので!」
とドンと胸を叩いてた。
「そ、そうか」
取り敢えず頂くか。ロキはポトフとパンとサラダのようだった。
ルシエラの方を見ると…もう平らげたみたいで収納袋から何か出そうとしてる。
そういえばと思いサタンに問いかける。
「昼からは遺跡探索行ってもいいのかよ?」
サタンは少し考えて…
「遺跡の中に引き篭るの?」
と聞いてきた。
「そりゃ勿論。集中したいしな…なんでだよ?」
「日帰りでやれば良くない?ロキは座標とか相手の魔力が分かれば転移魔法使えるじゃん?」
「集中したいっつってんだろが」
ロキが少しムスッとする。
作業に集中すると周りが見えなくなってしまうので時間を気にしてしたくない。
「分かってるけどさー」
膨れるサタン。何だ?何かあるのかよ?
「魔界案内したかったんだよー」
とブツブツ言ってる。
「あのなぁ…遺跡探索が本来の目的だからな?」
と溜息混じりに言う。サタン…てめぇは何を期待してるんだ。
ルシエラを見遣ると3段トレイのアフタヌーンティーセットを出していた。
待て待て…それイヴのお気に入りのヤツだぞ?良く持ってこれたな。思念伝達が届くかなぁと思い飛ばそうとするが…
うん…圏外だ!
帰ってから礼を言うかな…一先ず食事を終わらせるか。ルシエラは黙々と食べていた。食事を終わらせ一通り挨拶をする。
ザガンは転移魔法にも興味を持っていたが…
「魔族には翼があるだろ?転移魔法で魔力消耗してたらいざと言う時に役に立たねぇぞ?」
と説明しておいた。
但し戻ってきたら元素魔法を教えると約束しておいた。
セーレはいつまで魔界に居るのかしつこく聞いてきた…いや、決めてないから分かんねぇよ。
ダンタリオンはさっき作れなかったからとまたポーション作りをするらしい。
ベリアルは観察が満足なのか帰ってもう一眠りするそうだ。
アムドゥスキアスは帰って楽器の手入れをするらしい。
アモンは…あれ?居ない?
マモンに聞いてみる。
「マモン…アモンは何処だ?」
マモンは普通に…
「侍従長なら表で待ってます」
とペコリと頭を下げた。あ、もう準備してたのか。魔族って変な所でマメな奴が居るんだな…
「サタン…俺らもう行くぞ?」
と身支度をする。
ルシエラにはちゃんと片付ける様に言っておいた…食器類はイヴのお宝だからな?
世界各地で手配するくらいの収集マニアだからな?欠けたら俺に造って欲しいと言うくらいの拘りだからな?
取り敢えずアモンの所に向かうか。
アモンは魔王城の玄関先に居た。アモンがロキ達に気付いて挨拶する。
「あ!来ましたか…今日の移動は死龍ではないです。飛竜で移動です」
「あぁ…ルシエラ乗れるか?」
ルシエラはきょとんして…
「え?私乗る必要あります?」
確かに…ルシエラには翼がある。ルシエラは飛んでいけば良いな。アモンがふむと考え込み…
「でしたらロキ殿だけ乗ってください」
とアモンは言う。俺も飛べるんだけどなぁと思いながらも一応乗って行く事にした。
乗る感覚は乗馬とあまり変わらない。アモンはロキが乗ったのを確認し…
「では、付いてきて下さい」
とアモンは飛竜を羽ばたかせる。ロキもそれについて行く。暫く飛んでると昨日の山の麓まで近付いていた。
「ルシエラ?寒くないかー?」
と聞くとルシエラは、
「若干寒いですけど…平気です!」
と隣を飛んでいたルシエラが言う。麓に着いたのかアモンが降下して行く。ロキもついて行き降りる。
「此処が遺跡か?」
ロキはアモンに問いかける。
「えぇ。魔界で最近気付かれた遺跡です」
遺跡と言うか…迷宮ぽいんだけどなぁ?マジマジと観察眼や魔眼も使い観察する。
「アモンは此処までの案内か?」
アモンはこの問いに…
「主様からそう伺っております、外で見張りをしろと」
ふーんと観察し続けると…ふむ、面白い。
「此処…遺跡って言うより迷宮寄りだぜ?」
魔眼での観察が終わった。アモンは、
「え?!遺跡じゃないんですか?!」
と驚いたようだった。
「まぁ、遺跡と迷宮の違いって分かりにくいからな」
でも、面白い。行く価値はある様だ。
「俺らは暫く籠るから待ってなくていいが」
とアモンに言うがアモンは…
「いえ、主様に言われておりますのでキャンプ張っておきます」
うーん…やっぱり魔族にしては真面目なヤツだ。
「俺転移魔法使えるから帰り飛んでいくよ?」
そう言うとアモンは諦めたのか、
「では、屋敷にて待機しております…あ!小さな有象無象に効く呪符をお渡ししておきます」
と呪符をくれたのでルシエラに持たせる事にした。
俺?
俺はファントム居るから平気。
「アモンありがとな…ルシエラ行くぞ?」
と飛んでいたルシエラの手を取る。
さて、観察の済んだ迷宮に向かう。階層主居るかなぁ?魔界の迷宮だし居て欲しい。あ、でも倒していいのか聞き忘れかけた。
「アモン!此処に階層主居ても倒して良いのか?」
と帰ろうとしてたアモンに聞く。
「良いと思いますよ?主様は特に言ってなかったので」
「そうか…分かった。ありがとな」
ロキは入り口に向かう。入り口には魔族の使う現代文字で、
「入りし者の生命を喰らう…か、面白ぇ。やってみろよ」
ロキがハッと鼻で笑った。
「ルシエラー?その呪符貸してみろ」
ルシエラはさっき渡された呪符をロキに渡す。
「『能力追加』」
危機回避と物理防御と魔法防御…後、超高速回復と。
「コレでいいぞ」
呪符をチートレベルに上げておいた。さて行くか。
入り口の扉に手をやり魔力を注ぐ。
「解除法は…コレか?」
カキンと音がしてから扉が開く。
「やっぱりな…中は誰も入ってないのか」
ルシエラは不思議そうに見ている。
「ロキ様?此処が迷宮って?」
「あ?あぁ。遺跡と迷宮て違いがあるんだよな…遺跡は宝を守る為に造られた建造物。迷宮は階層毎に色んな罠とか仕掛けられた冒険者向けの建造物ってな感じにな」
ふーんと考えるルシエラ。まぁ、ロキは両方好きなのだが…
「行くぞルシエラ。あまり離れると危険だからな?」
「え?!ちょっと!!待ってくださいー!!」
パタパタ飛んでくるルシエラ。
「『魔力展開散策』…ん?有象無象があまり居ないな。『散策階層下へ』…ん?下の階が無い?』
500mmの正方形の部屋の真ん中で散策をしてみたが…何だ此処?手応えがないぞ?
うーんと唸っているとルシエラがとある事に気付いた。
「ロキ様ー?何か壁に文字がぎっしり書かれてますよー?」
ロキはふと壁を見る。確かに魔族の古代文字だが…何か書かれている。
「ルシエラ…古代文字は覚えたか?」
ルシエラは文字をマジマジとみてから…
「私にはサッパリです」
しゅんと項垂れる。
「まぁ、勉強すればいいさ…ふむ。コレは俺にもあまり分からないなぁ…サタンに聞くか?」
そう唸って居るとルシエラが、
「あの御方…古代文字読めるのですか?あほなのに?」
「まぁ、多分?昔から君臨してるし…読めるだろ」
日帰りしないって言ったけど…これは戻るべきだな。
「ルシエラ…手を貸せ」
「あ…はい!」
転移魔法を使い魔王城の部屋へと飛ぶ事にした。