神様、宴会の余興
サタンが…
「皆ー!!静粛にー!飲み物行き渡ったー?宴会始めるよー」
と言うと皆が静まり、侍女達が飲み物を配る為に現れた。ルシエラはオレンジジュースみたいだ。乾杯して無いから味見が出来てないが…
「んじゃ、乾杯♪」
とサタンが言うと皆がガヤガヤし始めた。ルシエラに…
「ルシエラそれ貸せ」
と飲み物を指す。1口飲み酒精が無い事を確認してから渡す。
「ただのジュースだ安心して飲め」
俺のはワインか…1口呑むとヴィンテージのモノっぽい。
「サタン?これ俺が飲んでも良いのか?結構良いヤツじゃないか」
サタンを見ると既に何杯も呑んでた。
「これはいつかの日の為に置いてたヤツだからイイのー♪」
コイツもしかして絡み酒癖があるのか?
「なら頂くが…まだ酔ってねぇよな?」
ニンマリ笑顔のサタン。
「だってー神様状態のロキと呑めるんだよー?至福だよー♪お嬢さんも呑みたくなったら言ってねー?」
ロキにもたれ掛かってくるサタン。
「ルシエラ…無視でいいからな?」
とだけ言っておく。ルシエラはこくりと頷き大人しくジュースを飲みながら食事を堪能していた。
サタンが呑むペースが上がって来た時に話かけてきたヤツが居た。
ん…?コイツ色欲の魔族て言われてたヤツだよな?確かアスモデウスだっけ?
「ねぇ?君達は何処までやってるんだい?」
下衆な野郎だ。色欲の魔族て言うから何となく察していたけど…
「俺らはまだ関係持ってねぇよ?文句あるか?」
すると彼は少し驚いてから…
「そんなに見目麗しいのにまだなんて勿体ないじゃないか…」
魔族は基本的に欲に忠実だもんな。
「ボクで良かったら手ほどきしてくんだけど…?」
そこでサタンが会話に割って入る。
「アスモデウスー!オレでもまだなのに手を出さないでくれるー?」
「てめぇが相手でもしねぇよ」
呆れて呟くロキ。アスモデウスはサタンが割って入ってきたからか向かい側の席に座り直した。こういう時は役に立つのなサタンて…
次にザガンが話しかけてきた。
「私は魔力の応用、魔法や魔術について研究しているんだが…貴方の書物は素晴らしかった。その書物には載ってない、サタン様が経験したと言う思念伝達を私にもしてくれないだろうか?」
とキラキラした顔で話しかけてきた。サタンが話したのかよ…面倒臭ぇな。
「一言言う」
「『っ!!』」
ザガンが衝撃を受けている。
「素晴らしい…魔族は確かに欲に忠実です。貴方はこれを初めて覚えたと聞きましたが?」
ロキはきょとんとして。
「そうだが?」
と応えた。
「こうも難しいモノが1番とは流石です…天は二物を与えずと言うが、貴方は天から二物以上を与えられてますね」
そう言うと下がって行った。サタンの方を見ると…呑むペース早すぎね?空き瓶がそこらにある。
「サタン…呑むペース落とせよ?」
そう言うとサタンが絡んできた。
「ロキは酔わないのー?ねー?ねー?」
やっぱり絡み酒癖があるのか。
「まだ数杯しか呑んでねぇから酔わねぇよ」
「酔って襲わないでよー?」
「誰が襲うか!!」
きめぇ事言うな!!鳥肌立ったわ。ルシエラの方を見ると、うん。良く食べてる。
でも何か肉料理メインで俺は喰う気がしねぇわ。
偶に干し肉と生ハムとチーズ喰うくらい。
あ、軽食が届いた。サンドイッチかこれくらいならいいか。
何人か此方を見て話してみたそうにしていたが、サタンの手前早々話かける事が出来ないのだろう。
インキュバスとサキュバスは惚けて見ている。ロキは何をしても優雅にしているから見惚れて居るのだろう。
夢魔の他にも何人か惚けている。それに気付いたサタンが…
「皆にもロキの良さが分かるのかなぁー?オレの王子様ってば素敵っしょー?惚けて見ちゃうのも分かるよー」
「はいはい…てめぇは黙ってろよ。皆?気にすんなよ?話かけてきてもいいんだぞ?」
そう言いかけても誰も話かけようとはしてこない。その中メンタリストって言われてたダンタリオンが話かけてきた。
「貴殿と勝負がしてみたい」
端的に言うダンタリオン。周りがざわついてるのを見たサタンは楽しそうに、
「あー!ソレいいねー♪オレでもダンタリオンには負けるからさ…見てみたい♪」
と言う。メンタリストて事は心理戦の何かをするのか?
「簡単なカードゲームです。今から5枚のカードとジョーカーを渡しますので1番大事なモノとジョーカーを1つ変えてこちらに立てて下さい」
あー?心理戦なんて勝てるのか俺?取り敢えず宴会の余興になるみたいだしやるか。
宴会席の横にスペースを作りロキとダンタリオンを向かい合って座り5枚のカードとジョーカーが渡された。
仕事、家族、趣味、休み、食事のカードが渡され。
1番大事なモノねー…ロキは顎に手を当て考える。
うーん…普通に難しい。ダンタリオンがロキに背を向け座って居たが、悩んでる俺の様子を察して…
「貴殿が昔から今、変わらずの好きなモノで良いのですよ?」
と言うが3つで悩む。
うん、ルシエラには悪いが今回はこのカードをジョーカーにしよう。
「決まったぞ」
そうするとダンタリオンが見向かう形で座る。
「最初に貴殿は凄く悩んでいたみたいですがそれは全てが大事なモノだったからですか?」
無表情でロキが、
「いや?違う。悩んだのは3つのどれかだ」
それを聞いたダンタリオン。
「そうですか…ですとこれは違いますね」
休みのカードが退けられた。
「おー、すげぇな。サタンから何か聞いてたのか?」
「えぇ、少しだけ…貴殿は周りを見ない仕事中毒者と…」
サタンのあほのせいで情報だだ漏れじゃん…心理戦の意味あんのか?無表情のままサタンを睨みつける。
「そして先程から貴殿は食事をあまり取らないで干し肉と生ハムとチーズと軽めのサンドイッチしか召し上がってませんので食事のカードもセーフでしょう」
「やっぱり見られてたか…まぁ、悩んだのは残りの3つなんだわ」
「ですが…これはサタン様相手よりも難しいですね。貴殿には大切なモノが3つあり、どれかを捨てた…ですがどれを捨てても可笑しくないのです」
流石メンタリスト。
心理戦てこう来るのかと、ふとルシエラを見ると食事をやめて此方に来ていた。
「ロキ様が心理戦ですか?」
カードを見ている。
「何かサタン相手でも無理なヤツらしいぞルシエラ」
ふーんとカードを眺めていたルシエラ。
「あの御方はあほなので分かりやすいのでは?」
「本当にルシエラは良い子に育ったよなー」
その会話を聞いていたダンタリオンがカードを捲めくろうとして…ふと止まる。
「貴殿らは家族ですか?」
ロキが無表情だったのからルシエラが来て微笑みを浮かべているので思ったのだろう。
「家族みたいなものだがまだ夫婦では無い。他にも家族同様の執事とメイド達が居るが?」
「そうですか」
と言うと、カードを捲めくるのをやめた
悩んでるな。
数分後…
「貴殿の仕事はいつからしていますか?」
「もう数千年してるよ。12の頃からだからなアトリエ開いたの」
ふむと顎に手を当てるダンタリオン。
無表情に戻ったロキ…ルシエラが後ろでパタパタ飛んで眺めている。
「ロキ様?どうしてこのカードを残したのですか?」
「選べるもんじゃないっしょ?ルシエラも皆も仕事も好きなんだし」
そう聞いたダンタリオンが趣味のカードを捲めくるが…
俺の勝ち。
「ルシエラありがとなー」
軽くキスをする。
「ん…だって私達家族のカード残さず趣味を選ぶなんてロキ様らしいんで聞いたのです」
それを聞いたダンタリオンが、
「まさか…私が貴殿らに嵌められた?!」
とショックを受けてる横目にサタンが嬉しそうに、
「やっぱりロキってば最高だよー!ダンタリオンが負けたの初めて見たー」
と抱きついてきた。酒臭ぇなコイツ。
「じゃ、俺の勝ちな」
他のヤツらも拍手喝采。
「『すげぇ…流石サタン様の見初めた方だ』」
とか言うヤツ居るが、俺はルシエラ一筋だぞ?間違えんなよ?サタンは友達だかんな?
と心の中で言っていた。宴会の余興にはなったみたいだな。