神様、観察
静かに紅茶を飲んでたアテナがこちらに気付いて…
「あなた達なにしてるのよ?」
「ん?友情確認?」
「オレは確認所かテンパってただけだ!」
はぁとため息をつくアテナ。
「大丈夫よ。あなた達も相性ピッタリだから」
静かにティーカップをソーサーに置いて言う。
「おー。良かったなサタン」
「女神…ふざけてないわよね?」
「勿論よ?友情としては曲がってるけど」
ロキは疑問になり聞いてみた。
「どゆコトすか?」
「あなた…友達との接し方とルシエラちゃんとの接し方変えないと魔王様は愛情のまま捻じ曲がっちゃうわよ?」
ロキの頭に「?」となる。
そう言えば俺、友達造ったコトないなぁ…まともに接してたのルシエラだけだし…
んー…と考え込んでサタンの目を見つめる。
サタンが視線に気付いて目を逸らした。ん?こっち見ろよ?分かんねぇだろ…と両手でサタンの顔持って目線合わせる。
じたばた暴れ始めたサタン。
「ストップストップ。ロキ君、離してあげなさい」
「え?なんすか?」
「それよそれ。観察の仕方」
「あー?これ…癖なんすけど?」
頭をポリポリ掻く。
「取り敢えず普通にしなさい?ね?」
手を離し見つめる。
サタンは目線逸らした。
「オレ何か恥ずかしいんですけどー」
「あ?俺は観察してるだけだが?」
「見つめ過ぎなんだよ!」
「コレでも抑えてる」
ルシエラが何かに気付いて…収納袋からカフスとネックレスだけ取り出した。
「ロキ様?コレ付けてください」
ん?良いけど何か変わるのか?取り敢えず瞳と髪色等が若干変わる。
「んー…」
唸ってるとサタンが普通にこっち見てきた。観察しやすい…観察を続ける。
「ロキー?馬鹿なの…話しなさいよ?」
「あ?うるさい黙れ」
「見てるだけで分からない事は聞きなさいよ」
「は?」
止まる俺。アテナもやっぱりと呆れてた。
「ロキ君…あなた観察と研究でしか物事考えたコトないでしょ?」
「はぁ…まぁ…」
考えてみたらそうだな。会話してって無かった…
「じゃあ…サタン聞くが何で今は目線逸らしてねぇんだ?」
「神様状態じゃなきゃ見てられるわよ」
「こっちだと?」
カフスとネックレス外す。
「無理よ…最強に好みなんだから見てるのは平気でも見つめられるとか恥ずかしいわよ…」
「は?それだけの理由?」
目線逸らしながらカフスとネックレス付けられた。
「そうよ。それだけよ」
見た目男なのに女口調なんなよ。
「口調変わってんぞ?」
「当たり前でしょ!好きなんだから難しいのよ!」
ふーん。そんなモノなのか?
沈黙して考えてたらサタンが女になった。服装もヴェルベットの紅い豪華なドレスに。
「なんだよ?俺、今は完璧な神様じゃねぇぞ」
「違和感無くしてあげてるのよ…」
「調子狂うからいつもの変態でいろよ」
「アレは今は無理よ…」
面倒だな…ん?
「サタン…お前この前のお気に入り持ってんのか?」
「アレはいつも持ってるわよ?なんで?」
「出してみろ」
懐からリング出す。
受け取り左手の薬指に付けてやる…すんなり嵌る。
「え?」
サタンがきょとんとしている…やっぱりな。
「肉付きの良い女になってるからだ…骨ばった細い男の指なんかよりもしっくりくるだろ?」
パァーっと悦に浸るサタン。
きめぇよ。
「オレ当分女で居ようかしら…フフ」
「威厳落ちるから辞めとけ。取り敢えずくねくねすんなきめぇ」
「するなら神様でしてよ…」
「何がだよ?」
沈黙してるとルシエラが…
「ロキ様これですよ?」
と自分の左手見せてくる。
気付いた。
「あほかサタン!俺らもまだしたてだわ!」
「ケチ…あぁ…やっぱりこの指は空けてて良かったわ…」
くねくねしてる…変態だなやっぱり。
取り敢えずサタンは放置して俺は椅子に座りリングを取り出し始めた。
ルシエラが興味深く見てる。
変化を見てるのだろう。
「どしたー?ルシエラ」
「いえ、いつも通り付けて行ってるので見てるだけです」
「そりゃ術的な意味あるからなぁ…」
黒髪の蒼い目になった。何となく審美眼用の片眼鏡を出して付ける。
「ロキ様…神様に黒髪の方なんて居ましたっけ」
「居るには居るよ?少ないけど…東洋の神は大半黒髪だぞ」
「ですよね。アテナ様ピンクですし…ヴィーナ様も虹色でしたし」
何か考えてる。なんだ?
「どうして片眼鏡を付けてるんですか?」
「あぁ…これしてると整理しやすいんだよ」
ボーッと空中見つめながらリングを確認する。
時系列も確認する。
制限も問題ない。
サタンが満足したのか元の姿に戻ってた。
「おい、リング外せよ?」
「勿論だよー?懐に入れている。侍従長が来たんだよ」
あぁ…忘れてた。思ったよりも来るの早かったな。
「戻す前に言えよ…このままで良いのか?」
「構わないよ?」
「へいへい」
そうするとアテナが、
「私そろそろ帰るわね?今日のコトは秘密にしておくわ」
と帰り支度している。ラッピングしたジュエリーは鞄にしまった様だ。
「あざっす、爺も詳しく知らないんで」
「分かったわ」
とチリンとアトリエのドアを開けて帰って行った。
数分後…サタンが電話してる。
「裏庭に着いたようだけど…どうするロキ?」
「何でてめぇら魔族は裏庭からの侵入が好きなんだよ…玄関に回せよ」
「仕方ないじゃん?元々そこからしか侵入出来ないんだから」
「でしたよねー?未だに魔鉱石飛んで来るんだもんな…分かった行く」
片眼鏡を外し引き戸にしまいついて行く。