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神で職人て変か?  作者: Sohki
目覚め編
19/85

神様、探索前の準備2

くすくすとアテナが笑い、あっ!と思い出したかのように携帯を取り出しながら言う。


「ロキ君このニュースは見たかしら?」


アテナが携帯で天界用のニュースを見せる。てか、アテナさんガラケーなんだ。取り敢えず言われたニュースの記事を読む。


「サタン様ご回復?なんすかこのニュース」


「やっぱり知らないのね。貴方の特注アクセサリーで死ぬかと思われてたサタン様が現役と変わらない魔性を取り戻して、ソロモンの後継者の取り合いが鎮圧したのよ…結構バタバタだったのにある日、突然サタン様が消えて帰って来たら現役の頃の魔性っぷり」


「あー、やっぱりあれ死期の迫ってる感じだったのか…」


「やっぱりあなたが関係してるの!!何したの?!言いなさい!」


ガクガクとロキの肩を揺さぶらすアテナ。


「アテナさん怖いすよ?いや…ふらーって店来て取り敢えずかなり痩せてたからリング直そうと思ったら、俺がこの店始めた初期の頃のseriesを大事そうに持ってて。でもサイズ調整がどうしても無理で何か悔しいから意地になってたら、魔装具のアクセサリー全部取られて、それもあったせいか更にムカついて最高傑作造ってやんよって新作造ったんす2個。なぁルシエラ?」


ルシエラはこくりと頷き、


「はい。私はお茶を出しただけでしたけど、バックヤードに居ました。終わった合図に冷たい飲み物等を頼まれたのてアトリエに出たら月の涙(つきのひとしずく)だらけでした」


月の涙(つきのひとしずく)?待って…それって死者に添える華よね?」


「ロキ様は寝てる時も(たま)に出しますよ?」


「ロキ君…あなた馬鹿なの?」


「は?何でですか?」


ガックリと肩を落とすアテナ。


「無意識なのね。貴方死者蘇生したのよ」


「無中で打ってたから無視してたんすけど、途中の会話だと聖域と化すなんて苦しいみたいな事は言ってたけど死んでる所見てないすよ?」


アテナがはぁと溜息をついて、


「死にかけの魔族(デーモン)が聖域の場に耐えれる筈無いでしょう?」


「普通に3~4時間居ましたよ?」


「その間あなたは途中何見てたの?」


「ドッグタグは案外早く造れたけど、Death series JOKERの死神の紋章トレースに必死だったからサタンの顔は見てなかったす」


「その時ね…」


俺がぽかんとしてるとアテナが続けて言う。


「死神が魂を狩って貴方が魂を吹き込んだのよ」


「あ?だからか…最後、気持ち悪い位に悦に浸ってたの」


「呆れたわ…そう簡単に死と蘇生が出来るって貴方の本気って危ないわよ?」


「何でですか?」


「魔王が死の体験をして復活してるのよ?魔王が誕生も死も体験してるなんて前代未聞よ」


「あー?でも普段全力(フルパワー)で打つなんてしませんよ?たまたまなんすから」


「神童…本当に恐ろしい子だったのね」


「俺、何か変すか?」


「ゼウス様でも死者は星にするくらいしか出来ないのよ?お爺様から何も学んでないの?」


「アテナさん知ってるでしょ?俺すぐ独り立ちしてたの…この屋敷が学び屋なんですよ」


「えぇ…ずっと不思議だったのよ死者の匂いのしない館なんて…あなたの中に溜まってるのよ?魂が再生用に」


「物作りが好きだからじゃなくてすか?」


「それは後付けよ…籠るから吐き出してるのよ」


「良く分かんないすけど…全力(フルパワー)で打たなきゃ良い訳じゃないんすか?」


「あなたの趣味は?」


「物作り」


「仕事は?」


「趣味兼用の為の仕事…あ」


「研究者よね?」


「そうすね」


「何処でも注ぐ事が出来るのに馬鹿ね」


「すみません…でも、最後の作品こいつですよ?」


「ロキ君…何でルシエラちゃんを翼人にしたの?」


「鳥の雲雀(ひばり)が好きなんで」


「鳥は唄うわ…()を」


ふと止まりルシエラに問いかける。


「え?ルシエラお前唄う?」


(たま)に子守り唄なら唄いますよ?」


「その時に月の涙(つきのひとしずく)は出るかしら?」


アテナの問いにルシエラは、


「時々発生しますね」


と考えながら応える。


「魂迄繋がりがあるのが分かったわ…ロキ君が生でルシエラちゃんが死の対なのよ。完璧な筈だわ。2人でこの辺り葬送して鎮魂歌(レクイエム)の大サービスよ清らかな訳ね」


「そう言えばこの一帯俺の敷地すね。辺鄙(へんぴ)なトコすけど子供でもすんなり住ませて貰えたし」


「本当に引きこもりの天才って馬鹿な所があるのね…貴方が此処に住んでから魔族(デーモン)が来てないってコト知ってたかしら?」


「まぁ大半は俺んトコたむろして帰りますからね」


おずおずとルシエラが手を挙げて問いかける。


「ロキ様…あの…以前魔族(デーモン)よりも魔族(デーモン)ぽいですねって言ったの覚えてますか?」


「あぁ、言われたな」


「環境は神域なのに魔族(デーモン)に染まってるからじゃないんですか?」


「あ…考えたことなかったわ」


「と言うか、あなた達もお互い不思議よ?」


「「へ?」」


「さっきロキ君が生ででルシエラちゃんが死と言ったの覚えてるわよね?見た目はどうかしら?」


「「あっ!」」


声がハモった。


「俺は基本全身黒くするわ」


「私は基本的に白い服装です」


「ちぐはぐなのよ中身も性格も魂の巡りも。でも、歯車の様に合ってるの…居ないわよこんな組み合わせ」


そこで、ロキが手を挙げてその場を制止する。


「あの、一旦良いすか?渦中の人御来店んす。てめぇいつから居たんだよ。気配断ってんじゃねぇよ…この死に損ないのタラシ!」


ロキが睨み付ける扉の先には、先日とは違う紅いヴェルベット生地だろうか?燕尾服みたいなスーツに一対の角の生えた美青年が立っていた。


「あれー?今気付いた♪オレの話題の時には表に居たんだけどねー?出て行く雰囲気じゃなかったからさー?ごめんね恩人♪」


「てめぇ病人じゃ無くて死にかけてたのかよ!そりゃ異常に痩せてるわな!」


「いやーオレにもね未練があったんだよロキ?神童の本来の姿をもう一度見たいってね。見れたら死んだって本望だったんだよ?これホント♪」


「あ?じゃあ死ねよクソタラシ」


「うん。死んだよー?本当に気持ち良かったんだよ。本望なんだから。でもねーおかしいよね?今生きてるんだもん」


アテナが割って入る。


「話を聞いて理解して利用するって魂胆なのかしら?」


「おや…女神?フフ…そんな耽美な事、オレだけ味わって居れば良いんだよ?他のヤツらになんかにさせないから」


「どういう事かしら?」


「今日は取り敢えずお礼に来たんだよー?オレさえ居れば72(にん)なんてどうでも良いんだから♪」


「まさかソロモンの後継者を殺したりしたの?」


「なんでー?たかが人族(ヒューマン)風情を気にしなくちゃいけないの?高々選帝侯だよー?そんなモノよりいいモノを手に入れたから恩人に渡しに来たんだよ?コレ何か分かるー」


アテナがハッと気付いて応える。


「まさかソロモンの指輪?!」


「当たりー。帰り道で通り抜けた裏路地の天使を蹴ったら握ってたから拝借したんだ♪ソロモンの後継者とかどうでもいいし♪」


「タラシ。てめぇ恩義なんか感じてねぇだろ?魔王なんだから」


ロキはギリッと唇を噛みながら睨み付ける。


魔族(デーモン)の王だからこそ礼儀ありなんだよー?コレともうひとつ手土産があるよ?聞く?聞きたい?それだけの価値はあるからさー…本当にあの時倍額所じゃなかったよね?」


相変わらずうぜぇな。焦らしてもどうせ言うんだろうが…


「確かに倍額だけじゃ足りねぇな…俺も商い舐めてたわ」


溜息が出る。


「もうひとつの情報は魔王の特権だよー?ハーデスも多分同等の力を持ってるかな?死を司るコトが出来るんだ。伸ばすも縮めるも眺めるも可能。魔界の覇者のみが持つ死神の目(エンドアイ)なんだよね。オレね命尽きかける日にロキに逢いに行っんだよ?だから奇跡が起きたんだね。あ!死を司る事が出来ても自分の寿命は弄れないからそこのとこ誤解しないで…本当に逢いに来て良かった」


思い出してるのかくねくねしてる。キモい…相変わらず変態だな。


「因みにロキの寿命は初めて見た時から無限と表示されていたからイレギュラー因子として観ているつもりだったんだー…神様にも寿命はあるんだよ?知ってた?アテナさんは輪廻の輪に囚われてるので蘇り転生ー。そしてお嬢さん貴女もイレギュラーなんだよねー?常に0なんだよ…どうやって生きてるのー?」


「その答え分かってんだろタラシ…」


「うん!ロキ!多分ねーキミの吹き込む魂は常に0なんだよ…腐らないアンデッド?フフ…オレも0なの。でもねー?不便な所もあるんだよー?食欲が異常だが吸収される訳でもない。不思議だよねー」


それを聞いたアテナが…


「何よそれ…?!貴方達何なの?!」


と驚いている。サタンは続けて言う。


「さぁ?知りません。これこそ【神のみぞ知る】なのではないのでは。ねぇ?神様のロキとアテナさん」


「知るかよ!俺が何したってんだよ!昔からただ好きな事してるだけじゃねぇかよ」


「私も分からないわよ」


アテナも続けて否定する。


「ロキ?全力(フルパワー)でキミが造ったのは何があるー?」


「ゴーレムとAI(人工知能)くっ付けたメイドと執事だよ。後はアイテムしかねぇよ」


「取り敢えずその寿命見てみようよ?違うかも知れないしさー」


「は?ふざけんなよ?何の権限あって言ってんだ?」


「フフ…オレをこんな身体にしたんだ責任取って貰うよ?」


ゾワっと鳥肌が立った…きめぇ。


ニンマリ笑顔のサタン。人間がみたら歪な笑顔なんだろうがこれがコイツの本性。


「だから野郎に言われても気持ち悪ぃんだよ。クソが…」


「言って見たかっただけー。彼女も同じなら見るのはやめておくけど?違うんでしょ?」


「悪ぃか…コイツは俺自身の最高傑作だ。他と違う。独りだ」


「決定だね♪」


「…他の皆は同じ造り方だから全部じゃなくて男女一体ずつで良いだろ。『ファントムとテレサ…緊急アトリエへ』基盤の1号と2号が来る』


サタンがきょとんとしてる。それを見たルシエラが察して応える。


「サタン様…私達は思念伝達(テレパシー)が出来るのですよ」


「お嬢さんにも聞こえてるのかい?」


「今のは個人宛だから聞こえ無いですよ。同時に聞こえたのはロキ様と多分ファントムとテレサだけ」


サタンとルシエラが話してるのに気付いたロキは、


「タラシ!てめぇ何勝手にルシエラと喋ってんだよ!!1号と2号は5分で来る」


と若干キレる。


「ロキ…それオレにもしてみてくれない?」


「あ?何でだよ」


イラつき気味に応えるロキ。


「経験してみたい。それだけー」


「一言言う」


「…っ?!はぁ…素晴らしい脳内でこんな侮辱を経験するなんてゾクゾクする」


「気持ち悪ぃよクソが!黙れ!感想なんて求めてねぇよ」


「これも本に書いてるのかい?」


「書くわけねぇだろ!」


「残念だ」


「てめぇみたいな変態が使うの防止だあほ!携帯でも配ってろ!先に男型が来る」


数分待ってるとファントムが開けてる扉の先まで来ていた。


「ん?彼かい?ふーん…見えてるからもう2号とやらも良いよ」


「違うのかよ?」


「無限」


「は?!ふざけんなよ良く見たのか?」


「オレは真面目だよー?何が違うオレは魔族…そもそも彼女は何族なの?こんな翼は無いのだけど?」


「そいつは何者でもねぇんだよ。俺自身だっつたろ…言うなら神の分身なんだよ」


視線をサタンから逸らすロキ。


「ロキ。嘘をつくなら違う時にしてくれない?キミには翼等ないだろ真面目だと言ってるじゃん」


「基本は俺なんだよ…本当だ…」


「基本以外に何を混ぜたの?」


「…」


ロキは黙る。


「早く言ってよー?」


「サタン様…私はホムンクルスらしいです。ロキ様とルシフェル様から出来てます」


ルシエラが口を開く。


「ルシエラ!!」


ロキが制止の為叫ぶ。


「待て。ルシフェルと言ったか?ルシファーでは無くて?」


「はい。ルシフェル様の頃の羽根の要素です」


「おいロキ…お前何を作ろうとした?おかしいじゃ無いか!何故ルシフェルの時の羽根等使う?アイツはオレが魔族(デーモン)堕天(フォールン)させたから漆黒の天使(堕天使)としてのルシファーなんだぞ?」


「後、私はロキ様の最高傑作です」


静止してもルシエラは口を閉ざさない。


「ルシエラ…何も言うな…もうやめろ…頼む」


膝から崩れ落ちファントムが心配して近寄る。このタイミングでテレサも来ていた。


「ロキ様これは私の意思です。私は貴方の盾でも矛でもあります。貴方の弱点は私だと。私はそれを利用しています…全て思い出したと言いましたよねロキ様?」


「お嬢さんはロキの最高傑作と言われたの?何者とは言われず?」


「ロキ様でもあり天使族(エンジェル)でもあり魔族(デーモン)でもあり人族(ヒューマン)にもなれる存在だと」


「ロキ…存在しながら存在しないモノを造ったの?確率論以前の問題じゃん?!」


「クソッ…ルシエラ…お前はオレなんだぞ?」


「ロキ様…自分が好きですか?」


諭すように問いかけるルシエラにロキは、


「自分なんてクソ喰らえだ」


チッと舌打ちしながら応えるロキに対してルシエラは、


「私もなんです。ロキ様の為のにしか動いてません…サタン様に死の鎮魂歌デッドエンドレクイエムを送ったのは私です。そこに全力(フルパワー)のロキ様の作品を観る為に」


「俺を嵌めたのか?」


「いいえ?チャンスだと思ったのです。百聞は一見にしかずと言うので」


そんな言葉あったな…今聞きたく無かった。


「お嬢さん死の鎮魂歌デッドエンドレクイエムを唄えるのか?」


「はい。知識にありますから可能でした」


「あー…もう…マジでカッコ良いわお前。後は俺が言うから安心しろ」


頭をくしゃくしゃに掻き上げるロキ。ファントムとテレサは脇に下がる。


「ロキ様…流石です。痛み分けですよ?色んな所に色んなコト隠していたんですから。全て思い出したと言ったのに隠してたのが悪いんですよ?酷いじゃないですか」


ルシエラはペコりと頭を下げて…


「続きお願いしますね?」


と微笑み俺を立たせてくれた。

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