神様、魔界の権力者達
サタンにメッセージを送って数時間後。
死龍に乗ってアモンがやって来た。乗せて連れて行ってくれるとの事だ。
「主様の言う通りに来ました…何故主様はアナタなんかを…」
何かブツブツ言ってる。
「あー?本来の姿がアイツのツボなんだよ…細かい事は気にするな」
ロキは気怠く言う。
「そうでしたか?!失礼致しました!!こちらへどうぞ」
文句無しと言うようだ。先にルシエラを乗せる。俺はルシエラの後ろから抱き抱えるかの様に陣取る。ルシエラは赤面して…
「どうしてこの様な座り位置なのですかロキ様?」
と聞いてきた。
「あ?落ちたら大変だろ?」
ルシエラは納得した様なそれとも何かむず痒い感じで…
「分かりました…」
と赤面したまま俯いて言った。屋敷はテレサ達に任せた…ファントムは影に潜んでる。アモンが、
「では、行きますよ!落ちないでくださいね!!主様に叱られてしまいます」
「安心しろ。俺らは平気だ」
風抵抗と摩擦抵抗の防壁を張る。
アモンはそれを見て安心して飛ばした。
ルシエラは死龍に乗るのが楽しいのか嬉しそうだ。ローブまだ出来てないけどルシエラ用の魔法収納袋が出来て遺跡行けて良かったわ。
「ルシエラー?遺跡楽しみか?」
「えぇ!屋敷から遠くに行くの久しぶりですし」
「ただ…魔界は有象無象が多いからな?」
ルシエラがきょとんとして。
「有象無象ですか?」
「魔族にも属さない魔物だよ。スライムはタチ悪いヤツで繊維だけ溶かすのとかも居るからな」
「出逢いたくないです…そんなスライム」
身震いしながら応えるルシエラ。
「結構居るぞ?まぁ、ルシエラの肌を誰かに見せるなんてさせねぇから安心しろ」
それを聞いたルシエラは安心したのか…
「それなら良かったです」
と微笑みかけてくる。
「そう言えばサタンが宴会したいって言ってたが…ルシエラお酒呑めたっけ?」
ルシエラが呑んでいる所見た事ないんたよな。ルシエラはおずおずと…
「多分余り呑めませんと思います…」
と言ってきた。
「宴会には出席しないでおくか?」
と聞くと、
「部屋で独りの方が嫌ですよー」
「いや?ファントム居るぞ?」
影を指して言うとチラリと一瞬だけ姿を現したファントムがお辞儀してまた影に戻った。
ルシエラは少し膨れて…
「ロキ様と離れたくないのです!もう!察してください」
照れてる…可愛い。つい口元が緩みそうなのを隠して、
「分かった分かった…ジュースを頼んでやるよ。もし間違えて呑んでも介抱してやるからな?」
と言っておいたらご機嫌の様だ。
それから2時間は経っただろうか…アモンが、
「あ!あの山の麓に今回の遺跡がございます…天界とは違い魔界は闇の時間が多いので厚着をした方が宜しいかと思います」
と山の麓を指しながら言ってきた。ルシエラを見ると少し寒そうに震えているので羽織ってたローブを重ねてやった。
「ぁ…ありがとうございます…暖かいです」
「まぁ、そのローブ特殊加工してるからな…温度調節が出来るんだよ」
ルシエラがパァーっと微笑みキラキラした顔で…
「私にも造って下さい!」
と言った。
「いや、今造ってるローブにもその機能もつける予定だぞ?だから時間が掛かってるんだ」
成程…と納得しているルシエラ。
そんな事を話していたらいつの間にか魔王城地帯に着いたようだ。
アモンが降下を始めた。下を見遣るとサタンが出迎えてくれていた。
一応王様なんだしアクセサリー等を取って収納袋に入れ神様状態に変わる事にした。
俺の店じゃないし招かれた礼儀だしな。てか、何か物凄くサタンが喜んでる。本当に好きなんだなこの姿。
サタンとも無事合流出来たのでその足で魔王城の玄関から大広間らしき扉の前に進んで行きサタンが扉を開ける。
「では、いらっしゃいませー♪」
サタンがアモンを従え入ったそこには見知らぬ顔が12柱居た。先ずはと言う感じにサタンが紹介し始めた。
「彼は明日の案内人のアモン。獣人で侍従長をやってるよ」
アモンがペコりと頭を下げる。
「明日は頼むな」
ロキは軽く言う。
「彼らはインキュバスとサキュバス。夢魔で有名でしょ?」
「あぁ、そうだな。女と男の対の夢魔だろ」
「そうそう。で彼はバアル…魔族でもオレと並んで王って言われるくらいの人物」
「へぇ…」
そんなヤツ居たのかと思う。
「彼はベルゼビュート。秘書的な感じかな?彼はバルバトス…良く狩人て言われるみたい。彼はアスモデウス、色欲の魔族だよ」
「へぇー…そう言えば位とかあんのか?」
「今日は侯爵家又は公爵家の限られた人しか呼んでないよ?」
「そうか」
本当に権力者ばかりなんだな…サタンが続ける。
「彼はザガン、彼も王とか総帥とか言われてる」
そう説明して行くサタンがいきなり、
「説明面倒臭くなってきた…」
と投げやりに言ってきた。
「いやいや!てめぇが呼んだんだろが最後まで責任持てよ」
「はいはい…彼はアムドゥスキアス…ユニコーンの貴重な今日の音楽家。彼はベリアル…2枚舌を持つ貴公子だよ。彼はセーレ、オレに並んで美男子でしょー?」
「俺と比べたら?」
「比較対象が可笑しいよ!!ロキは最強なんだよ!!」
ロキはくつくつと笑ってしまう。
「最後の13柱目はダンタリオン…彼はメンタリストなんだよ」
「ふーん…サタン診てもらえよ」
と言うとサタンが少し膨れて…
「ロキ?酷くない?」
と言ってきた。
「冗談冗談…所で俺らは何処に座れば良いんだ?」
と聞くとサタンが…
「こっちで良いでしょ?」
と魔王サタンが座る上座の隣を指された。
「俺らは客人よ?上座は可笑しくね?」
「オレがイイって言ってるんだからイイのー」
と引っ張っていかれた。
侍女達が各々の飲み物を聞いて言ってるみたいだ。料理は肉メインか…あんまり喰う気しねぇや。サタンに、
「チーズとか軽い物あるのか?」
と聞くと、
「あるよー?料理お気に召さなかった?」
ロキは溜息混じりに、
「俺はあっさりした食べ物が好きなんだよ」
サタンがふむと考えて侍女を呼び軽い物を頼んでくれた。有難い事だ。