神様、本質
もう少しサービスしてやるか。
「早くいつもの変態になれよ。ツーショ行くよー…なぁ?調子狂うじゃん?」
んー…?撮ってみたが抱き寄せてんのがコイツだから真顔だな。
「真顔ツーショなったけど要る?サタン顔下向いてるけど」
「寧ろそれが一番安全よ。笑顔辞めなさい」
ポチポチ携帯を弄ってサタンに送信。
「おけー。送った」
「隣オレだけ!!最高!!あーん無表情ステキ…」
「え?こっちのがいいよ?キス」
コメカミキスバージョンの画像を見せる。
「見せないでーー!!」
「まぁ正面向いてるの見た事ないしな…子供の頃のばかりで伏せてる顔か横顔ばかりで金銀妖瞳かってわかんないもんな」
「え?さっきも言ってたけど、見た事あるの?」
ピシリと止まるサタン。
「さっき言ったじゃん?15年前にネット繋げて。天界のネットワークも全部観たけど、公式サイトも非公式も見まくった。ろくなん無かったよー…良かったねー?」
基本的にルシエラが監視の役目で色々対策してたし。
「あ、サタンあれ?」
上を向くとルシエラがパタパタと静かに飛んでいた。
「え?」
サタンが上を向いたので肩を抱き寄せで仰け反ってパシャリ。うん、ルシエラ見たら笑顔だ
「はぁ?!何よいきなり?!」
サタンが急に抱きつかれたからか驚いている。俺はそれをよそ目に携帯の画面を見せる、
「これかなりレア」
背中仰け反って肩を抱きしめ満面の笑みの俺と上目遣いの頬赤らめてるサタンが写っている。
ぶはっと吹き出すサタン。
「察して来てくれたのかルシエラ?」
ルシエラに問いかける。
「なんか上手く行ってなさそうだからタイミング見計らってたんです」
流石ルシエラ。
「偉いなー。ん」
軽くキスする。
「ん…もう大丈夫ですか?」
「ラストだから大丈夫、ありがとルシエラ。サタンさーん?ラストのどうする?笑顔の俺とのツーショだぞ?」
携帯をヒラヒラ見せる。
「勿論頂くわよ!!」
「あざーっす。確認宜しく」
こんなアップどこにも無いな。
「っ!!」
何か地面めちゃくちゃ叩いてる。嬉しいのか?
あーー楽しかったー。屋敷とアトリエ全部反射ガラスだから隠し撮りしかないんだろな。
査定は幾らかなー。
サタンが電話してる。
「侍従長呼んだわ…最短で来るわよ…オレの宝物庫の半分のお宝あげるわよ」
「おー?気前良いな…どした?」
「アンタらにはそれだけの価値があるの!」
「俺単体は?」
「昔から不動のトップよ。そこに同じ素材の見た目少ししか違わずの男女2人で揃って見なさい。男女問わず来るわよ?」
「ルシエラしか見て無いから興味無いわ」
「でしょうね笑顔なんてレア過ぎて査定出来ないのよ…」
「…ところで俺らなんで王子と姫なんだ?」
「神なのに規格外なレベルで劣化しない不動だからよ…神でも劣化するのよ…オレも初めての頃の姿で来てるくらいよ」
「だって異端児だったし…食うのとか自然の魂だったからかレベル上がるの異常だったけど太りも痩せたりもないんだよ。ルシエラは聖霊だしな。筋肉も最低でいいし魔力使ったら…ほらこれ?」
トンっと床を蹴って空中に浮いてみせる。
「は?何で翼無いのに浮くのよ」
サタンがぽかんとしてる。
「ルシエラにも翼人以外が飛べるのは有り得ない言われた…コレは基本、次こう」
足を上に向けて蹴り頭が下になる様に半回転して停止して見下ろす…全く動かないで居る。
「は?どういうコトー?何で全く動けないでいれるのさー?」
「やっぱり分かんねぇのか…イメージすると逆さに歩ける魔法の複合式なんだよこれ。足の裏に結界接着してる感じ?」
そのまま逆転で数歩歩く。
「本当に規格外なんだねー」
「規格外なのか?普通に仕入れ知識だけだぞ…好奇心旺盛と言ってくれなきゃ」
「いや、ロキは常識破りなコトしかしてないよー?同じ角度の写真しかないもん。集中してる時しか撮れないんだよ」
「そんなモンかね?」
普段能天気なのにスキが無いからミステリアスなのよ。なのに好みは一度言うと忘れない、変えたらその日の気分で察してくる。その上個人のサイズも全て暗記。触った角度と頭の中で照らし合わせるとかどんな脳内してるのよ。
「今思ってる事の応え合わせしてやろうか。俺は一度でも見たり触ったり聞けば記憶から消えない。完璧に記憶されて瞬時に照らし合わせる。常に高機能なんだよ。ファントム…サタンが見た1号。あれいつ作ったのいつだと思う?」
「分かんないよ」
「俺も何で男型を1号にしたのかも、その上演算能力や記憶力も同じくらいにしたのか理由すら覚えて無いんだ…可笑しいだろ?馴染みの精霊が成長するから常に高機能にしてたんだと思う。だから多分古株なんだ。影に隠れ易いように影を造った、次に幽霊と対抗する為に幽霊を造った。1号と2号は一対で暗殺も出来る様に造った。俺にはルシエラが居るから必要無いのにな…食べる必要も無いのに好奇心で食事係、そして変装役。更には双子の男女…最後には完璧な妻。欲しいモノは全部造ったんだ」
何でこんなこと言ってんだ?するとサタンは少し考えて…
「そしてオレはアンタら2人で初めての標的になったの?逆もよ。魔性なのに魅了されたのなんて…悔しい事にね。最初はひたすらただ見るだけのためにお店に通って、途中から独り占めする為に空間捻じ曲げてお金注ぎ込んで。最期に本望だとされる死の淵まで落とされたオレが居るんだもの。ゼウスですら最期は星にするだけなのに…ロキ、アンタは最期なのに何も気にせず全力出してたのよ。死んでるのにお嬢さんは唄で縛る…2人で鎮魂歌の流れる空間で魅入って居たのよオレ。プレートに死神がついたら戻された…価格的に高いネックレスのダイヤモンドより死神をオレは選ぶわ。2人でオレとこの死神に繋げた最高傑作だもの」
こいつ…初めてだな俺とルシエラ2人でひとつに観ている。初めて観た時に俺と思い話しかける馬鹿なヤツなだけじゃないのか。タラシは返上してやるか。サービスして正解だ。只、口調が男なのかオネエなのか…違和感だな。
「サタン1つ訂正してやるよ…タラシなんて言って悪かったな乙女」
「最初からアンタの前では作ってたよ悪いか王子。相手にされないから他で遊んでたのよ。一番最初のgoat series 001のアクセサリーの時のアタシが素だったのよ。女で行けば良かった…恥ずかしい」
「逆にルシエラを俺と思って声掛けるのお前だけだぞ?流石両方なれるんだな。ヴィーナスの時なんかたまたまタイミング悪かったんだが、ルシエラ混乱してたくらいの恐怖だぜ」
「はぁ?ヴィーナスどしたのよ?」
「オレがルシエラ抱きかかえて階段から蹴落として本気でのした。その間に色々済ませて時間潰しして、暇潰しにアイツに向けて小石152個投げたトコでアイツが目覚めた。アイツまだ俺の顔見て興奮するから無理マスク必須。あ、マスク要る?」
収納袋から最近造り出してるseries何となく取り出した
「何よこれ!!かなり可愛いじゃない?!布地は絹?赤ベースに黒山羊刺繍。付けてみて良い!」
「待って待ってコレね一応意味あんの?おけー?」
サタンが付け終わったの見て顎をクイッと持ち上げ噛み付いてやる。いつの間にか待機してたルシエラが横からパシャリと撮る。
サタン固まってるな。
「ルシエラ、コレ見て友達記念によくね?」
「私も気に入ってるからいいですよー?」
「中身乙女だからルシエラには向かない安牌。ルシエラに話したの俺だと思ったからだからな…馬鹿だろ?」
取り敢えず友達1号は意見一致でサタン様。
未だ惚けて居るからルシエラは右から頬くっけて俺は左でマスクの模様完璧ルシエラはカメラの俺、俺はカメラのルシエラ見て満面の笑みで撮る。
「ぷはっ!!アンタ何してんのよ!!」
サタンの意識が戻ったみたいだ。
「ん?友達の印。布地はルシエラ、スタッズとか俺の作品?好きだろ」
「違うぅ!!さっきのよ!!」
さっき?あぁ…
「俺ノンケだからな?直接ヤダって言ってたらルシエラが超早業でハイスペックなの。て、あぁ…マスク越しならでならノーカンとのジャッジ。仲良くやるにはスキンシップ大事だから慣れるんだな」
「なによその基準!照れるわよ!」
「因みにさ…コレとコレは友達サービスだからタダ」
ガブッと噛み付いてる完璧な横顔と日付けと特殊な文字にコーティングされたプリクラ仕様の2枚の画像。コレに慣れよとか…なんだよ御褒美かよ。
「オレ基本的にアンタの前だと乙女だからな!軽めからにしろよソフトに!なんで噛み付いてんのよ」
「嬉しいと思ったから?俺ら2人で俺もルシエラも似てるんだよ!?早業だったからな山羊食いたかった!」
初めてサタンに向かってにかって微笑みかける。
「王子素直過ぎてアホだわ」
サタンがぽろぽろ泣いてた。
「痛かったか?てか、オネエ辞めろよそろそろ」
「違うよー…感動泣きだし。目見て口角上げたの初だもん」
王子分かり易い。心配性の不器用なんだ…サタンはそう考えると泣きながら微笑んでた。
普段の仮面は無駄な感情閉じ込める為なのか。
それを埋める器用で空気読むのがルシエラか…最高じゃん。
「アンタら2人で最高だわ」
そう言うと笑みが込み上げてくる。