神様、夕餉
サタンと別れてから裏庭側にある書庫と言うか図書館に貰った書物を直してからルシエラに思念伝達で何処に居るか聞く事にする。
『あ、ロキ様?今まだ食堂ですよー』
モグモグしながら応えるルシエラ。
『じゃあ、用事済んだから俺がそっちに行くわ』
『はーい。あ、イヴさんが料理出来たそうです…いつの間に作ってるんですかねーモグモグ』
まぁ、イヴは能力特化型では無く料理の天才&パティシエだからな。余り物でも最高作を作る。
『分かったそっち行くわ』
転移魔法を使いひょいと食堂に着く。
「あ!ロキ様お帰りなさいませー」
そこの光景に俺はつい…
「ルシエラ…お前ご飯入るのか?」
と言ってしまった。5号サイズのホールケーキ3皿分の空き皿があり更にケーキを食べていた。
「余裕です!」
ドヤ顔のルシエラ。
こんなに喰っても太らないもんな…サタンも食欲増したって言ってたっけか?サタンの場合は酒が基本的ぽいがな…とか考えてると、メイド次長のイヴが調理室から来た。
「旦那様いらっしゃいませ。本日はルシエラ様にはキタッラとサラダとスープでございますわ。旦那様には軽めの日本食…お造りとアサリの赤出汁と五穀米のご飯でございますわ」
そう言うとイヴはペコりと頭を下げ調理室に戻り、料理の乗ったカートを押して戻ってきた。目の前に出された料理を見てロキは問う。
「秋刀魚と鯖の造りか…下界は今は秋くらいか?」
天界と下界では天候が異なったり季節が違う時がある。天界はほぼ春の時が多い。
イヴは黒髪ストレートに茶色い瞳…日本人ともハーフとも見える顔立ちをしているが、メニューを見ると下界の日本にでも買い出しに行ったのだろう。
「左様でございますわ。ノイヤーとミアの重力反転で下界まで降りていきましたわ。お店は贔屓にさせて頂いてるとある百貨店で購入致しましたの秋刀魚と鯖はちゃんと私が捌きましたわ」
ペコりとお辞儀をするイヴ。秋刀魚のお造りってまた器用な事するなイヴは…
「そうか…ルシエラ?お前寒いの苦手だったよな?」
そう言うとルシエラがシュンとして…
「はい…寒いのは駄目ですね…」
とだけ言った。
ふむ、遺跡探索しに行きたいんだが、先ずご飯にするか。
「ルシエラー?キタッラは初めて喰うだろ?どうだ?」
「はい!麺が太くて強めの感じで…後、少し辛めですね」
それもドライトマトだがトマトを使ってるからかお気に召した様だ。イヴは側で控えている…もしルシエラがおかわりするなら出すのだろう。
「座標で見た感じだと日本は秋だから遺跡後回しにして良さそうだな…寒帯地方は避けるか」
「そうしてくださると嬉しいです」
ルシエラがスープをおかわりしてイヴが調理室に行った。
「ソロモンの遺跡に行くか?指輪結局貰ったしな」
「場所は分かるんですか?」
ルシエラが食べ物を飲み込んでから問いかける。
「ルシエラの嫌いなあの部屋で調べるが来るか?」
ニヤリと微笑みかける。
「遠慮します…」
少し嫌そうな顔をしてしょんぼりとしたルシエラ。今日もロキは相も変わらず優雅に食事を取っている。ルシエラは偶にこちらに視線を送って来るが慣れた。
ルシエラにも礼儀作法くらい学ばせるべきか?子供みたいにソースを口に付けて…可愛いんだけどな。
「ルシエラ…偶にはスプーンとフォーク以外の使い方も覚えろよ?」
お造りに山葵を乗せて醤油に付けて口に運びながら言う。
「えぇー…ロキ様みたいに何でも優雅に出来ませんよ」
箸くらい使えないのか?と思いイヴが戻って来ていたのでルシエラに箸を渡す様に言った。
ルシエラが硬直している。
ん?どうした?
「ルシエラ?俺の持ち方を見て真似してみろ…こうだ」
プルプルしながら持つルシエラ。あれ?なんか変だ。
「ルシエラ、こうだぞ?」
手本を何回も見せるがルシエラは…
「分かりませんー!!」
と涙目だった。
先に箸を学ばせるべきだったな…イヴに偶に練習させるように言っておいた。
「あ、そう言えばポラ代貰ったぞ?」
ルシエラがほへーとしてるので続けて言う。
「聖金貨5000枚とその他の白金貨や銀貨や鉱物や宝石、聖骸布が混じった反物と書物だ」
と言うとルシエラがフリーズした。
またか…
「ルシエラー?資金増えたから好きな所行けるぞ?」
「いや…そうではなくて…たった数枚の写真でその額ですか…」
ルシエラがまたプルプルしている。
「俺らにはそれだけの価値があるんだとさ…本当なら倍額を半額にしたんだぞ?」
サーッと青ざめていくルシエラ。
「可笑しくないですか!!ロキ様!!」
温室育ちだもんなルシエラは。
「昔に爺の所にいた時に造った射影機のモデルとして撮った写真集まだ重版してるよ?子供の写真ですら印税もあるんだから大人なのはレアなんだ…多分」
「ロキ様の感覚やっぱり可笑しいです!!」
涙目のルシエラを宥めてその日は寝る事にした。
あれから数日経った。
ルシエラにはイヴが箸の使い方を教えるためにトマトラーメンだったり日本や中国等で食べれる様なモノを提供していた。
俺は別に食べなくても平気なので偶に食堂で涙目のルシエラを見に行くのが日課だった。
合間にルシエラ専用の魔法収納袋作ってた。ローブ?あれはまだだ。
話が逸れたが、遺跡…魔界にもあるとサタンが連絡寄越してきたんだよ。
だからサタンに電話する。
「あ、サタンか?先日の話なんだが…」
『ロキ?!久しぶりー!うん、遺跡でしょ?あるよー』
なんか機嫌良いな。まぁ、いいや。
「ルシファーは大人しくしてるか?邪魔されたら堪んねぇからな」
『あ、それは平気ー!大人しくなってるからさ♪案内は前の侍従長のアモンがするから安心してー』
「あぁ、あの獣人の?」
『そそ。彼それなりに権力者だよー?』
「まぁ、そうじゃないと侍従長なんてしてないわな」
『来る日いつー?宴会もしようよー♪』
「てめぇが呑みてぇだけだろ?」
『一度ロキと呑んでみたかったんだ♪お願いー!』
「へいへい。泊まるとこあんのか?」
『魔王の屋敷舐めてもらったら困るよー?ロキの屋敷よりはあるから♪個室にお風呂完備のスィート用意しとくからさ』
「分かった近々行くわ。それじゃあな」
プツッと電話を切る。
ルシエラに報告するか思念伝達で連絡する。
『ルシエラ今何してる?』
『今ですか?ご飯は何とか食べれたのでノイアーさんとミアさんと遊戯室で遊んでますよ…現代のゲーム難しいですね』
それを聞いてロキは察した。
『あ?違う違う。ノイアーとミアがゲーム最強タッグなんだよ。対戦してんだろ?』
『よく分かりましたね…って?!えぇ?!そうなんですか!!通りで勝てない訳なんですね…』
『皆何かに特化させて造ったからな一応…ノイヤーとミアはチートに近いぞ?』
『そんなの勝てないじゃないですかー!!』
『俺が見本見せに行こうか?』
『ロキ様は万能なんでいいです!!』
『そうか…じゃあ、助言だけしとくよ。ノイアーが画面見てない時が勝てるチャンスだ』
『え?私そんなタイミング分かりませんよ??』
『そこは…頑張れ!後、遺跡が魔界にもあるらしいから近々行くぞ?』
『魔界ですかー…ルシファー様は大丈夫なんですか?』
やっぱり気にしてはいたか。
『サタン曰く大丈夫らしいから平気じゃね?前の侍従長のアモンて奴が案内人らしいわ。それに前サタンがルシファーは全治10ヶ月て言ってたろ?』
『そうでしたね…何泊予定なんですか?』
『分からん。だからルシエラ用に魔法収納袋作ってる最中だ…買い出しは終わってるんだろ?』
『あ、はい!ある程度は…半額以下も使いませんでしたよ!』
『そうか…大丈夫なのかそれで?』
『多分大丈夫だと思いますよ?』
ルシエラが言うなら大丈夫かな?
『魔法収納袋の中は時間が止まってるから食材多めに入れとけよ?俺でも3ヶ月分の食料は常備なんだからさ』
『そんなに便利だったんですか!!分かりました!!イヴさんに沢山料理作って貰います』
うれしそうだなぁ。食べ物が持って行けると分かったからかな。
イヴにも思念伝達しておこう。
『イヴか?ルシエラが遺跡に行く時に食事を沢山持って行く的な事言ってたから出来るだけ沢山頼めるか?』
イヴは普通に…
『何となく察しておりましたので大丈夫ですわ。希望は…トマト料理や甘い物等でしょうから、出来たら収納袋に入れていって貰う事にいたしますわ。出来立てを入れなくては意味が無いのですから…後は搾りたてのミルクの仕入れですわね。今晩から料理を作っていきますわ』
イヴは感がいい。こういう時頼りになる。
『では、任せたぞ』
『仰せのままに旦那様』
これで連絡は一通り終わりかな?
魔界だからファントム影に入れとくかなぁ?ファントムにも思念伝達しておく。
『ファントム…確か影に潜んでおくこと出来たよな?』
するとファントムが…
『出来ますが…如何なさいました?』
と応えてきた。
『いや、魔界の遺跡に行くから同行させようかと。常連客達への連絡やらは済んだから、屋敷にテレサ達が居るだけで平気だろ?』
なるほど…と黙り込むファントム。
『それでしたらご同行させて頂きます』
連絡はこれくらいかな?楽しみだなぁ久しぶりの探索♪