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神で職人て変か?  作者: Sohki
目覚め編
3/85

神様、少女の名

晩餐の時間が来たのだろう。リーンと私にも聴こえる鈴のような涼やかな音が聴こえた。彼が、


「出来たようだな…そう言えば名前はまだ思い出せないか?」


と聞いてきた。


「いえ…まだ分からなくて…」


と少女は悲しそうに応える。


「そうか…嫁殿と呼ぶのもなんだ。名前くらいは覚えてて不便ではなかろう。お前の名前はルシエラだ」


話をしながら歩いて食堂に向かうと長いテーブルがあり対面に座るのかなと思ってると、食事の準備をしてるメイドさんの1人が彼に何か言われたみたいで私の席が彼の傍になった。


スペースの無駄遣いでしょ?!


と突っ込んでしまったら負けな気がしたので言わなかった。


献立はレタスとオニオンとプチトマトのサラダと具沢山のミネストローネとローストビーフと白いロールパンだった。普通に美味しそう…いつもこんな感じなの食べてたんだと席に着いてパンを手に取りひと千切してミネストローネに付けて食べるとトマトの風味とパンの甘みが口に広がり…


「『…っ!!』」


となってると彼が、


「ほらこれ。好きだろ?おかわりもあるからな?」


とプチトマトをフォークに刺して差し出してくる。


好きだったのかな?


と思いながらパクッと食べると甘くて丁度いい酸味の加減でもう好き!って思えた。やっぱり私の好物を基本的に作られた食事の様だった。


メイドさん達も何処かホッとしてる感じで彼も何処か嬉しそう。


「お前はやっぱり笑顔が似合うな」


と微笑んでるくらいだもの。何処と無く寂しさも混じった微笑みだったが、ご飯の美味しさに負けてすぐパクパク食べていく。


彼を見遣ると彼は優雅にスプーンやフォークを使い食事を取っている。


「絵になるなぁー…」


って見つめながらボソッと呟くと彼がこちらの視線に気付き。


「どうかしたか?」


と聞いてきたので…


「いえ!!何も無いです!!」


と慌てて食事を再開した。食事は本当に美味しかった。


食事も終わり。私は彼に私について聞きたい事がある旨を伝えると彼は、


「別に構わないぞ?」


と言うので、彼の部屋に行く事になり食後のデザートにショートケーキとダージリンの紅茶をメイドさんが用意して出て行った。


「ルシエラは何が聞きたいんだ?」


と言って来たので単刀直入に…


「貴方は運命の人を召喚して私が来たって言ったけど…そうじゃないよね?」


と言った。どうしてもこれが引っかかってたのだ。異種間…しかも私が天使族(エンジェル)でも魔族(デーモン)でも人族(ヒューマン)でもないからだ。


彼は紅茶を一口飲み。


「どうしてそう思ったのか聞いていいか?」


と静かに告げた。


「私が天使族(エンジェル)でも魔族(デーモン)にも属してないのなら運命の人なんて思い付かなかったからだけど…」


そう言い俯く。背中には翼があるが天使族(エンジェル)とも魔族(デーモン)とも言い難い翼をしてるのも引っかかったからだ。


「あぁ、そうか。今のルシエラは俺の全てをも忘れてるんだったな」


そう言うと彼はカフスを取り…俯く私の頬に両手をやり。


「俺の顔を良く見ろ」


「っ!!」


と私が俯いてたのを無理矢理彼の顔を見るように上に向かされた。


そこに見えたのは透き通る様な蒼い綺麗な瞳と紅い血の様に真っ赤な2つで一対の瞳…ヘテロクロミアの瞳だった。


「え?」


ルシエラは呆気に取られていた。


「俺は人族(ヒューマン)ではないぞ…一応神になるのか?悪戯好きの神として奉ってる所もあるらしい。皮肉なもんだ…悪戯は好きだがな。可笑しな話だろう」


くつくつと彼は笑う。


「神様が私を召喚したの?でも天使族(エンジェル)でも魔族(デーモン)でも無い私は何処で産まれたって言うの…」


そこで彼が笑うのをやめ真剣な顔でこちらを見据えてた。


「そこは俺が誤解を招いたな…召喚してはいない。だが逢ったのは…いや、ルシエラが産まれたのは2年前だ」


そう言われ衝撃を受けた。


え?


産まれたのが2年前?出逢ったのがてはなく?


でも身体は145cmくらいだが豊満な胸にクビレのある腰付きはどう考えても子供ではなく大人の体つきである。食事の時に彼に身長等を聞いて私の身長等も分かったから。私は145cmで(翼の持つ者は骨格と筋肉が人族(ヒューマン)と異なり体重がかなり軽いそうだ)白金の髪に珍しい金色の目で甘い物とトマト料理とミルクが好きらしい。


彼は180cmの58kgで黒髪で今分かった事は蒼と紅の金銀妖瞳(ヘテロクロミア)の趣味は物作り。


いや、そんな事より産まれたってどういう事…


黙ってると彼が…


「俺は物作りが好きだと言ったよな?あれは嘘ではない。好きな物は何でも作る。その結果…ルシエラ、君も作り上げたんだ」


衝撃で言葉が出ない。


「嘘…だよ…ね…?」


喉から絞り出す様に縋る様に言う。


しかし…


「俺は基本的に嘘が苦手だし嫌いだ…ルシエラお前に見抜かれたじゃないか?」


と言われてしまった。ティーカップを持つ手がカタカタしている…その私の手に彼が手を添える。


「ルシエラ…お前が産まれてきた時は絶望もショックもなく産まれてきたぞ?何が怖い?記憶がないことか?」


手を添えられて震えが止まる。そして私は思いの丈を言葉にして伝えたい。


この不安…想い…言葉に出来るか分からないけどで伝えたい。

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