神様、金庫案内
ルシエラやサタンの寿命の説明も終わり、侍従長が来たと言うので裏庭に回ると死龍が寝てた。
「あ、主様持って参りました」
とサタンに向かって話しかける獣人…彼が侍従長だろうか?
「良く来てきてくれたねー…袋頂戴?」
「此処に」
跪き渡してる。
うん。
一応王様なんだなと確認したわ。中身チェックしてるのか袋持って、ふーん…と呟いてる。ていうか無駄に時間掛けるなぁ…イライラ。
「サタン早くしろよ」
少しイラつき気味に言うロキ。
「分かってるよー。量が量なんだよ」
「そりゃ魔王の宝物庫の半分って言ってたんだから分かるわ…こっち来い」
「んー?」
サタンを連れて屋敷の地下に造った金庫に案内する。
「ロキー?何此処?」
「最新の金庫…作成俺」
「最新?普通に金庫だよね?」
「建物は主と成長すんだよ…こっちからだ」
地下室への階段を降りて広い部屋に来た。右側の壁には1~9の数字のタッチパネルとキーボードがある。
本当は10部屋あるのだが研究所への道は俺しか分からないようにしてる。
因みにルシエラはイヴの試作品の試食に行った。
「袋の中身の主な成分は?」
「貴金属かな?」
「おけ…解錠5」
そう言うと床と壁が振動してる。
「え?タッチパネルとかの意味は?」
「あ?意味あるよ。取り敢えず来た」
サタンがきょとんとして。
「扉が回って来た?」
回るんじゃ無いんだけどなぁ。正確に言うと9面パズルの構造、ラボと1部屋だけ除けているだから床と壁が動いてるせいで回ってる様な錯覚起きるんだがな。
「中行くぞ」
「はーい」
トコトコと付いて来るサタン。
「真ん中立って適当に中身出してけよ」
サタンはきょとんとして。
「ん?纏めて出していいの?」
「平気だ」
俺がそう言うと、サタンが山積みの金貨や銀貨を出して行く傍で何かが動き出した。
「何コレ?」
きょとんとしているサタン。
「勝手に数えたり仕分けたりするだけの清算機だが?」
「マジで?すげー便利じゃん」
キラキラしだしたサタン…宝物庫って整頓が面倒臭いんだよな。
「数えるの面倒だから一番最初に造った」
「オレんちにも造ってよ?」
「嫌だよ怠い…他に何入れてんだ?」
「金貨はこのくらい次に多いの鉱物」
「解錠9」
また床が振動してる。
「行くぞ」
「んー」
反対側から扉が出て来た。
「また真ん中で適当に出せよ」
「分かったー」
鉱石の塊やらの山積みが現れた…何か多くね?
「この部屋暫く放置で平気だわ次」
「反物系」
「解錠7」
扉の色が変わるだけだ。
「来いよ」
「え?動いてなくない?」
サタンがきょろきょろする。
「動いてるよ?また真ん中立って適当にな」
「はいよー。うわっ!」
袋からふわふわ浮き上がって行く反物。
「何ここ?」
「服とか反物を選別してるだけだが?」
「選別?」
訳が分からないとでも言いたげな顔をするサタン。
「取り敢えず終わったら分かるわ…次は?」
「酒類とか」
「俺嗜む程度にしか飲まねぇよ?」
「オレはお酒好きなの。ヴィンテージ物とか宝物庫に入れてたんだから」
「いやいや?ワインセラーとか作れよ…飲食関係に少し置くか?解錠3」
床が振動する。
「此処は冷蔵庫みたいなもんだ」
ひんやりとした空気に充ちた部屋に着く。
「寒いんだけどロキー?」
「さっさと出せよ」
「んー」
コンベアに流されて行く飲み物。
「後は?」
「書物」
本か?それは外の図書館のがいいか?
「それは外の図書館で出すか…」
サタンがカチカチ震えながら…
「取り敢えず寒いから別の部屋お願いー」
「分かった分かった…解錠4」
反対側から扉が出てきた。
「此処で終わるか」
壁にあるタッチパネルに打ち込んで清算した金貨等の数を確認する為に入力する。各部屋にタッチパネルとキーボードは取り付けてある。中身を確認してみると…
「ぶっ!お前聖金貨10000枚も持って来たのかよ?!白金貨4000枚とか銀貨も10000枚とかあほか?」
「数え終わってたの?それくらいだね」
「本当にあほじゃねぇの?」
呆れながら言う。
「それ以上の価値あるんだよ!」
「お得意さんとして使え!半分返す」
取り敢えずタッチパネルとキーボードで入力してサタンに…
「袋出せ」
と言うと硬貨がサタンの収納袋に吸い込まれていく。
鉱物の部屋行くか。
「解錠9」
おー…絶景。俺は好きなんだよな…石見るの。
「あれ?此処なんだっけ?」
サタンが部屋に入りきょろきょろしている。
「2番目に来た鉱物の部屋だ」
「偉く整頓されたね」
「分かり易く工夫してるからな…この辺りは黒い宝石関係だ」
足元指す。黒真珠、オニキス、黒曜石…ふむ、そこそこ品質良いな。
「紅い宝石は?何処?」
んー?と言いながら探しているサタン。
「そこ。なんだ?お気に入り混ぜてたのか?」
「あー。うん…ルビーの曰く付きネックレス」
「てめぇはあほか?先に言えよ」
キーボードで打ち込んでみる…ん?
「ルビーのネックレス2点あるぞどっちだ?」
宝石2点が浮き上がる。
「待って…こっちの大きな方…だっけ?あれ?」
こっち?あれこっちだったっけ?って唸っている。
「なんだ?忘れたのか?」
「あー。うん…」
あるよなー…宝物庫って。
「いつ年代の誰が持ってたんだ?」
「覚えてるのは中世期頃のでアレキサンダー」
「充分な情報」
カチカチっとキーボードで打ち込むと片方が落ちる。
「こっち?」
浮いているネックレスを見ながら問いかけてくる。
「自分の収納袋に入れて確認して見ろよ?」
「持ちたく無いんだけどなぁ…うん合ってる」
「なんて名前出るんだ?」
「呪いの首狩り」
「あほか!マジモン入れんな!!」
首狩りの曰く付きじゃねぇかよ。
「魔王の宝物庫だから仕方ないじゃん」
「作りたてなんだから呪い関係持ち込まないでくれよ」
溜息が出る。
「えー?でもこの屋敷影響出ないんでしょ?」
「浄めてるから…一応な」
「オレんち有象無象だらけよ」
魔界はそうだろうな…俺でも散歩するだけで疲れる。ルシエラと行った時は散々な目に遭ったしな。
「お前ら魔族は色々してるからだろ?」
「そうだけどさー」
「自業自得だ」
取り敢えず呪い関係調べておくか。キーボードをカタカタ打つと何点か宝石が浮いた。
「サタン…アレらも持って帰れよ?」
「何でー?」
「呪われてんだよ!!」
「うわぁーん」
ふぅ…此処は安心だな。反物見に行くか?
「解錠7…反物見に行くぞ」
「分かったー」
部屋に入った途端ロキが違和感を感じる。
「ん?何か異様に暗くね?」
サタンは呑気に…
「白い生地が少ないからじゃないの」
と言うが、ロキは部屋をよく見るとそこらで影がふよふよしているのが分かる。
「違ぇよ!曰く付きだ!!サタンてめぇだよ!!あほか!!」
コレはファントムかな?思念伝達するか…
『ファントム…闇全切り暗転頼めるか?』
『御意』
暗くなってから明るくなる。
影は…居ないな。
「あれー?雰囲気変わった?」
「闇に落としたんだよ!!」
「何その魔法?!便利じゃん!教えてよ!!」
「これ元々闇の精霊の力よ?てめぇら使えるよ?」
「闇の聖地がオレんちよ?」
「居るだろ?精霊?」
「有象無象との区別が付かない」
「精霊は普通飛んでるだろ?」
「人魂とか浮いてるよ?」
「ジャック・オ・ランタンの中とかウィル・オ・ウィスプ見た事ないの?」
「ウィル・オ・ウィスプ?墓守?あれ精霊なの?」
「闇の上位精霊だよ馬鹿!!そいつと契約したら使えるわ!!お前何してんだよ普段!!」
「サバトとかに出席?」
「宴会とか遊んでるだけかよ!!」
「人を堕落させるのがオレらの仕事よ?」
「そうでしたねー…何か疲れたわ」
少しキーボードを打つと…あれ?
「なんで魔王が聖骸布なんか持ってんだよ…下界だとこれ貴重品だろ?」
「昔のサバトの捧げものだったかなぁ…よく覚えてないし興味ないからあげるー」
「はぁ…マジで疲れたわ」
溜息吐いて座り込む。
「休憩して飲む?」
クイッとサタンが酒瓶を差し出してきた。
「は?」
サタンは何故か普通に酒飲んでた。何処からって…さっきの冷蔵庫の時か。
「いや、要らねぇよ。最後に書物類は袋に入れるわ…収納袋の口をくっ付けろ」
「付き合い悪ぃー…分かったよ。はい」
不貞腐れてるサタン。酔ってるのか?面倒臭いな…
「もう終わったから戻るぞ。取り敢えずサンキューな」
「コレクションが出来たから良いよー…もう幸せ」
携帯の画面見てくねくねしてる…きめぇよ。地上に戻るか。
取り敢えずサタンと侍従長らしき獣人、アモンと言う彼は死龍に乗って帰っていった。何か遺跡に行く前に疲れたが資金が更に増えたな…後でルシエラに言うか。




